IMG_4071

先生学 breakthrough with growing


「忙しい時の業務の優先順位 その2」


今回の「先生学」のテーマも、前回に引き続き「忙しい時の業務の優先順位」。その続編です。さっそく見ていきましょう。


★  先生の業務の優先順位  

前回に引き続き、我々教員の業務内容についての優先順位を、再度確認していきましょう。


  行事・生徒会・委員会対応

こちらも期日と、それに伴うそれぞれの生徒の動き、全体の日程やスケジュールも逆算して考えておきます。私自身の経験ではその行事が近くなる「少し前の時期から」委員会などは集まるようにする。「定例会」を開催する。週一、昼休みあるいは放課後など短時間。これって実は面倒くさいものですよね。結局、先生が絵を描いて生徒を割り当て、そして動かすことになるから。それはわかってます。

でもね、それを計画することで先生、生徒お互いに「抜け落ちる」ことも減り、逆に「こうしておいた方が良いかも」ということが見えてきたりします。また、生徒同士も距離が近くなり、お互いの性格や得意不得意もわかるので協力やサポートもし合うようになりますよ。想定外の不思議な効果も得られます。

  部活動

こちらは担当する部活動の顧問の先生として。大会の申し込みや参加費の振込申請などそれに伴う手続きを顧問として忘れない。専門外の場合は前任の先生にこまめに聞いておく。大会やコンクールに出られなくなるような大きなトラブルなどが無いように。主顧問の先生だけでなく複数の顧問で常に確認するような体制にしておきたいですね。

  生徒の個別対応

緊急でなければ、この順位でOK。気になる生徒を先生間の話で共有しておき、休み時間や授業前に声掛けもしましょう。遅刻や欠席の多い生徒の他、ストレスの多い生徒や家庭で変化のあった生徒、成績が急降下した生徒などが対象。ですが、こちらは声掛けのタイミングが大事。担任、部活の顧問、養護教諭、スクールカウンセラーなどとも情報共有しておきます。

  学年・分掌の担当者の先生への声掛け

先生ご自身が業務上その年度に関係している先生に声掛けします。直前はもちろん定期的に担当する前任者の先生や連携しておくべき先生には、やりとりを密にしておきます。「抜け防止」の意味も当然あります。

  管理職への報告

副校長へのメモやひと言。校長室への個別の資料提出、時にはアドバイスをいただきに。管理職の先生方こそそういう接近を嫌がらないものです。もともと現場出身ですしね。また、気遣いの意味もあります。管理職は我々現場の教員には見えないところで、常日頃からカバーしてくれていたりするものです。合宿引率後のお土産や帰省した後のお土産も、たぶん嬉しいものです。

  手伝ってもらった方々へのお礼

主事さん、事務員・警備員の方、助けてもらった生徒まで、声掛けやお礼を忘れずに。こちらも高額なものでなく、個別の小さなお菓子などで十分。常に抜かりなく気遣える先生、あるべき先輩像としての人間でありたいものです。


★  忙しい時の先生のあるべき姿  

「先生は何よりもまず授業でしょ!」と言いたいところですが、学校現場は生もの。「授業が最優先」そのこと自体はたしかに間違ってないのですが、予定通りには行かないことも少なくありません。そしてご存知のようにトラブルはなぜか重なりがちなもの。

先生としてあるべき姿は、何が起こるかわからないから大変なんだ、ではなく何か事件やトラブルが突発的に起こっても「あー、今こんな流れね」と、頭の中だけは冷静に優先順位を付けられるかどうか。

そして何よりも大事なことは児童生徒のことも含めて「後回しにできることをスパッと後回しにできるか」でしょう。そして、それを間違えない。ミスしない。また後回しにしたことを忘れずに、記憶だけに頼らず付箋やメモなど視覚的に残しておく。自分一人では厳しいと予測せざるを得ない時は「協力を周囲に仰ぐ」ことを恐れない。それは副校長など管理職も含みます。そういうチームワークの要請ができるかどうかも、多忙で仕事が順調には回らない我々教員には、資質の一つとして求められます。我々の仕事は多岐にわたります。協力してもらうのは「お互いさま」なのです。それが学校なのです。


(終わりに)

2学期は本当に忙しい。いやいや、先生の仕事はいつも忙しいじゃないですか。だからこそ、この季節の変わり目はまず健康を維持しておく。毎日出勤できるように心掛ける。そのためにも優先順位を把握しておきその判断をミスしないようにしたい。具体的にはその業務に掛ける時間とエネルギーを上手に配分する。緊急の業務は怠らず、そして締め切りの遠い仕事は疲れている時にやり過ぎない。協力してもらうことは迷うことなくお願いする。その冷静さを持ち、いったん机から離れる決断をできるかどうか。ミスしても引きずらない。最近、特にそういうことが大切だと思います。先生の仕事は毎日続いています。我々が子どもたちの前で疲れている顔ではなく笑顔を絶やさない。そういう精神状態でいるためにも、ブラックなこの業界、仕事はくれぐれも効率よく割り切って取り組みたいものですね。ではまた!

IMG_3386

先生学 breakthrough with growing


「忙しい時の業務の優先順位 その1」


すっかりご無沙汰しています。急に空気も冷たくなり、秋を飛び越えて冬の訪れを感じさせる季節になりました。2学期も学期末に向けて忙しくなる十一月。次年度の行事予定や各分掌の予算申請を確認しつつ、中学校では定期考査のほか3学年は面談を含む進路指導、高校でも選択科目の確認などあり保護者対応を含む同様の取り組みになるはず。特に担任の先生方は、勤務時間中ばかりか本来なら約束されている休憩時間も含めて、それこそ座って休む暇もないのではないでしょうか。

そこで今回の「先生学」のテーマは「忙しい時の業務の優先順位」。各項目を確認して効率よく仕事に抜けなく先生として生きていく。あらためて確認してみます。さっそく見ていきましょう。


★  学校における業務の優先順位の考え方  

社会的な枠組みの中で「学校」という場所は、どこの地域であってもやるべきことが毎年ほぼ時系列で決まっているのが「常識」であり「日常」です。そのことはある意味「わかりやすく」「予測しやすい」「時勢に左右されにくい」職場でもあることを意味します。それが我々「先生」の職場環境の基本。(……コロナ禍の時期のみ例外でしたが。) しかしながら、その中で児童生徒という生身の人間を扱う仕事柄、臨機応援に適切な対応を求められることも「先生の日常」となっています。そして残念ながらここ数年その先生のすべきことを、努力義務どころか当たり前の「サービス」と勘違いしている保護者が一定数、そして確実に存在します。(その傾向が認められる、どころか、今ものすごい勢いで増えつつありますよね。)そんな今、業務上の過失を発生させず、クレームを少しも言われることなく、管理職からの注意や注文もなく、保護者への適切な対応と「事後の対応(……おもに我が子への配慮)」までも求められ、その他の仕事も抜けることなく完璧に「先生の仕事」を完遂する。それを当たり前にする。そのことはベテランの先生にとっても至難の業です。なぜ至難の業なのでしょうか? 先生自身の経験値や生徒個別の問題や保護者対応の複雑さなどもたしかにありますが、学校というのはそもそも昔からそういうことを抱える場所でした。でも、現在の学校現場は、なぜ簡単簡潔に問題を解決させクレーム対応を済ませることができないのか。その要因は、もう先生方はご存知のはず。そう、我々教員は「業務」が多すぎて、忙しすぎるんです。

では、忙しさを変えようがない今、我々教員は何に対してどう向き合えばいいのか。一緒に考えてみましょう。


★  先生の業務の優先順位  

まず業務内容についての優先順位を一緒に確認しましょう。優先順位は以下のようなものになるはずです。

  児童生徒の緊急事対応 

突発的な大怪我、事故、生徒間トラブル。特別指導の対象となる案件。大きな地震や火災など災害時の対応はもちろん最優先事項。

  保護者対応 

緊急時の連絡。また面談などは約束した時間を優先します。電話などの時は、内容については冷静に具体的に。感情表現は大げさにするくらいで。特に褒める時は。笑

  学校全体に関係する期限のある事項

年間行事などに関わる申請や議案の内容を職員会議に通しておく。経営企画室・事務室に予算対応上、通しておく。地元の警察に交通安全教室などを依頼しておくなど、官公庁や市区町村など自治体や関連企業や団体に通しておく。それらの事項を担当として忘れない。随時、前任者に確認する。

  分掌・学年に関係する期限のある事項

上記内容と、方向性としては同じ。重要事項や新しく取り組むこと、大きく改変する内容については会議録、議事録などに資料とともに残しておきましょう。

  授業準備(①)

ここでようやく授業に関してです。でも授業ができないのでは、もはや先生ではない。(①)という表記はその意味です。教材を自宅に持ち帰っても、上記①〜④と同時並行で行うようにします。しかしながら、先生ご自身の体調面やご家庭の問題を含むさまざまなことから、その準備が間に合わない時も当然あります。そのとき用のプリントや動画の準備をしておくと良いでしょう。


今回はここまで。次回も今回に引き続き「忙しい時の業務の優先順位」について。その続編。お楽しみに!


IMG_0836

先生学 breakthrough with growing


「大学模擬授業の捉え方 その2」


今回の「先生学」のテーマも2学期に行う進路指導の実際についての第三弾。前回に引き続き「大学模擬授業の捉え方」。「大学模擬授業」に対する「大学側の捉え方」と「我々教員側の活かし方」について考えていきます。ではさっそく見ていきましょう。


★  「模擬授業」に対する大学側の捉え方  

高校側に対して大学、専門学校側の「模擬授業」に対する捉え方はどうでしょうか。こちらは大きく異なります。

  日本における学校の現実

現在の日本は超高齢社会&少子化まっしぐら。大学も高等学校も私立の小中学校も良いタマの奪い合いが基本。それどころか児童生徒の定員を埋めるために、学校を潰さないために、合格者の成績レベルを下げて合格内定を早めにしている学校も少なくないのが現状。爆発的に日本の出生率が上がって人口が増えない限り、この状況は変わることはありません。

  大学、専門学校、高校の考え方

それゆえに、その状況下で、上級学校が考えることはひとつ。広報活動を活発にすること。大学や専門学校の教職員はもちろん進路業者と提携して高等学校の「生徒確保」に標準を定め、その足がかりとする。それは間違いないですね。具体的には高等学校の進路指導部に学校行事のひとつとして要請し、高校の校舎に足を運び大学の模擬講義と広報活動をする。そのサービス的な取り組みが大学・専門学校側においての「模擬授業」です。「社会的問題を起こすことのない」「できる限り良質な生徒」を集客するのが、今の上級学校の募集対策です。

  大学・専門学校側の考える模擬授業

大学・専門学校側は、上記事実を踏まえて生徒募集のため知名度を上げるためのサービスと広報活動のひとつとして模擬授業を提供します。基本的にはオープンキャンパスや学校見学と趣旨は同じ。なので、ひとつの模擬授業が50分〜60分に収まる内容にしてます。これは高等学校の時間割の問題もありますが、それ以前に今の高校生は、大学の授業の一コマ「90分」の集中はまず保たない。(……ということは、おそらく大学生もそうでしょう。笑)

そして模擬授業は、高校生向けの入門編+関心を持たせる大学・専門学校の導入的な「ガイダンス」と位置付けています。つまり本当の「難解な部分を含む」専門分野の授業はしない。大学や専門学校の中には、その模擬授業をするためだけの先生も相当数いると聞いています。単発で他校の初めて出逢う生徒を対象に授業をする。それはなかなか難しいはずなのに非常に慣れている。そういう専門の先生が存在するならそれも頷けますね。


★  大学模擬授業をどう活かすか  

大学模擬授業を無駄な時間にしないために、対象学年の生徒たちに我々教員は何を伝えていくべきでしょうか。

  メリットを伝える

「自分の学校」で「無料」で「希望した分野」の授業を受けられること。進路のガイダンスをわざわざその学校や外部施設に出向かずとも、同じ学校の友だちと同じ日に受けて刺激を共有して話し合えること。これ実は意外に大切なポイント。友だちが進路を決め始めるのを見て「自分も!」と動き出す。概して日本人は足並みを揃えたがる習性がありますよね。子どもたちも同じです。先生としては次年度の選択科目の本調査の締切の期日もある。同じ学年の先生方に迷惑は掛けられない。子どもたちがその流れで進路を意識するならまさに「渡りに船」。

  目的 

スポーツ推薦などいくつかの例外を除けば、高校までは成績や偏差値の物差しの中で「輪切りになった自分のいる層」の中から志望校を選ぶシステムでした。しかし高校から先は別です。自分の進路決定のためのきっかけ作りにします。そして進級した次年度の(つまり2年次3年次の)文理選択を含むコースの決定や選択科目決定の一助にします。ただ同じような機会を受けても、学校の成績とは直結しないため受け身になったまま頭の中が別の世界に行ってしまっていたりする生徒もいます。また、その時は新たな刺激を受けたはずなのに、日常に戻ってまた流されて、自分のやりたいことが見つからない生徒も少なくありません。それは仕方のないことでしょうか。いやいや、先生としてできることをしましょうよ。刺激になり影響を受ける子を一人でも増やしましょうよ。模擬授業の講師ではない私たち教員にできること、そう、それは「意識づけの声掛け」です。

  声掛けのポイント

進路探しに取り組んでいる子どもたちにとっての必要かつ大事な刺激。このことは希望分野の調査の時や、模擬授業当日の朝のホームルームなどで担任の先生や進路指導部の先生方はあらためて「大事な行事」であることを明言すべきです。

我々教員の方こそ「進路行事のひとつでしょ」とついつい意識が埋もれがち。下手をすると「授業もなくなった!嬉しい! 今日の午後は大学模擬授業だから、講師の先生方の部屋に生徒をとにかく行かせれば良いんだ」と肩の力も抜いてしまう先生方も。笑 まず自分の足元から見直して、生徒にサラッと説明して進路行事のひとつとして担任業務をこなすのではなく、本気で「演じて」説明して、本気で向き合わせてみませんか? 本来ある学校の授業の時間を割いて、わざわざ手間暇の掛かる、別々の講座のための講師の先生方を招いて、この日のためだけに、そして我々の生徒のためだけに準備して授業をしてもらう。当然、生徒も初対面とはいえ失礼な態度などNG。それどころか授業後には質問までできるよう取り組ませたい。その強い声掛けが大事ではないでしょうか。

④生徒の現状と我々のスタンス

ただ、矛盾するようなことを言いますが、生徒にはあまり期待しすぎない。先生方もご存知のように、何を与えても「やる生徒はやる」し「やらない生徒はやらない」。私自身も現場にいる教員ですので、そのことはよくわかっています。だから、生徒に見返りは求めてもだめ。学校の進路指導の一環として、生徒や保護者にも体系的に行事としてしっかりと取り組んでいる。そのことを証拠として残すことも大事で、毎年淡々と進めていく行事でもあります。ただ、その「やらない生徒のスタンス」を容認していることを、先生が表情や態度から漏らしてしまってはダメかなぁと思います。……寝てしまってもしょうがない、刺激にならないレベルの模擬授業だった、うちの生徒はしかたない……。いやいや、そうさせない先生でいましょう。そうさせない先生の集団でいましょうよ。やはり子どもたちには進路を考える大切な機会として捉えさせたい。それも進路指導部の先生ばかりでなく学年の先生みんなが。いかがでしょうか?


(終わりに)

ちなみに、私自身が進路部の提携している業者に、そしてそこを通じて講師の先生にお願いしているのはいつもたったひとつ。授業でもガイダンスでも「その分野の魅力」を引き出して欲しいということ。学問としての魅力、取得できる資格の魅力、そこから先の職業つまりその業界の未来で働くことの魅力。我々では「教員の業界」で触れている「その分野の通り一遍の説明」しかできません。我々教員の説明できない現実や魅力を専門的に言える、そのことこそがその分野の講師の先生方のみが説得力を持って示せることですから。皆さんも業者の担当者や講師の先生方にお願いしてみませんか? ではまたお会いしましょう。


↑このページのトップヘ