2019年12月

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「学期はじめの準備はこうやる!」


長期休業に入りました。先生ご自身もゆっくり身体も心も休めましょう。ブラック職業の一つと言われているこの業界。健康のためにリフレッシュしていかないとやっていけません。学校現場や生徒たちから離れている時間は、その後の使うべきエネルギーの充電期間。教員なので常識を外れた行為や危険な行為は当然NGですが、趣味に遊びにレジャーに家族サービスにと、大いに自分のための時間を満喫するべきです。

しかし、新学期、新たな学校生活は確実にまたやってきます。そこで、今回は休み明けの「学期はじめに準備して取り組むべきこと」を考えていきます。

先生方が実際にわかりやすく準備するため、それらについて「ホームルーム担任として」そして「教科担当者として」という観点から、具体的な項目を挙げて整理しておきます。



  ホームルーム担任として  


(1)  通常(2学期3学期)の場合


①「出席簿」「座席表」「学級日誌」の準備。


出席簿については公簿。取り扱いもしっかりと。新学期にまずこの準備を忘れると自分のクラスを受け持ってくれる先生方からクレームが来ます。当然生徒氏名を間違えるわけにはいかないので、出席簿も座席表も名票を元に準備して確認します。

ホームルーム担任であれば出席簿の学期分の作成までしてしまうと楽です。私自身は学期の初日に終業式(あるいは修了式)までの分まで、日にちや曜日、行事の書き込みもすべて完成させています。そこで学校行事や授業日数も同時に確認してしまうのです。年間行事計画表を手元に置き、入試などで平常授業では無い日についても職員会議や企画調整会議などのプリントから確認しておきます。


②「学期当初のスケジュール」確認。


新学期スタート当初のスケジュール。初めの1週間あるいは平常の時間割になるまでくらいは確認しておきます。行事や特別時間割などがあればその時程も。加えて翌日以降の「持ち物」なども確認しておきます。宿題や洗濯などで持ち帰っている教科書、補助教材、体操着、靴などもあると思います。スタートからいきなりつまずくことのないように何度も伝えておきます。


③「課題」「提出物」の確認


各科目の長期休業中の課題の問題集やプリント、冊子などを学年の先生方と確認します。ほとんどは生徒に指示されてますから、各科目の係生徒からホームルームで再度連絡させても良いですね。また忘れ物の少ない生徒に確認するのも良いでしょう。

それらの他、保護者に書いてもらい生徒経由で提出してもらうプリント類、参加同意書、またはクラスの美化のために集める雑巾など、こちら側が忘れてしまうことのないようにしておきます。回収用にカゴも用意してクラスへ行きます。


  ホームルームクラスの用具や物品の確認


チョーク、黒板消し、クリーナー、掲示用の画鋲やマグネット、油性マジック、メンディングテープなど文具類のほかゴミ箱やそのためのゴミ袋。書棚やカラーボックスか設置されていれば、クラスで使うかもしれない行事や進路のための冊子も確認します。掃除用具の補充まで準備できたら完璧です。


  ホームルームでの話の準備


学期はじめの担任の先生からの話の内容として押さえておきたいポイントはいくつかあります。

まず最初は、生徒自身やご家族を含めて事故や怪我、病気などで今後の学校生活に支障が出ることは有ったのか、聞きます。有れば個人的に後で申し出るように伝えます。

大きいものは次の2点です。一つは「生活習慣の見直し」。長期休業中でスマホ中毒、昼夜逆転含めて生活面が乱れていることは容易に想像できます。就寝時刻や起床時刻を全員に思い出させてもいいですね。

そして「学習習慣の改善」。こちらについては生徒自身の目標の再確認と同時に個別に考えさせるべきでしょう。進路実現のための取り組みなのか、苦手科目・不得意科目の克服なのか、その両方なのか。

合わせて「部活動」や「学校行事」における目標、あるいは習い事・お稽古ごとの目標とそれを見据えた取り組みの準備をしていこう、と伝えます。


  その学期に行われる学校行事の確認


クラスの委員や係生徒へ意識喚起や具体的準備の指示を。こちらは口頭でも、プリントなどでも。いつまでに誰が何をどうやってするのか、書かせたりするとより良いですね。

もちろん、それと同時に学年内の先生自身の担当行事の準備もしておきます。主担当であればそのタイムスケジュールを立てて副担当の先生や学年や分掌の他の先生にも報告して、その実施までの意識を共有しておくと良いでしょう。こちらも文章化して渡しておけば自分が万一忘れても思い出してくれるかもしれません。



(2)  新年度1学期の場合


新年度のスタート時には、上記の内容に加えて以下の内容も準備します。


⑦「新クラスの担任挨拶」の準備


新学期であればクラス替えもあるでしょうから、新しく着任した学校でも、生徒向けに挨拶を。しかしそのための時間は長々とは取れません。学期当初は時間的に余裕が無いはずですので。その際には生徒を受け入れ、生徒から受け入れられるための印象深いポジティブな言葉を、是非メッセージとして伝えたいですね。


⑧「学年およびクラスの新学期の目標」の設定


学年については先生方が話し合って決めていますよね。クラスについては担任の先生が決めることが多いでしょうか。しかし生徒たちにより意識を持たせるなら、生徒たち自身で目標を具体的に立てさせると良いでしょう。それを3つ程度に絞って、書いて教室内の目に留まる場所に掲示したいですね。

生徒個人に目を向けるなら、最終学年であれば当然自分の志望している進路について具体的に再確認させます。それも時間があれば作文などで書かせておくと良いでしょう。

いずれも、文字に残すということは責任も発生するはずですから。


⑨「時間割表」の作成や確認


時程とともに科目名、担当教諭、使用教室・場所なども。見やすく作っておきます。生徒分もプリントして配布します。持ち物の準備や授業内容については各担当の先生に確認するよう伝えておきます。



  教科担当者として  


  自分の科目の課題の回収確認と指示 


学年共通であれば担当者同士で再確認。回収時にはあらためてクラス番号と名前を書いてあるか確認します。これを忘れると「名無し」の提出物が多かったり、提出忘れの生徒がいた時にチェックができなくなり、その後の授業で聞き取りをせねばならず二度手間になります。


  担当科目ごとの学期の総授業時数のカウント


担当科目ごと、クラスごとのその学期の総授業時数、少なくとも定期考査までの授業のカウントをしておきます。祝日や行事などで潰れる日は除くようにします。授業計画を立てるための準備はここから。ここが無いと行き当たりばったりになってしまう。授業の総時数を「分母」として、その授業数から次の指導分野や範囲などを割り振っていきます。


  授業の単元や教材の確認


共通の科目の担当者同士で、その学期に扱う教科書の単元や分野を確認します。2学期3学期であれば年度当初に計画していたものをあらためて確認しつつ小さなところを微調整します。生徒のそれまでの習得レベルに合わせて調整を。

また定期考査のテスト担当者も再確認します。

同時にこれから行われる授業内の補助教材の取り扱いや小テストなどについても話し合っておきます。


  いわゆる教材研究

こちらは授業準備そのものですね。例年教えてきたものの焼き直しであっても、そこで安心せず見直しをしましょう。昨年の指導内容や進めるためのスピード、やり方、具体例のあげ方、板書内容なども、バージョンアップが不可欠。準備や予習も一歩引いて俯瞰して見て、生徒の顔も思い浮かべてシュミレーションし、より良いものにしましょう。



(終わりに)


学期のスタート時には、教員であるこちら側も長期休業明けで(さらに新年度であれば異動や着任した後などで校内の場所や他の先生方の名前すらわからず)バタバタしているため、経験のある先生方でもいろいろやるべきことを失念してしまうものです。それに対して生徒たちは「いつ何時でも先生とはすべて覚えていて準備して見ているものだ」と「錯覚」しています。先生と言っても人間です。ましてや新しい学期が始まるまで、先生方も集まって確認しながら現場にいる機会や時間は無い。

長期休業中には先生自身も切り替えてお休みします。当然充電は必要ですから。でも「学期のスタート前に準備をする時間を作らなきゃ」くらいは頭の片隅に置いておく。学期前にやることは「準備」がすべて。俯瞰して想像して思い出して。子どもたちに話していること同様に「準備が欠けていたらその先に苦しむのは自分自身なんだよね」という意識は忘れないようにしたいものです。



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「成績評価の付け方とレベル別指導のポイント」



国立や私立の小学校受験は専門の塾に任せるとして、ここでは中学校、高等学校での成績の付け方と、その生徒のレベル別指導のポイントについて助言していきます。現在の日本の主な成績評価の付け方は、10段階、5段階がほとんど。中学校では5段階、また高校でも学期末の評定は5段階となってますね。

また、中学校ではご存知のように4つの観点別評価から評価をしますが、これはつまり相対評価を加味した絶対評価になり、相当なことがない限り下の方の成績の生徒でも全体的に悪くなりにくい付け方を指導されます。つまり定期テストの点数だけをもってして付けない、平常点を加味する、ということです。


では、先生方はどのようなことに注意して成績を付けるべきでしょうか。またその時の生徒への対応はどうすべきか。成績別にポイントを押さえて確認しておきましょう。



★  ①  優秀な成績の生徒  ★


優秀な生徒に成績評価を付ける際の注意点ですが、最初=1学期に甘めに付けると、舐めて勉強しなくなる生徒も出てきます。それゆえ、当該生徒には「周りが低かったからたまたまギリギリでこの成績になったけど、本来この成績ならもう少し点数を取れるようにしないと次の学期(学年)では落ちちゃうぞ」と一言添えてください。

2学期や学期末には、他教科との勉強の兼ね合いもあり、ときに高得点を逃してしまう時もあるかもしれませんが、大崩れがない限り当然「5段階の5」になりますよね。そこで安心させてしまうことのないようにすべきです。「5段階の5」と言っても、それも実はクラス、学年、その年の代全体から考えた時の相対的な評価に過ぎない。それなのに「あの生徒はできる」と見えてしまう。錯覚や思い込みもあり得ます。我々自身も自校の業務に追われ、より高いレベルの学校の生徒の現状や日常見ることはなかなかできないですから。今まで教えてきた生徒でずば抜けてできた生徒の基準値を思い出し、今の生徒との比較や振り返りをしたいものです。


ですから、成績を示して褒めて終わるのではなく、生徒の今後のためにも「難易度の高い実力問題」や「入試の過去問」などを、先生自身の方から個別に呼んで紹介して、当該教科・科目についてより高い意識や取り組みに舵取りをしてみることも大切です。つまり、よりレベルの高い知識を習得する機会を与えてあげる。そうしてあげることは本人のプライドをくすぐると同時に知的好奇心も萌芽するきっかけにもなり、その保護者に向けての教員側からの確かなメッセージにもなります。



★  ②  平均くらいの生徒  ★


「大多数の生徒は教科・科目によらずこのボリュームに入るだろう」と思ってしまうのは、実は現場経験の少ない若手教員の陥りやすい捉え方です。今の学校現場、特に公立の小学校や中学校においてはこのボリューム層は逆に減ってきており、上位層と下位層の差が如実になってます。この平均点くらいの生徒の中には、基本知識の習得がしっかりされておらず理解が曖昧なまま、定期考査などでたまたま得点してしまったことでその中間層にいる生徒が少なくありません。(ゆえに応用問題は解けない。)

中学校であれば小学校時の、高校であれば中学校時の習得レベルがベースになっています。だからこそ、受け持っている集団やクラス生徒の学力レベルが低ければそのひとつ前のところから教えざるを得ません。知っているはずの知識がないのですから。

学校によっては、その生徒が5段階で「4」が付いても「どちらかというと3に近いぞー」とか、「3」を付けざるを得ず付けてしまった生徒にもそこで安心させないよう、受験産業の塾や予備校主催の「模試の成績」や「全国偏差値」を気にすることを強く伝えます。そしてその模試の復習などをしっかりと取り組ませ、知識の定着を図るべきです。今のあなたにはそれ無くして中堅校、ましてや上位校への入試合格は厳しい、と現実も伝えておきましょう。



★  ③  成績不良の生徒  ★


どの学校にも多数の生徒が在籍する限り、座学の教科だけでなく実技教科でも当然、成績が上の生徒から下の生徒は存在します。ということは、どこの学校でも成績で「1」が付かない生徒は存在しません。すべての学校でこの生徒の指導は必要となります。

低学力の生徒に対しては、最低限この問題が解けないと定期考査などでは大問【1】に当たる基本問題などです残念ながら成績は「1」が付いてしまう、ということをあらかじめ全員の前で伝えておきます。最低限は取ろうよ!ということです。

それでも点数が取れない生徒はいます。

その原因としては、

・必要な勉強や与えられた課題に取り組むことを本人がわかっていても集中が続かない、あるいは、諦めてしまう。

・スマホのゲームや漫画、YouTubeSNS中毒。

・妄想などに逃避する。

・家庭に問題があるため勉強できる環境にない。

などが多く見られます。


こういう生徒は確実に存在します。それも絶えることはない。未来永劫続くと思われます。だからこそ成績不良生徒なんですから。わからないことを押し付けられるのは、我々大人であっても苦痛。ましてや生徒は子どもです。だからこそ、この問題に対して我々教員は「割り切って捉え、割り切って取り組むべき」です。本質的には、その生徒は低学力であるからこそ(例外はあっても)他教科でも同様であり、繰り返し勉強を放棄するからです。


授業妨害など問題行動を起こす生徒に対しては、担任の先生と連携して指導して、もともと低学力ではない生徒であるなら放課後に残して指導して成績が「1」だから居残り指導をする、と伝えます。それが「2」であっても、限りなく「1」に近い「2」だから、と伝えて居残り指導の対象生徒にします。そういう生徒は束縛されるのを異常なほど嫌がりますから、一斉授業における授業態度の改善の約束をしたり、ノルマ達成を約束事として教科指導と共に担当教員との関係性を改善します。

しかし、いずれにしても「学期末の評定ではなんとか「2」にしておこう」と先生も共に頑張る意思を当該生徒に表明するとともに「点数は取れないと、さすがに先生もズルはできないよ、一番下の成績を付けざるをえないよ」と伝えます。



  ④  成績評価の付け方の現状と今後 


中学校では、生徒の学力レベルよりも取り組む姿勢や態度が相当酷いものでない限り、学期末の「1」は付けにくくなっています。また市区町村や学校によっては、基礎学力がしっかり身に付いてなくても、おとなしく先生の言うことを聞いて人畜無害であれば評定が「3」になってしまうというところも少なくありません。なぜなら本当の実力だけで評価してしまうとその科目全体の評定平均が低くなり過ぎてしまいベテラン教員や管理職から指導が入ってしまうためです。


高校でも、現在、テスト一発の成績だけによる評価の付け方でなく、多少点数が届かないくらいでは学期末に「1」を付けられないのが現状。なぜなら当該科目の単位が未習得になってしまうからです。考査開けの成績会議までの期間に補習をして指導するように、つまり管理職サイドは一斉授業とは別に生徒個別の学習能力に配慮して「2」にしてやるように、その指導にも乗って来ない時のみ「1」もやむなし、というスタンスだからです。

また、大学入学共通テスト導入が決定し、その他の受験形態となる公募制推薦、AO推薦、指定校推薦の募集枠が増えつつあることを意識して「評定平均を各校上げる」よう、管理職から指導や助言が入ってきています。自校の生徒の出口の確保やそのための受験機会の確保のためですね。それ自体は正論。ですから、現場の我々教員にとっては創意工夫や引き出しを常に個別補習などで準備することが必須になりますね。



(終わりに)


では、先生はどう成績評価に向き合うべきでしょうか。先生方は、上述したような「生徒の進路確保を見据えた評価を付けざるを得ない」という時代の流れの中で、成績を集団の中で割り振っていくのですから、教える側の評価の捉え方やある種の妥協は不可欠です。そこにストレスを感じるのでは無く、逆にそこには割り切って取り組む。上から目線で成績で脅すことなどなく、また生徒に迎合しすぎることもなく。

受験のために教えねばならないことも当然数多くあるのは承知の上で言いますが、子どもたちには「最低限必要な基礎学力」を反復で何度も教え込むべきだと思います。できたら小テストや先生と復唱するなど必ずアウトプットの形を用いて。「またー?」というくらい繰り返して構いません。それくらいでないと記憶には残らない。

そしてそれとは別にプラスアルファの形で、授業中に受け持っている「教科・科目の魅力」をぜひ子どもたちに伝えて欲しい。ご自身がその教科・科目の先生という職業を選ぶきっかけになった時のことを思い出して。熱量を込めて。先生の人間的な魅力は、その教科の魅力にも繋がっていますから。その教科に興味や関心を持ち始めれば、当然学習態度や取り組む姿勢にも変化は出てきて、内容把握と理解度の向上や成績アップにも繋がっていくはずです。

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