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「教育実習生の指導はこうやる! その4」
今回のテーマも前回に引き続き「教育実習生の指導はこうやる!」その4回目。今回は「授業における先生の指導」についてのアドバイスです。さっそく見ていきましょう!
★ 3 授業における担当の先生の指導 ★
教育実習生はホームルームや行事で人気を博しても、授業が一番重要でそれがきちんとできてないのでは先生にはなれません。たとえ実習先が母校でもそれではただの先輩。それではダメ。授業で先生として教えることができなければ「先生」ではない。教育実習は「教職に関する科目」と「教科に関する科目」を統合して実践する場。指導担当の先生も彼らに一定の授業レベルの内容を要求します。
1)教科指導
手続きとして学習指導案の作成には次の5点がポイント。指導担当の先生方はこちらをあらためて押さえて点検するようにすると良い。
① 教材研究
こちらは、授業において社会的な価値と結びついて説明されているか押さえます。
② 対象生徒の理解
生徒の知識量、学力・能力、興味・関心を把握した上で、実習生が「授業を生徒と共に作り上げる」方向性を示唆します。
③ 授業方法・授業形態
一斉授業か、グループ学習か、調べ学習や課題を用いるのか。適宜ミックスして指導していくのも良い。その授業で扱うテーマによるでしょう。
④ 資料・教材
ただ見せるものでなく作業をさせる際に生徒が「主体的に」思考する、そういうことを促すものになっているかを担当の先生は点検します。
⑤ 授業評価
生徒にとって有意義な授業になっているか。そのテーマを伝え考えさせているか。問に対する答えばかりでなく周囲の生徒の反応にも気を払えていたか。それらを押さえて次時の指導案の作成に活かせるように指導します。
2)指導計画と準備
① 事前指導とその内容
実際の授業関連の指導です。いわゆる「学習指導案」の作成指導。その最初の最初の部分。あらかじめ単元、範囲、教科書ページ、補助教材、担当する総授業時数など伝える。横持ちの先生や実習生がいる場合はそこも共有しておく。教科書、補助教材、指導書のコピーなどを貸し出す。指導案詳細についても要求をする。プロジェクターなどはいつどのように使うのかも確認する。
② アクシデントのリスクマネジメント
以前、私の職場で実習生が行う教室のプロジェクターがアクシデントで使えなくなった。それに対応できず、その時間に何もできない、授業を流してしまうケースがありました。実習生は黒板に書く準備をできておらず、担当教員もそれをさせませんでした。当然生徒はびっくりしていたと同時に呆れていました。我々はそんなことはさせてはいけないですよね。生徒にとって貴重な1時間が無駄になってしまいました。
③ 事前打合せの細かな点
実習生には(教育実習期間外でも)自分は事前に打合せのための声掛けをしています。遅くとも1ヶ月前から3週間前には打合せの1回目、2週間前には1度目の全授業の「指導案」と「授業板書内容」「授業で配布するプリント」「課題・宿題のプリント」なども提出させる。(こちらは実習中の授業がスタートしてからも随時「改訂版」の提出と確認をすることになります。)その後、内容をチェックして再度考えさせ再提出。こちらも強制にすると制度上うるさいので強制とはあえて言いませんが、「早めに声掛けをしてあげた方が親切かなぁと思ってね」と伝えてあげます。(まあ、こちらとしては結局言わなければならないことを前倒ししているだけですが。授業を受ける生徒への被害は多少なりとも少なくなります。)
④ 実習生自身の経験の有無と考え方
大学での模擬授業の回数ほか塾や家庭教師などアルバイトでの講師経験の有無や年数も確認します。ごく稀に、数年間に一人優秀な教育実習生が来ることもあります。ただそれも「普通に授業をできる先生」のレベル。それだけでも、まあたいしたもの。なんですが、ホームルーム、出席簿記入、清掃指導、給食指導、学校行事における指導、などは経験者ではないので当然まだまだ。ミスも多い。ましてや生徒指導はプロではない。そして、彼ら実習生は我々現場の教員のようにテストを作り、取り組ませ、採点して評価をすることもない。だから、私自身は「あなたの実習期間も次の定期考査の範囲に入るから、実習期間に担当して教えた部分についても後日テストの問題を作ってもらうから。そのつもりで」と毎回言っています。実際に作らせることもありました。(……考査問題のレベルでは無かったので実際には使用しませんでしたが。)つまり評価の部分にも繋がるテストについても考え、それを逆算して授業を組み立てる。そうすることで実はその単元で押さえておくべきポイントが明確になるんです。
⑤ 担当クラスの情報を伝える
1)の②のポイントにもあるように、実習生が指導する各担当クラスの生徒のメンバーの特徴や雰囲気、学力レベルを伝えてやります。授業に盛り込む内容と進めていくスピード、また生徒とキャッチボールをするレベルをつかむためには実は必要な情報です。我々も難しい問い掛けは、それなりに知識のある生徒にあてますよね。ただこれをできるのは上級者。
また長くなってしまいました。今回はここまで。次回のテーマもこの「授業における担当の先生の指導」の続き、そしてまとめです。お楽しみに!