2019年11月

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「定期テストはこう作る!」   その2  〜こんなテストを目指しましょう〜




前回に引き続き「定期考査編」です。

今回のテーマでは、前回の「こんなテストはダメなテスト」の内容を踏まえて、段階・レベル別にみたテスト作成の注意点と配点などについて、そして定期テストそのものの考え方について、アドバイスしていきます。



  テスト内容の段階別割合と方向性 


テストの出題内容の基準は、次の3点を満たすものが理想です。


1)基本問題


テスト対策の勉強を突き詰めてアウトプットを何度もしている生徒は高得点になる出題内容。やった甲斐があったと実感できるものは必要。でもその大問全部は満点にはならない方がいい。国語であれば漢字の同音異義語など引っ掛け問題も入れておきます。

そして、やはり、授業で考えたことや課題で生徒たち自身が取り組んだこと、そしてそこから学んだことを知識として理解・定着させ、その後の生活にも役立てることが可能な内容にしたいものです。例えば漢字の問題にしても歴史の問題にしても、日常生活で触れるような事項や内容にする。きちんと取り組んで準備した生徒の正答率は8割を目指したい。



2)応用問題


それなり、あるいはテスト前に教科書やノートを眺めているだけで適当な勉強で済ます者は「高得点が取れない」内容の問題。「次回からは細かくプリントや問題集の例題もやらなきゃヤバい!」と思わせる内容のレベル。つまり正解になる生徒は実際に問題に正対し解いていたな、と足跡が見える問題。

だから、応用問題こそが大事。舐めてほとんど勉強してない者は限りなく低い点数しか取れない。舐めてやらないのを繰り返してしまうと高校や大学などの進学、高校であれば単位修得や進級が厳しくなってくる。そういう出題内容と出題形式。



3)発展問題


応用問題をベースにさらに深く専門的な知識や解き方が必要となる問題。理解してケアレスミスをせずに解けないと、正解にたどり着けない問題。アウトプットにも簡潔に内容を答えられる習慣がないと部分点になり満点にはならない問題。時には入試問題も散りばめて。生徒はふだん授業を受けている先生作成の問題だと結構な文句を言うものの、それが外部の民間の模試や入試の問題だとあっけなく受け入れ納得する、という悲しい現実があります。しかしながら、良質の問題を選択しておくのは言うまでもありません。

生徒の習熟度や理解度を測るために、答え方に縛りをつけるのも大事です。「本文の抜き出しは得点としない」「授業で話したこと以外の例を挙げること」「途中まででも計算式など考え方のプロセスがすべてわかるようにすること」など。それらは、校内の問題ではOKです。

そうではなく普遍的なテストの問題の一つとして押さえておくべきであるなら、最近のニュースやトピックな事項を織り込みます。生徒の進路上も、つまり今後来るべき入試の面接や志望理由に活かせるはずです。


上記の3段階の配分も考えておきましょう。

    基本問題……2割〜2.5

    応用問題……5 

    発展問題……3割〜2.5


基本問題の割合が高いほど、生徒寄り。生徒に点数を取りやすくした問題と言えます。

発展問題の割合が高いほど、成績が上位層の生徒を伸ばそう、という意図が見られる問題でしょう。



  平均点の目安と調整方法 


目安ですが、

平均点は「5262点」くらいにする。

そして上位者は「85点以上」が各クラスに1人は出るように。

75点以上」もクラスに複数出るような難易度で。

平均点「40点台」は低すぎてNG

また平均点「70点台」は高すぎでNG


調整方法としては、

平均が低くなりそうな時は、記述問題を甘めの採点基準にしてやる。部分点を積極的に入れてやる。

平均が高くなりそうな時は、ケアレスミスは減点。記述問題で微妙にどちらとも取れる書き方は減点。厳しめに付けます。


マークシート方式でなければ、採点前に各クラスの生徒の答案をざっくり見ただけで、だいたいの生徒の出来はわかるものですよね。そこでプラスに微調整するか、またはその逆でマイナス気味に行くか、細かな採点基準も視野に入れておきます。できたら共通の担当者で打合せしておきたいですね。




  テスト作りも先生の資質の一つ 


以上を鑑みた内容、レベルで、受験生全体を得点別にグラフ化した時にきれいな「逆砂時計」型になるようなバラつきになるのが理想です。毎回ではなくとも、やはりここを目指したい。


繰り返しますが、若手教員は「教えたすべての項目をまんべんなく出題したくなってしまう」先生が少なくない。実はそれはNGです。たぶん、そうすると深度は浅く、通り一遍の予想問題になる。生徒の誰もが得点できそうな問題になる。それでは出題する意味はありません。 

ちょっと厳しい言い方をすると、先生側で「これもやったよね」「やったじゃん、そのときの授業で」と自分が授業でやり終えた範囲をどんなレベルの生徒にもわかりやすく言い訳をアピールしたいだけ。ちょっとクドイ。

厳しい見方をするとテーマに対する授業の深さが浅かったこと、プロセスとして生徒に一方的に伝えただけで考えさせることをせず授業が浅かったことを、逆に露呈してしまっています。


毎日の授業同様に、テストも教員としての資質が表れてしまうものの一つ。ポイントは、生徒に迎合せず、教科・科目の専門家として出題する。基礎基本は学校が違えど同じ。他校の教員が見ても恥ずかしくないテストを作りましょう。難しくなって大いに結構。ついつい忘れがちですが「成績上位の子どもも伸ばす」という部分も不可欠。

だから、その分、生徒には期末考査、特に学年末のテストで、内容は厳しめに、採点は甘めに寛容にしてやる。校内のテストです。可能なはずです。通知表の評価も「点数よりは甘めに」してやる。そうしておけばいいんです。子どもたちも自分の足りない努力や知識量を見極め、それでも先生には感謝するんですから。笑



(終わりに)


気にすることはテストの中身ではあるのですが、もっと言えば作成者の教員としての心意気、生徒との向き合い方、専門の先生としてのプライド、といったところでしょうか。どこのレベルの学校の教員でも「優秀な先生」は「良質の、考えさせる問題」を出題するものです。生徒から「あの授業に考えたことが〇〇の時に繋がったんです!」とか「考え方や答え方に習慣化できました」なんて言われてみましょう。それどころか、生徒から「自分の点数には繋がらなかったけどそこを押さえておくべきだったんですね」とまで言われる授業になるなら、教師冥利につきますよね。


さらに良いテストは、「配点も絶妙」で、採点基準もはっきりと明確にされている。「配点」については出題時には大まかにしておき試験後に変更可能にしてもいいでしょう。共通問題であれば、担当教諭と話し合っておきます。

そして「採点基準は配点の大きなものも小さなものも細かく」「誤字脱字、紛らわしい汚い字も減点制」で。そういうものは透明性がありとても良いと思います。曖昧で細かく決めない先生は、答案返却の時に生徒から「これも似てるから正解でしょ」とか「近いから△にして部分点ください!」「いいじゃん、お願い」とか言われます。これでは、テストの問題と向き合い本質や基準について生徒に聞かれているのではなく、クレームであったり、自分の点数稼ぎのためのパフォーマンスです。こちら側がまずそれを想定しておく。準備は常に周到に。


補足するならベテランの信頼できる、その教科の専門の先生にあらかじめチェックを受けてみる。これもいいですね。失敗含めいろいろな経験をされていますよ、ベテランの先生方は。そして、こういう時にしっかりアドバイスしてくれるものです。否定されるのを怖がらずに取り組んでみましょう。

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「定期テストはこう作る!」  その1  〜こんなテストはダメなテスト〜




さて今回は定期考査編です。小中学校も高校も、そろそろ準備しておく時期でしょうか?  若手教員によく見られ、生徒から付け込まれる弱点の一つに「ダメダメな、クレームのつけられやすいテスト」があります。今回のテーマでは、まず「陥りやすいダメなテスト」を確認して、その上で作るべきテスト内容を押さえます。そのため作成上気を付けて避けておきたいポイントと、プラスアルファで押さえておきたいポイントを挙げておきます。若手にありがちな、生徒の評価の低い文句の出やすいテスト内容はだいたい決まった特徴や傾向があるからです。



  ダメなテストの特徴 


「やたら量が多い(終わらない)」

「問題の量が少ない」

「かなり勉強したのに難しすぎて無理」

「記述で答えるのに、答え方がわからない=何をどこまで書けばいいのか、細かい指示が無くわからない」

「字数制限があるのに、解答欄にマス目が無い、マス目の数が指定と合ってない=字数を自分でカウントしながらになり面倒」

「採点基準がハッキリせず、勉強して取り組んで自分の答は正解だと思ってるのに誤答扱いされ答案返却の時にモヤモヤする」などなど。

……先生方、思い当たる節がありませんか?


生徒たちは、自分のできなかったテストについては、自分の勉強不足を棚に上げていつも文句を言うものです。その彼らの棚はとても大きく高い。笑

しかし成績の低い生徒ばかりでなく中位層や上位層の生徒までもがそういう声を発しているとしたら、問題はこちら側にあります。ベテランの先生方からアドバイスされるレベルならまだしも、それどころか苦笑いされたり呆れられたりするのは、ちょっとしんどいですよね。


では、まずダメなテストとはどんなものか確認していきましょう。わかりやすく具体例を挙げると以下のような感じではないでしょうか。



  「基本問題」におけるダメなテスト  


正答率100パーセント近い基本問題。理数系もそのまま教科書と同じで数字もそのまま。直前にやった子も、その例題しかやってない子でも解けてしまう。そしてほぼ全員が正解。テストとしての意味はあるのでしょうか。これはダメですよね。広く浅い。しかし薄い。考査前の10分教科書を眺めただけで点数が取れてしまう。期末考査だけ実施する保健や技術・家庭科、芸術などに見られがちですが、主要教科でも基本問題ではこういう事例も少なくない。変化のない一問一答形式。

できる先生、優秀な先生は、まずこういう問題は作らない。流石に他の先生から見られた時に恥ずかしい。テスト監督の先生でも指摘するのでは?


「みんなが学習して覚えている事柄は、そのままは出題しない」ということ。それは基本です。あるいは、授業出した形式とは逆に、ひねって答えさせる。注意深く問題文を見てないとうっかりミスをしてしまうトラップは、定期考査の問題であるなら仕掛けとして入れておきたい。

そして基本問題は、問題数全体の2割が理想。3割を超えるところまで基本問題になるとNG。そこである程度得点できてしまい生徒は満足。深く考える問題の準備をしなくなる。教科書やノート、配布された授業プリントを見ればいいだけのテストでは、テスト後からその教科の授業やテスト対策に力を入れなくなってしまいます。



  「応用・発展問題」におけるダメなテスト 


採点したら正答率が5割を切ってしまう。そんなテスト問題。応用問題とはいえ、学校の定期考査の問題。できないのを生徒だけのせいにしてはいけない。半数は確実に取り組める問題の質にするべき。たとえケアレスミスがあっても、きちんと授業を聞いていた生徒にとって正答が導き出せる問題であるべき。あるいは正しい手順で取り組める問題の質であるべき。

解ける生徒がごくごくわずかだとしたら、それは難問ではなく奇問。悪問。重箱の隅をつつくだけで、発展性がない。あるいは生徒たちが授業で理解、納得していない。子どもたちはその時にうなづいていただけ。先生の説明はよくわからないが板書をノートにただ写していただけ。

教科のマニア、好きな先生のオタク生徒のみ正答になる。それなら生徒みんなが覚える必要もないでしょう。だったら、この応用問題もテストとして出題する意味はないでしょう。出題しようか迷ったとしても出題はやめておきましょうね。「この問題の質はどうかなぁ?」と疑問に思うことがあったら、まず同じ教科・科目の先生に見せて意見を聞いてみましょう。検討しておかねばならないことはそうするべき。



  平均点から見るダメなテスト 


簡単過ぎて平均点が70点や75点超え、下手すると80点超えになってしまう。これは、新採など教員成り立ての若手や、教育困難校の経験しかない先生に多く見られます。その大きな原因の一つは「テスト範囲から満遍なく出題したくなってしまう」こと。心当たりはありませんか?  そうすれば、広く浅くなり、ましてや採点のことを考えると簡単に正誤を問うだけの問題になります。テスト範囲で、生徒誰もが取り組み、ほぼほぼ解ける問題は出題してあげる必要は無いんです。教科書のゴシック体の重要事項は、数える程でいい。


考えてみてください。我々が大学入試のときの「範囲」はどうでしたか?  すべて「科目名」のみではありませんでしたか?

校内の「テスト範囲」にしても、自主的に行うべき副教材の問題集の範囲を除けば本来なら「授業でやったこと全部から」でいいはずです。

……私自身は以前そうしてました。しかし時代の流れか、だんだん生徒も、テスト勉強しやすいように、その細かい範囲指定ばかりか酷い時は出題の仕方や配点までも事前に知りたがるようになり、キリのないサービスの要求をするようになってます。甘やかし過ぎだと思いますけどね。その甘えに慣れてしまう生徒が、受験の時にギリギリになって先生に聞くんです。「合格するには何をやればいいんですか?」って、わけのわからないことを。)


平均点の高いテストは、その返却後から生徒も安心してその先生の授業やテスト科目を勉強しなくなりますね。テストの平均点が高ければ、下の点数の生徒はいない。赤点もいないはず。それなら勉強しなくても成績で先生から脅されることもない。進学校だと逆に生徒から教員が馬鹿にされてしまいます。特に1学期の最初のテストがこのレベルになってしまうと、その後の授業はもちろんテストの話をするのも舐められ、状況は厳しくなります。



今回はここまで。次回は「定期テスト編」の第2回、「定期テストはこう作る!    その2  〜こんなテストを目指しましょう〜」です。引き続きテスト作成上の注意点についてお話ししていきます。



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「心の病の子の対応   その2 〜保護者対応編〜



近年ますます増えている、そして通常業務と同時並行に、しかし、デリケートな対応を求められる「心の病の子の対応」編。その続編です。


各家庭での諸事情や原因を除くと、生徒の「心の病」が発症する割合が高い時期は、

    入学直後、学年クラス替え直後

    行事前や部活動での大会・コンクール前

    中間考査の個人成績が出た後の期末考査前


その原因は、

  ①は、環境の変化 に対応できないため

  ②は、人間関係上の衝突のため

  ③は、自分の成績不振の理由を心の病に責任転嫁して逃避するため

と言ったところです。

いずれにしろ、当該生徒も保護者も、客観的な視点をいっさい持つことなく相談に来ます。さて、私たち教員はどのように対応すべきでしょうか。

2回目になる今回は「保護者対応編」です。


授業や学級経営、学校行事、校務分掌や部活動指導もある中、今や「子どもは自分の分身」と思い込んでいる保護者の方々との対応。取り扱うべき内容として重くないはずはありません。当該生徒の将来に繋がっている今を、先生方は預かっているのです。これは無くなるはずもないことの一つと言えるでしょう。


そして、未成年の生徒ですから病気であれば当然「その保護者の方とは常にセット」にして考えて対応したいですね。ご存知の通り様々な生徒がいるように保護者の方々も様々です。ただ誠実に対応するだけでは心もとない。しっかりやるべきことを見定めて対応しましょう。

私の経験上、保護者は大きく次の3タイプに分かれます。



    初めてで対応できないタイプ 


子どもの精神的な病が、初めてのことで対応がわからない。気付いているものの学校にすべて相談することで、解決したい。そういう保護者の方。ほかに解決方法もわからない。かと言ってご自身で手を尽くして調べない、いわゆる学校依存型。


→  とにかく担任ひとりでは対応しない。養護教諭とスクールカウンセラーへの報告。その上で保護者が学校に来るよう促し、カウンセラーに保護者も別途「予約」を入れさせる。酷いケースなら心療内科や精神科に受診を積極的に勧める。時間を掛けず悩むことなく、すぐに相談や受診をさせる。当該学年の担任団や学年主任、場合によっては教頭・副校長まで報告しておく。



    モンスターペアレンツ型 


何があっても他のふつうの生徒同様に学校生活を送らせたい。「我が子だけ特別扱い」をお願いしてでも、それが保護者や子どもにとってベストで、それ以外はあり得ない、そして先生はそのサービスを提供する義務がある、とまで思っている、いわゆるモンスターペアレンツ型。


→  このタイプは一番厄介。学校、教員をサービス業だと思ってますから。それも、自分や自分の子どものためのサービスと気配り、特別扱いの配慮も当然だと考えてます。これはまず、学校として「折り合いを付ける、付けられない」をはっきり線引きしておく。

その子のことももちろん大事な子どもの1人だが、クラスの他の生徒や学年全体、学校全体に関わるのだ、と強調する。ここで負けてはダメ。「前例」や「他校での例」も調べて準備しておかねばならない。テストの別室受験についても。成績評価の取り扱いについても。こういうタイプの保護者は、残念ながら保護者ご自身の非常識を非常識だと100パーセントわかってない。(苦笑)    教員間や他の生徒との間でも情報交換や情報共有をしっかりしておきます。とにかく、校内で「配慮がない」「いじめ」と言われないように先手を打つ。いわゆるリスクマネジメントします。



    無関心なタイプ 


意外に思われるかもしれませんが、確実にいるタイプです。我が子のことながら無関心タイプ。学校側からの報告や助言に「そうなんですか」と言いながら、現状の家庭生活は変える気はなし。自分の生活のリズムも変える気はなし。専門医の受診もできるだけしたくない。保護者が自身の仕事や、下の子の育児で、あるいは介護で忙しくて、と言い訳して目をそらす型。


→  実は要注意です。ごねて②のモンスターペアレンツに豹変する恐れもあります。子どもとも対応してきた事実をしっかり伝えて、「学校でできることはすべてやっている、あとはお父さんお母さんの協力次第です、ご家庭次第だ」と伝えましょう。その具体的な方策まで準備しておく。朝起きる時間、寝る時間、欠席時は学校に何時までに電話を入れるなど。



  対応上で注意すべきポイント 


こちらから強調して保護者に釘を刺しておきたいのは、


1、当該生徒本人、つまりお子さんは苦しんでますよ、とあらためて学校生活や一斉授業、部活動がうまくできてないことを毎回伝える。本人からだけでなく、周囲の生徒たちが「苦しみ、その子本人にどう対応していいかわからない、悩んでいる」と我々教員は相談されている、と。親はそこには敏感です。自分だけでなく家族以外の大人に相談することが自分に話していることと同じかどうか、親は非常に気にするものなので。


2、どれだけ他の生徒に影響を与えているか。これはクラスや部活の他の生徒の保護者の方々から「困っている旨の相談」が来ている、と伝えるのがいい。そこでも親は孤立したくないはず。ママ友文化の中で育児期間を過ごしてきた保護者の方々は、子ども同様に保護者の中で「ボッチ」にはなりたくないんです。


3、管理職およびカウンセラー、担任および学年団も専門医に相談、本人の将来を考えてしばらくは「休ませる方向がベストだ」と考えている、と伝えたいですね。責任は専門家に委ねる。ただし、この時に成績の配慮、進級や卒業のための配慮については、保護者にいっさい言質を与えないようにします。そのことを聞かれたり要求されても「それは一教員である私に決めることはできないんです」とハッキリ伝えておきます。そして、そのことをその時点で保護者も了承したことまでは確認しておきます。


いずれにしても、「管理職への報告」は必須。週一くらいでこまめにしておきたい。また「学年会や職員会議で報告して情報共有」しておく。授業を担当する教員は担任など事情をわかってる教員ばかりではない。時には非常勤講師や部活動の外部のコーチにも別途報告しておく。

それと保護者、管理職とのやり取りの内容とともに相談した日時、場所、同席してくれた学年や分掌の先輩教員の名前などもすべて記録しておく。

それらはすべて、保護者からのメディアやマスコミ対策でもあり、万一法的に訴えられたとしてもその法的手段に対応できるようにするためです。抜かりなく。



(終わりに)


基本的に当該生徒が本当にそうなのか、そしてそれはすぐ回復して治る程度なのか、学校の教員レベルでは対応できないレベルなのか、その見極めが不可欠なのは前提になります。しかし、我々大人でも精神的に不安定な時期がある。であれば、思春期の子どもたちであれば、言わずもがなですね。当然、向かい合うべき、向かい合わねばならない事項の一つです。そういうことを乗り越えたりできることも我々教員として求められている資質のひとつです。「あー、面倒なことになってるなー」とただ悲観するのでなく(……悲観したところで事態は好転することはありません。)、やるべきことをやりきって本人の今後の生活のために助力する。それは先生ご自身にとっても必要な経験になるはずです。学校現場で、今後増えることはあっても無くなることはまずないと思われることですから。頑張って乗り越えていきましょう!

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「保護者会はこうやる!」  その2  〜当日の話編〜



前回に続き、保護者会についてのその第2回です。今回は「当日の話について」です。

経験上、押さえておいて欲しいポイントがいくつかあります。いかなる姿勢の保護者に対しても、我々教員側は「笑顔でフレンドリー」「保護者の方になんでも話を聞きますよ!」という和やかなムードでその場の雰囲気を作る、それはホームルーム担任として最低限の準備です。


でほ、保護者の目線はどこを見ているのか。

単刀直入に言うと保護者は自分の子どもの出来ははかなり高い棚の上に置いておいて、担任や学校の先生方を「観察」しに来ます。それが保護者会です。保護者の方の求めているもの、それはずばり「安心と期待」です。実はその先には更につかんでおきたい「信頼」というものもあります。が、それはその保護者の子どもを複数年指導していたり、それまでに誰の目から見てもわかる実績を得る以外ありません。なので、なかなか得られない。

しかし、電話やメールでなく、保護者の方々がせっかく学校まで足を運んでくれるのですから、でくきたら「信用(仮)」くらいは勝ち取りたいものです。


ポイントを3点にまとめてみました。



  自己紹介 


まず「自己紹介」ですね。連続担任でお互いわかっていてもしっかりとやりましょう。特に入学後や新学年次には。



  その学校で、初めての担任であれば、勤務している学校や以前の勤務校での経歴。生活指導部や進路指導部だった校務分掌の話。その他、資格や特技、専門の部活動など。しかし、年齢や出身校などは、わざわざ自ら話すことまでは必要ありません。若手の先生は「熱意」と「誠実さ」を押し出すでしょう。それももちろん必要。でもそれだけでは心もとない。では、安心と期待、保護者の方は先生の何から感じますかね? 


それはね、決まってます。

他業種と一緒でしょう。「経験と実績」です。そこに勝手に説得力は芽生える。


  若手の先生ですから、教員としての経験や実績が無ければ、ご自身のキャリアが社会的に評価されるものであるならば、それを伝えるのも手です。例えば先生ご自身の「学歴」。今に至るまでの「職歴」も。ただし、偏見を持たれないように、あるいはイメージを付けられすぎないようにご注意を。「……先生は勉強できる大学出身のエリートだから、うちの子どもの気持ちはわからない」などと言ってくる面倒な保護者もいないことはない。無理せず、軽く触れる、あるいは聞かれたら答える程度でもいいでしょう。


  特になければ、その学校が母校である、自分の地元である、今も実は近隣に住んでいる、なども好意的に受け止めてもらえます。保護者の方は自分からご自身にまつわる情報を、先生より先に積極的に話す方はほとんどいませんが、先生の情報は知っておきたいものです。同世代であった時は、尊敬の度合いは減りますが、親近感を感じてもらえます。

また保護者の方と趣味や経験したスポーツなどに共通項があるときは、仲間意識を感じてもらえます。この辺は子どもの、あるいはその兄弟姉妹の部活動などから推測できたりします。


  でも、上記のようにプライベートをさらけ出したくない先生ももちろんいるはず。それなら、勤務しているその学校での経験をポジティブに語る。とにかくどんな点でもポジティブに。明るく笑いながら。本当にこの学校、このクラス、子どもたちが好きなんだ、と。当該生徒やクラス、その学年全体があまりにも幼稚で困っていても、「みんな純粋」とか「天真爛漫」とか「周りに左右されず自分がある」とか、まあ言い方はあります。笑

まとめの話では「いろんな子どもたちすべてを受け入れて指導していきます、ともに学びながら成長させていきます」と宣言しておきます。 



  クラスの経営方針 


次に話すのはクラスについてです。学年の方針を踏まえてクラス担任としてのスタンスや基本方針を話します。

経験値に基づいた、しかし今の子どもたちに合った教育方針と学級経営方針を。それも、すべて「未来志向」で話したい。

ただ、実は何でもいいんです。保護者は当日頷いて聞いていたとしても、すぐ忘れますから。担任として大事なのは、保護者に「どんな細かいことでも、いつでも、相談に乗ります。ご連絡ください」と一応伝えておくこと。ここで、風通しを良くしておきます。「いつでもお父さんお母さんと一緒に考えて、お子さんのために取り組んでいきますよ!」という姿勢は示しておく。

能力や経験が少なくても、時間とエネルギーを掛けてくれる先生なんだ、というイメージくらいは醸し出しましょう。

私の場合は「自立・自律」「クラスみんながお互いを受け入れる」「自ら考え判断して行動できるようになる」などでしたね。



  生活習慣の改善 


その次には生活面について話します。

中学生、高校生に限らず、学年ごと以下のようにすると話しやすい。参考にして下さい。


1年生)

健康管理、思春期、精神面が不安定、学校生活に慣れること、クラス・部活の人間関係の構築、家庭学習のこと、家事を分担しやらせる、家での様子、学校の行事や一年の流れを告知


2年生)

学校行事の中心、部活の中心、しかし中だるみの2年生、授業の進度早くなり学習内容が深く専門的に、家庭学習は「歯磨き感覚」で(目的を常に確認するのでなく、毎日必ずやらないと気持ち悪くなってしまう感覚)、親子関係の確認


3年生)

部活動やお稽古事の良い終わらせ方=一つのことをやり切ったことを褒めてやる、進路のこと、勉強は「スキマ勉」(通学時間や部活の待機時間なども隙間勉強)を、子どものレベルに合った塾選びを、進学にかかる費用など



  保護者会後の個人相談 


通常は上記の3点で十分ですが、個人面談対応もする余裕があれば、そちらも準備しておきます。

保護者の方のガス抜きだと思って。短時間の相談くらいで、子どもが劇的に変わることは絶対にありません。あくまでも保護者の方のための癒しの時間と割り切ります。

ポイントは、ダラダラ一方通行で話さないこと。

保護者の方が参加したり話したりするスタイルで。参加人数が少ない場合は、保護者の方に同じ話題を振って次々と話してもらい、コメントや感想を言ったりして時間を潰し、自分の所信表明は簡潔にするパターンもありますね。短時間変化をつけて飽きさせず進めていくのにわかりやすい手法は次の二つがやりやすいはず。それに「プラスアルファで付け足す話」も準備しておきます。


①挙手参加型 


「お子さんとよく会話しますか?」

1、よくする    2、たまにする    3、ほとんどしない、必要な時だけ

などを挙手してもらうと、周りを見回して他の親御さんを気にするものです。できたらどんな話をするのかまで聞きたい。そして、できたら少数派と思われるお父さんにはあてて話を聞き出したい。わざわざ来てくれるだけでもこの日本社会では貴重です。


②意見お願い型


「お子さんは家事で役割ありますか?  決まってる手伝いありますか?」

などを挙手してもらい、話してもらう。これまた保護者の方々は気にするもの。「あー、うちの子は何もやらせてない」という方が必ずいます。自立の話に絡めて、家事をみんなで分け合うことが家族みんなをお互いに尊重し合う下地になるのだ、とまとめます。


③最後には保護者へのメッセージ


「本当にお父さんお母さんがいらっしゃってのお子さんです。でも、働きながら、家事をしながら、または介護などもあり、身体的にも精神的にも、お子さんを育てるのはそんなに簡単なことではありませんよね。長い学校生活、うまく行くときばかりじゃないです。ですから、長い目で見て、学校とご家庭が連携して、私と皆さんが車でいう両輪となって、子どもたちを共に見ていきましょう!」とまとめます。


先生だけでなく、「共に」というところが重要です。保護者の方にもしっかり責任を背負ってもらいましょう!笑

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 「成績不良生徒の指導はこうやる!」



「成績」……現代の学校では大きな大きな「物差し」となるもの。数字なのでわかりやすく、あたかも客観性があり絶対的なものと、つい思わせてしまう。しかし、いつどこの学校においても必ず成績優良者がいるように成績不良者も存在します。つまり生徒に求められるレベルがある限り、それは相対的なものにすぎません。先生が人間であり、その人間が付ける限り感情も思いも入ります。それでも、学校という場所は、塾や予備校と異なります。独特の対応が求められるのです。


同じ制服を着た生徒でも、よく見れば当然外見も性格も異なるように、教室で机を並べ同じように授業を受けていても、自宅で机に向かう学習時間が同じでも、学習内容の習得は一致しない。生徒全員が一定レベルをきちんと理解しているなんてことは稀。またその覚えたことをテストという形式で点数として表すことができるか、ということも教科の種類が増えれば増えるほど多様です。生徒の個々の能力は本当にさまざま。兄弟姉妹でも、双子でも、成績が同じであることはない。そういうものですよね。それが我々の基本的な目線です。成績不良の生徒の「質」や「原因」もさまざま。それなのに保護者はそこをきちんと分析・確認することもなく「どうしてできないんでしょうか」「うちの子はどうしたらできるようになりますか」と、一律に先生に頼ります。科目によってもさまざまなはずなのに。でも、我々はプロです。我々教員はきちんと指針を持って指導すべきです。


今回はその「成績不良者の指導の仕方」についてアドバイスしていきます。成績不良生徒はその原因から次の3通りに分かれます。それぞれの対応と指導方法を具体的に示しましょう。



    能力が厳しく勉強してもできない生徒 


もともと能力が厳しく勉強しても大きく変わることが望めない生徒、本人が努力してもまあ驚くほどの成長は見込めない生徒に対して。このタイプは全教科厳しい低学力の子もいますが、各科目それぞれいます。前述したようにそれは仕方のないことです。

ですから、割り切りましょう。本人の負担も軽減してあげましょう。まずテストの取り組みも他の生徒のようにすべての問題を最後までしっかりやり切らせる、なんてことは目指さなくてよい、と伝えましょう。高得点を目指す必要はない。本人がいくら頑張っても苦手科目はあります。コンプレックスなんて感じるな、得意不得意は誰しもがある。でも、学校で生徒としているのだから最低限の点数は必要なんだ、と。苦手な人でも体育や芸術、技術家庭など実技科目だって、みんな頑張って取り組むだろう?それと同じだ、と。それも本人に伝えるべきです。

だから、その科目の学習内容の多い少ないに関わらず、そういう生徒には「まずできる内容の易しい問題をしっかり正解にしよう。その数を少しでも増やそう」という声掛けをします。確実に取れる問題、主に基本問題や標準的な問題をしっかり正解になるよう、レベル的なものもあらかじめ絞った上で対策して勉強する。させる。それだって、苦手科目は本人にとってシンドいものです。成績優良のクラスの生徒や教科の先生に比較的簡単な問題と内容を聞いておく。平均点を目指す。「1」が付くような赤点にはならないよう踏ん張ることにとにかくこだわらせます。基本問題の反復練習あるのみです。欲張ってはいけません。そして、テストの復習もしっかりと取り組ませたいですね。



    勉強しているけど点数に現れず成績の悪い生徒 


勉強したことは周囲含め自他ともに認めるが、得点が低い。おそらくそういう傾向の生徒は効率が悪かったり、誤ったやり方で限られた勉強時間を無駄にしています。それと不注意。問題をよく読んでいないで解いている。そもそも間違って漢字や公式などの内容を覚えた。うっかりミス、ケアレスミス。生徒自身の性格的なものも影響しますね。……慌ててしまう、取り組みが雑、緊張すると視野が狭くなる、思い込みがち、こんなもんでしょと疑わない、などなど。これは性格も有るので簡単に直らない。

それと、そういう生徒にはもっと冷静にテストに取り組ませたいですね。そういう傾向の生徒ほど、テスト開始時に全体の問題数と解答用紙の答える欄を見て時間配分やできる問題探しをせずに、何も考えず大問1から解き始めてしまう。そして、当該問題の出題されている意図を読み取れていない。先生は必ずどの部分を理解しているかを聞いていますよね。記述問題や作文形式であっても生徒に答えて欲しいポイントを、逆算して問題を作成してますよね。彼らはそれを知りません。しっかりこちらの意図も伝えてあげましょう。


最初はその教科が高得点の友人に勉強法を聴いたり一緒に勉強するよう指導する。グループで放課後や休み時間に問題の出し合いなどをするのも良い。みんなで勉強し合うと効果は出やすいです。記憶に残りやすいから。ホームルーム担任であれば考査前に専門教科の先生に事前に時間を取っていただき、個別に質問するよう伝えます。それは生徒本人からお願いするよう指導しましょう。そして試験範囲の予想問題などのアウトプットに取り組んで、的確にできるよう反復してテストに臨むよう助言します。でんぐり返しも見ているだけではできません。



    能力は充分あるのにサボったために点数を取れない生徒 


怠惰による成績不良。実はこのタイプの指導が一番定まった形式もなく難しい。こういう生徒は残念ながら「繰り返し」ます。何においてもそうですが、先ほど言ったように性格はなかなか変えられない。サボり癖も治りません。特に1学期に良い成績を取ると、帳尻を合わせていくように手を抜きます。(……ちなみに欠席時数も。)確信犯なので厄介。でも、先生方は負けずに「ポテンシャルがあるんだからその先の進路・進学する学校をより高く、より幅広く選ぶためにももう少しやらなきゃ。能力的には成績上位者とは変わらないよ。頑張ろうよ!」と励まします。しかし、こういう傾向の生徒は「損得」や「楽か、面倒か」ということにこだわるので、今頑張って取り組むことが自分の得か、まだ大丈夫か、を計算します。我々としては次の学年や卒業後にアドバンテージになることを強調してモチベーションとしましょう。できるだけ何度も何度も。複数の先生で声かけしていく。こういうタイプは各教科で同じことをやるため、いろいろな先生方からしつこく言われる。本人は、言われ続けたことだけはしっかり記憶として残るので、卒業後に感謝はされます。笑



    プラスアルファで押さえておきたい生徒 


追加の重要ポイントは、それと同時に成績が不良者や赤点にはなっていないものの、前回より「成績が急激に降下した生徒を見逃さない」こと。そういう生徒は見えにくい。全体の中では消えてしまいがち。より成績の悪い生徒がいるから。

そういう生徒については同時に「原因」も探っておきましょう。原因は、教科の内容が難しくなり付いていけなくなった、進度が早くなり付いていけなくなった、欠席などでその分野が抜け落ちていた、あやふやなままなんとなくわかった気でいた、よく理解してなかったものの毎回点数のみ取れるように対策していて今まではなんとかなっていたものが誤魔化しきれなくなった、などが多いです。しっかりと個別に声掛けしましょう。


しかし、思春期の時期でもあり当該教科の担当の先生とうまくいかなくなった、彼氏彼女や友人との関係、部活動やお稽古事、家庭内での問題といった教科の内容やテストの問題以前のことなど、さまざまなことが影響するものです。あまりにも酷い場合は本人と面談する、あるいは家庭への連絡も視野に入れて対応しておきます。でも、このケースでは、我々の関与できるものばかりではない。関与できないことも少なくない。また根本的に解決できるものと、根本的には解決することが困難なものがあります。しかし、その原因については生徒、保護者、部活顧問などにもリサーチして確認、記録して、情報共有しておくべきです。



(終わりに)


先生は教育現場のプロ。今後も学校生活が続いていく生徒に対して、成績の落ちた教科の授業も受けねばならない生徒に対して、それぞれ適切な指導をしていくためにも、一律に叱るのではダメ。上記のポイントを踏まえ、きちんと各生徒の原因を分析した上で、本人に事後指導をしていきましょう。

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