2020年03月

IMG_4601


「生徒の学力別特徴と対応上の注意    その3    〜学力上位編〜



今回のテーマは前回に引き続き「生徒の学力別特徴」をもとに、我々教員側の生徒指導上のポイントを押さえていく「生徒の学力別特徴と対応上の注意」について。3回目にして最終回「学力上位編」です。少々長くなりますがお付き合いください。


  学力上位の生徒の特徴  


この層の生徒は、教員側から見ると指導しやすく問題もない、いわゆる「良い子」に見えます。ゆえに、我々教員もそれより下位の生徒に関わる時間を取ることが多くなりがち。生活指導も進路指導も心配無いだけに「放ったらかし」にしてしまうことが少なくない。しかしそれでは「先生」とは言えない。我々ももう少し関わり方を考えるべきでしょう。


学力上位層の生徒は子ども本人ばかりでなく保護者の見る目線もシビアです。実績がある先生はある意味「楽な」部分もあるでしょう。でも、口先ばかりで高圧的な態度でいたり、借りてきた言葉をただそれっぽく伝えても、見透かされます。

また正直に先生自身が経験があまり無いことを吐露してしまっても、生徒・保護者も(人間的に馬鹿にすることなどは本当にまあ稀でしょうが)彼らの心の中で一線を画することはまず間違いありません。

つまり、我々の経験値(教員としてばかりではなく)や、その伝え方・表現までも日々試されますし測られます。まさに「人間力」が見られる中で付き合っていくわけです。そう言われてもこちらも生きていれば成功体験ばかりではなく失敗することや試行錯誤は当たり前。それでも彼らから求められる先生像を考えると、我々には日常から感性を磨くことや外に向けて表現することが求められます。それでは、我々教員はどんな対応ができればいいのか。


  →  あくまでも私見になりますが、私の経験上では下記のように取り組みました。

①まず、自分の失敗した過去は原則言わない。必要の無いネガティブな情報は出さない。

②生徒との関係上、自分の明らかなミスであれば「ごめん、先生が間違ってた!謝る!」とすぐに謝罪や訂正をしてしまう。どの学力層の生徒に対しても当然そうするべきですが、この層の生徒には特に誤魔化しが効きません。

③「課題設定問い掛け」型の指導を中心にする。どんなプロセスであれ、ちょっと先に「大人」になった者として、我々なりに見えているものもありますよね。生徒に対してはあえて答えを示さず「問い掛け」をすることで、ステレオタイプな価値観ではなく、より深く考え物事や人生を見つめ直すきっかけにもなるのではないでしょうか。

我々教員側からは、その子の状況に応じて上質な問い掛けや含蓄のある言葉を、タイミングよくピンポイントで投げ掛けられる、そんな資質も持ち合わせておきたいものです。

さっそく学力上位層の生徒の特徴について見ていきましょう。


  偏差値65くらい  


◯「勉強は当然するべきものだ」と普通に思っている。大人に叱責されたからではなく自ら勉強はする。必要なことだと思っているから。大人の言うことも聞き優秀なので、先生は安心してみていられる。運動能力の高い者もいて、モチベーション高く日々継続して取り組める。運動の苦手な者は、芸術分野において特に秀でている者もいる。

座学の授業や科目は嫌々やらされてるわけではないので、切り替え継続して学習できる。

成績も平均以上を取るのは当たり前。だがその理由は「小さい頃から要領よく点数の取り方を身に付けている」ため。

得意科目があり突き抜けた成績の科目がある。この層は、逆に「苦手な科目」もある。5教科以外でも芸術や保健体育など実技科目でも苦手なものがある。例えば、体育の陸上や球技は得意でも水泳が苦手など。

また苦手科目、本人にとって受験科目ではない科目をあっさり捨てる。

人に対して時に「皮肉を言う」。皮肉もグサッと刺さる表現をする。

  →  できていることは個人的に一対一でしっかり具体的に褒める。「でも自己完結せず、苦手な科目や苦手なことにもチャレンジしてみようよ」と声掛けしましょう。その得意で無いことに挑戦した彼らをしっかり見ておき、後でみんなの前でその挑戦を褒めてやる。成長の跡までも褒めてやれば本人の自信にもなり、見ていてくれて評価してくれた先生との信頼関係もできます。


◯明朗活発。温和で優しく友人も多い。「自分の考えと違うな」と思っても、周囲の雰囲気を見て折り合いがつけられる。

基本的生活習慣がしっかりとしており家庭での学習習慣ができている。スマホは依存にはならない。連絡中心。あるいはツールであることがわかっている。スマホの接し方もコントロールできる。塾や予備校、学校の先生と良い関係が築ける。時に前夜の勉強が原因となり寝坊して遅刻する。笑

小さな頃から親に習い事をさせられる。スポーツ、ダンス、水泳なども多い。継続して続ける。読書の習慣と環境は親からもたらされている。年齢が上がっても、知的好奇心から読書する。

  →  一部の独善的な生徒を除けば、「生徒間の相談役」などにもうってつけの生徒ばかり。原則なんでもそつなくこなせるので人望もある。クラス、行事のグループや団、部活動のリーダーとして責任を持って取り組めます。どんどん任せるべきでしょう。保護者も協力してくれます。部費やクラスTシャツ代、文化祭の衣装代、卒業旅行のお金なども援助してくれるのがこの層の保護者。安心して良いでしょう。

ただし、数名の生徒にそのリーダー役を集中してしまうことのないようにします。いろんな生徒にリーダー役、サブリーダー役、それ以外の立場の役をやらせるよう工夫して経験値を積み重ねられるようにしましょう。


◯自分より勉強でもスポーツでも、「自分よりできる者の存在を認知」している。だからコンプレックスも確実にある。叶わない自分の力を把握しているゆえに、ヒエラルキーのトップに立とうとは思っていない。

が、その部分は「時に爆発する」。鬱積したものが破裂したり、どうにもならなくなって泣いたりした時に。

だから、海外など知らない世界に出掛けて行って自分の経験値や研修になることもやろうとする。

  →  コンプレックスがあることは必ずしもマイナスに捉えることではありません。この層の生徒はより上位層の生徒からいろんなことを学ぶ力があります。感情が爆発しても基本ほっておいてまず大丈夫。(ひどい時は保護者へ一本報告しておきます。)逆に学業面の行き詰まりや友人との人間関係上の問題が起こりそうな表情については、こちら側が読み取れるアンテナは持っておきたい。保健室の養護教諭、スクールカウンセラー、彼らにとって話しやすい近しい先生がいることをクラスや学年集会などで伝えておく。「学校にはあなたたちを守ってくれる、悩みを聞いてくれる先生はいるんだ」ということを彼らに伝えておきましょう。


  偏差値70くらい  


◯記憶力がいい。一度学んだことはまず覚えている。忘れていたとしても、学習したことは覚えている。自分を客観視できる。冷静。スマホはツールとして活用。依存になることはない。

行事も好きでその価値を認めている。積極的に関わる。人に対しては温和で優しい者が多い。友人や周囲の抱えている問題にも真剣に向き合える。

テスト、受験が目の前になくても、日常的に学習に「集中して取り組む」ことができる。得意科目は複数ある。突き抜けている科目も複数ある。苦手科目は有るが、それでも平均レベルより下には落ちない。そのくらいには成績を止めることができる。受験の参考書やアプリは「受験というゲームの攻略本」として捉えられるほど余裕がある。

計画的にコツコツとしかも確実に積み重ねて目に見えるものを作り上げることができる。

「上から押し付けられる」のは苦手。「嫌悪感」を出す。自分や近しい友人たちと独創性を求め取り組み、成就感を得ることに価値を見出すことができる。勉強のほか学校行事や部活動などでも自律的に集団活動の中心になることができる。先生や親も期待しているし、その期待に応えることができる。

  →  いわゆる優等生。勉強以外のことでも学生として今何をすべきかわかっているので、文化祭などでも長期間にわたって準備して完成度にこだわるはず。「口を出さないからな。君たちでやっごらん」でもできてしまうのですが、ここはやはり先生として見てきて今までの良かった例やその逆の上手くいかなかった例を上げておきます。ほのめかす程度でもいい。なぜなら彼らは独自性があるものにこだわって取り組むはずだから。プロレベルや芸術系の大学レベルの話、センスに秀でた過去の例も喜びます。大好物です。彼ら自身がそうなりたいから。笑    ネタを準備しておきましょう。


◯就職する、仕事をする、大人になる、ということは、お金稼ぎもあるが「社会貢献だ」とわかっていたりする。

本人に向いているかどうかは置いておいて、小さい頃から親に習い事を複数させられる。特に英語、ピアノ。親の趣味からだとピアノ以外の楽器や絵画。で、やってみた後に自分の力を見切ることもできる。

跡継ぎとして期待されていない家系だと医歯薬系の学部を目指していてもそこまで本気でなく「東京大学なら親も納得するか」と方向転換したりする。親も折れる。しっかりと自分を持っている。自分は自分。他人は他人。揺るがない。ゆえに「自己中心的行動も見られ集団行動が苦手な者」もクラスに一定数はいる。「自分の夢や進路の準備=自己実現」のために、所属する部活が集団スポーツで顧問の先生や友人がいるどんなに引き止めようと試みても「躊躇なく」退部し辞めていく。そして後ろ髪を引かれることもなく、サッサと切り替えてそのための準備に勤しむ。笑

日常生活ではあまり大きな声を出して笑ったりしない。時に周囲に冷たい人間と見られたりする。しかし、部活動や学校行事で盛り上がる時に、かなり「はち切れる」のでそのギャップに驚かれる。笑

実はふだんは蓋をしているが、絶対に人に言えない部分や過去の経験があり、それには触れないように生きていく。心の闇を周囲に漏らさないのはプライドでもあるが、それよりもふだん違う位置から自分を俯瞰して見ているため、振り切れてしまっているその自分を見たくない。精神的に病んでしまう場合もある。

  →  信頼と信用のもと、彼らに「責任も」預けることが大切です。そのことは当然、我々教員自身の「責任」にもつながっていますが。集団行動より自分を優先する時があるので、あらかじめ線引きをさせる。ルール決めもさせる。

また学校という枠を超えた事にも挑戦できる(数学オリンピックや英語ディベート大会など)のでその機会を作ってやる。知的好奇心をくすぐる。好奇心のアンテナに引っかかると答えの無いものでも、彼らはモチベーション下がらずに努力できるので、それを先生は知識や情報として提示しましょう。人生の先輩として見えていて、なおかつ足りないものを示唆してやる。彼らは面白いように取り組み、勝手に意見や主張を戦わせるはずです。


  偏差値75以上  


◯勉強は日常。知識欲がある。小さな頃から知的好奇心が旺盛。やらされてやるのでなく自分から取り組める。学習したことは基本的に「一回で覚えて忘れない」。あまり無いが、アウトプットのうっかりミスを笑って振り返り、原因分析できる。ある意味で人間離れしている。「宇宙人」。基本は冷静。だが、自分なりの発見があった時にはひとり興奮する。

「声を出して笑わない」。人付き合いが淡白。冷たく見られることがある。しかし本人はまったく気にしていない。常に我が道を行く。

協調性に欠けるときがある。近しい友人と継続して積み重ねていくのはなんとかできるが、不特定多数の人間に合わせるということが苦手。

学校や教員、親とも揉めたりすることはない。世話になっても過剰な期待はしない。そして周囲の関係者を上手に「活用」できる自身の力がある。

大学で勉強したいことが専門的にある。将来的に研究していきたいことがある。自分の時間に新書や専門書を読み、筆者の意見を踏まえてさらに自分の意見も持つことができる。世の中の真理を掴みたいと思っている。それを踏まえて生活し学んでいる。エポックメーキングな技術を発見してさらに開発する。

物事に没頭したり本当に集中すると「時間の概念」が無くなる。親や先生が遮ろうとしても、迷惑を掛けることになっても、その好奇心が強すぎて「時間を守れず」気が済むまでやり続ける。

→  「天才」と呼ばれる人はこの層から生まれてくることが多いと思います。(私見ですが、後は偏差値45以下の層からだと思います。やっぱり我々の「規格外」なんだと思います。)

我々教員は淡々と、彼らのやるべきこと=普遍的でかつ高いハードルの課題を、授業内外で与えればいいと思います。ゆえに、こちらの準備は時間を掛けて綻びなくしておくことが求められます。将来、当たり前のように社会のトップに立つ人材や芸術家などがほとんどなので、専門の枠に収まらない「普遍的なこと」を伝えます。

また彼らはもともと子供っぽい部分はあまり無いので「抽象的なこと」を具体化して実現できるようなことを、そのテーマとともに与えてやる。とんでもないアイディアが出てくるはずです。(知的な発見やハイレベルの到達点にたどり着いた時は子どもっぽくなり、ニヤリとします。)それを披露できる場を設けてあげましょう。


  終わりに  


以上、3回に分けて生徒の特徴を学力という物差しをもとに考察、分析し、その対応上のポイントについて助言してきました。しかし、当然子どもたちは「生もの」です。常にその子どもの「背景」を透かして見ながら、先生方同士が彼ら自身の「現在」の状況を共有しておく。そして我々は目指していく「未来」のため子どもたちに獲得して欲しい力を示唆していけるようにしたいものですね。そのためのテクニックについてはまたあらためて。

IMG_3569



「生徒の学力別特徴と対応上の注意    その2  〜学力下位編〜」



今回のテーマは前回に続き「生徒の学力別特徴と対応上の注意」について。その2回目。「学力下位の生徒編」です。前回の「学力中位」の生徒とは、また微妙に異なる質を持っています。ぜひとも比較しながら読んで欲しいと思います。



  学力レベルが中位に届かない生徒の特徴  


この層の生徒は、「非常に繊細」な部分を持っているため、教員側はより個別にそしてよりデリケートに対応しておくことも求められます。そして学力が低いからとは言うものの「影響力がある」子が少なくない。逆に言えば、彼らをきちんと理解してコントロールできるかは、教育現場での指導上とても大切な要素になります。

自分たち自身でゴールから逆算して計画を立てる、役割や短期間での目標を立てて、毎日サボることなく積み重ねていく、それを客観的に検証し、分析した課題をフィードバックして新たな計画を立て直す……といったことは残念ながらできる生徒たちではない。つまり丸投げして「自分たちでやりなさい」では崩壊してしまう。当然のことながら勉強も同様ですが、ホームルームや部活動、あるいは学校行事が成功するか失敗してしまうかについても、彼らのモチベーションと我々の指導力に掛かっているとも言えます。我々の「腕の見せどころ」にもなってきます。

さっそくその特徴について抑えていきましょう。



  偏差値50くらい  


◯勉強は苦手。コツコツ型の真面目な子でも要領よくできずに点数はなかなか向上しない。勉強は基本的に避けたい。でも、しょうがないからやる。そういう子が多い。受験期など真剣に取り組み始めると、まずグンッと伸びる。要領よく得点したり、先生と良い関係を作ってそれなりの成績を取ることができる。

しかし続かない。学習習慣がなかなか定着しなかった経験や勉強し続ける体力が無いことから、その後はやってもなかなか伸びない。そして我々教員はいつも思うんです。「もう少しやれば、もう少し深くやれば、もうひと伸び行けるのに。もったいない」って。

  →  宿題や予習範囲の指示をする。でも、やり方も考えてできない子が多いので、その準備やインプットのやり方までも教える。こまめに課題や提出物や小テストを課し、日常生活の中でも学習習慣を付けてやることが求められます。


◯温和な性格である子が多く、どこにいても友人は多い。友達の輪の中心にいる、あるいは面白キャラや不思議ちゃんキャラで、必要な友人として求められる。

面倒なことや自分が連帯責任の中心となるのを嫌がる子が多いのもこの学力層。そして「嫌だな」と思う時にハッキリ「顔に出す」。

  →  性格や人間関係の良いところできる科目については常に個別に、また三者面談など保護者の前でしっかり褒めてやります。褒められて嫌な子はいない。嫌な親もいない。

そして「みんなからも信頼があり注目されているんだから、嫌な気持ちをすぐ漏らしたり表情に出すのは良くないよ」と言いましょう。はっきりと伝えるのも先生の大事な仕事です。親にも協力してもらいます。損をするのは彼ら自身。

その上で「〇〇がこういう役割まで自分からやってくれたらなぁ」と伝えて、本当の拒否である場合を除いて、必ずやらせる。ここではあえてやらせて彼らの「経験値」を上げます。それを材料にして受験時の面接対策もできるようにしてしまいます。


◯スマホが気になる。すぐ見ちゃう。すぐ触る。時にSNSで余計なことを呟いて指導される。自分の中での優先順位が、勉強よりも部活動や遊びや趣味が上になっている。そのため勉強への切り替えが苦手。それでも今までの分を取り戻すようにテスト前や受験期には勉強する。

効率よくテストや受験を乗り切りたい。近道を行きたい。だから先生に具体的な質問をすることができる。でも、その質問も実は授業でやった内容が多い。発展的な質問内容では無いことが多い。

  →  スマホの功罪について彼らはよく知っていますが、すぐ抜けてしまう。自分の日常のことなのに。その都度言い続けていくしかありません。

テストについては、このレベルの子は校内の定期考査で良い点数を取ることはできます。しかしながら全国の同じ年齢の生徒が全員受ける模試や高校入試や大学入試でしっかり内容を読み解き一定の点数を取れることが少ない。標準問題を確実に得点し、さらにその上の応用問題も解ける。そのことこそが実力であることを伝えます。


◯提出物や課題など与えられたことは最低限やる。苦手科目は極端に成績が悪い。興味、関心がある得意科目がある。そういう科目は積み重ねて学習できる。しかし、サボるとすぐ成績は下降してしまう。

夏休みや冬休みなど長期休業中に、スマホ依存の生活を送り「夜型」になる。ゆえに生活習慣が乱れる。夏休みや冬休みの宿題はギリギリにまとめてやっつける。

テストは受ける。勉強していてもしていなくても。受験に必要のない科目はテスト前の休み時間に試験範囲を眺める程度の生徒が多い。

ギリギリで点を取り、成績の帳尻を合わせることも度々あり、良い意味での小狡さもある。逆に成績で赤点がなく、単位が取れることが早めにわかったり、進学先が周囲より早めに決まると、3学期にほとんどやらなくなり、サボる。

  →  「勉強する」ということの意味を理解させます。苦手科目の克服、課題の提出、赤点を取らない、成績不良生徒にはギリギリでもならない、これらは「放棄しない自分になる」意味を伝えて指導します。

また彼ら自身の「人間性」や先生はじめ周囲に与える影響も考えて常に言動に気をつけるように!とことあるごとに個別で声を掛けます。


◯家族と仲が良い。あるいは距離をとって良い関係にしておくことができる。精神的に幼い子が多い。ストレスがあまりない。(日常生活においてやりたいことをやり、やりたくないことをやらないから、とも言える。)感情は表情に出るので非常にわかりやすい。

将来のことや進路のこともなぜか楽観的。

進路先の偏差値などのヒエラルキーに弱い。

  →  ストレスが無いのは良いこと。でももし家庭内でのトラブルが無かったとしても問題が全く無いわけではないので、小さなことでも面談等で聴き出しておきます。

自分の具体的な志望進路、将来のことは未定でも構いません。ただ与えられたことは勉強でも学校行事でも部活動でもお稽古事でも趣味でも、全力でやること。生徒会役員でなくてもレギュラーでなくても、小さな役職や肩書きでいいからその中でやりきったことが子どもたち自身の「経歴」となり「アイデンティティ」となることをホームルームなどで伝えます。この層の子どもたちは理解できます。与えればできます。


◯身体能力が高い者も多い。スポーツだとプレーの質が高い者もいる。練習などからコツを掴み、センス良く自分のものにしてしまうこともできる。部活動では下級生の時から上級生に混ざって活動できる。行事などでも与えられた役割をきちんとやることができる。

教員を親のように見ることも少なくない。保護者も教員に対して協力的。しかし期待値が高く、父性や母性まで求めがち。

  →  どんどん高いレベルの中でやらせるべきですね。彼らがメンタル面で「勘違い野郎」にならないよう見続けておく必要も我々教員にはあります。保護者との関係は良くしつつも、生徒にも保護者にも我々先生という職業は生徒全体、学校全体の奉仕者として存在する、というスタンスはハッキリと伝えておきます。もちろん同じベクトルで子どもを見守っていきましょう、という話をします。



  偏差値45以下  


◯勉強や体育や芸術など実技科目も、苦手なことはイヤ、嫌いと「口に出す」。言ってもしょうがないでしょ、解決しないでしょ、という考えはなく、感情、特に不快感はハッキリ示す。人間関係も限定的で、悪化することも。SNSにもいろいろつぶやいてしまう。それでさらに関係は悪化してしまう。

「睡眠欲」にとても弱い。ゆえに授業中に寝る子が多い。遅刻常習者も多い。スマホ漬け多い。

アルバイトは授業以上にやる。

学校行事は好き。

彼ら自身の体調が良く気分が良い時には、先生にもすごく良い対応をする。

自分がある。周りの人間関係や偏差値のヒエラルキーには左右されない強さがある。時に大舞台で活躍して結果を残すなど、ものすごいパワーを発揮することもある。

短期間で魅力的なものをアピールできる。

→  基本的生活習慣の確立がまず最初のハードル。授業遅刻は、他の生徒の授業妨害になっていることを伝えます。授業中に眠っている時はその都度起こす。休み時間に問い掛ける。

学校行事は、アルバイトに気持ちや生活が行ってしまっている彼ら自身に、再び学校へ目を向けさせる良い機会。団長や委員長など役割を与えてしまいましょう。文化祭や体育祭など特にお祭りごと系は好きな子が多いですから。(ただ、副団長ら副委員長に、真面目に細かいことができる、いわゆる仕切れる子が彼らとセットになることが大前提ですけど。笑)


◯言動や表情もシンプルに思っていることが出やすい。考えもわかりやすい。キレて不要な発言をしてしまうことがある。

嘘をついても、不正行為をしても、友人を傷付けてしまう言動があっても比較的すぐに認める。

  →  特別指導になる案件や問題が起こった時も彼らに対して「お前たちの心の底から思っていることをなんでも話してごらん」などとはこちらから絶対に言ってはダメ。聞く必要もない。「今傷ついている相手に対して、その関係する周囲の人たちの前でどう思う?」というスタンスで、相手の立場にさせて考えさせながら問題解決を目指す。


◯勉強は苦手でも、高校進学や高校卒業のためにやらねばならないことはわかっている。そのための努力はする。が、長いスパンはできない。

部活動や趣味など、個人でやるものに関しては優秀なことが少なくない。ずば抜けていてそれを職にできるレベルにあったりする。ある意味、天性のもの。教えられたものを昇華するというのではなく、自身の感性で掴んだものを表現できる。

  →  勉強は学校として最低限のルールを守る中で、最低限の点数は取ろうよと約束させる。彼らは長時間にわたり勉強することはシンドいので、テスト前や受験前だけでも、一緒に勉強する友人らと補習や居残り勉強をする場を作る。環境を整えてあげる。彼らはゲーム以外には、原則一人で行動しない。(一人で行動していてもかなりの割合でSNSを利用している。)ましてや勉強は一人でなかなかできない。スマホに逃避してしまうか寝てしまうので、彼らに近しく勉強が少しできる生徒たちに協力を仰ぎ学習環境を作ってあげます。

部活動や習い事、今現在は離れてしまっているとしても彼らのセンスは再びすぐに表現できるなど素晴らしいものがあります。理屈ではなく天才肌だったりします。そういう内容のことはクラスみんなの前で先生から常に評価してやります。


◯野生の勘。自分の「味方か敵か」をみる。自分のことを考えてくれてるかどうか。口先だけか、本物か。基本、大人を信じてない。そして教員を大人の代表として見る。

でも、本質や真理を知っていて自分のために熱心に本気で関わってくれる先生や大人に憧れて自らも関わってくる。部活でも勉強でもそれは同じ。また愛情を掛けてくれる人にも愛情で返せる。人の繋がりをものすごく大事にする。

ゆえに、女子生徒はふだん愛情の薄い環境にいて、彼氏から愛情(本当か?)を掛けられ求められると別世界に行ってしまい、なかなか学校の世界に戻って来てくれない。苦笑

  →  彼らは我々教員だけではなく、上級生や部活のコーチ、アルバイト先の先輩など、常にそういうスタンスで大人を見ている。言葉だけでなく、言い方、話している周囲の状況、どんな人間か、よく見えている。小さな頃から経験してきたものかもしれない。特に教員に対する見方は厳しいので、事あるごとに「先生を試します」。

ですから、先生側は彼らが何を求めてどう接して欲しいのか、そして我々教員がどこまで入り込んで関わり、どのレベルまでどのように導くのか、をよく考えて対応します。ここを間違えると厄介です。「親身な対応」と「余計なお世話」は彼らにとっては紙一重です。

しかし、ある意味、この層の特にヤンチャな生徒は常に目立ちますし、場を盛り上げたり壊したりする力はありますから、関係する生徒は常に先生とその子のことを注視しています。それゆえ先生のクラスや部活の指導能力が毎回試されます。でも先生は慌てることなく対応しましょう。彼ら自身はもちろんですが、他に影響力を持っている近しい生徒や人間関係でキーとなる生徒を押さえておくべきです。先生の味方に付けておく。彼らは先生の正論よりも友人の言葉を信用するからです。そしてそのグループとの連絡も密にしながら、クラスや部活、委員会の運営をしていくと良いでしょう。



今回はここまで。いかがだったでしょうか。

次回も引き続き「生徒の学力別特徴と対応上の注意」についての3回目。「学力上位編」です。お楽しみに!




IMG_4088


「生徒の学力別特徴と対応上の注意    その1〜学力中位編〜」


慌ただしい年度末を終えるとまた新学期を迎えます。新たな年度がスタートするばかりでなく、先生にとっても生徒にとってもその保護者にとっても、大きな節目となる四月。学校という場所の存在価値をあらためて検証してみると、先生の役割の重さというものは、この日本においていまだに大きなものであることがわかります。


日本において社会で働く総人口のなんと「66人に1人が教員」というデータが有ります。このことは社会におけるIT化の普及やAIの導入が早急に求められていても、「教員という生身の人間」の指導がまだそれだけ必要であることを示しています。

なおかつ、義務教育が存在し、成人するまでの高等教育機関への進学率は82.6%、大学・短大への進学率は58.1%、専門学校進学率は28.3%と項目はすべて上昇し過去最高。また大学の在学者数は、2919千人と前年度比約1万人増。(%の数値はすべて文部科学省・令和元年度「学校基本調査」令和元年51日現在から)

これらの結果を見ると、我が国では教育界やそこで働く先生に求められるものや期待されるものも多岐にわたるのだ、ということが透けて見えてきます。


先生方も新しい学校への着任や異動などもあることと思います。現在と同じ職場でも、当然新たな生徒と出逢います。また学年や分掌などこれまでとは異なる環境で業務に従事することになり、現在とは違った立場での生徒対応をすることになる先生もいます。会社勤めや自営の方々でも取引先の会社や店舗が変わり、担当者が変わればその対応の仕方は調整しますよね。その調整は微調整で済むこともあるし、大幅に変更を余儀なくされることもありますよね。学校現場も同様です。



  生徒対応の難しさとその傾向のつかみ方  


我々教員は生徒という生身の人間を扱うわけですから、まずその生徒を時間をかけて見て、性格、趣味・嗜好、特徴、部活動や委員会活動、行事を含めた特別活動の記録、お稽古事や過去に彼ら自身が経験してきたこと、家庭における問題点、友人関係・親子関係など生徒のプロフィールを客観視して、少しずつ時間を掛けて先生自身との関係性の中で分析、把握、対応していく。そして同じ職場の先生方と指導の方向性やタブーも共有する。そのことは「基本」です。生徒は皆そのバックボーンも現在置かれている状況も十人十色。個別に見ていくのは当たり前。

しかし、経験のある先生はわかります。「あ、この子、以前いた〇〇に似てるな」と。毎年数百人単位で子どもたちとの接していれば、それはもうわかります。「同じ匂いがする」という印象や感じ。それはまた「学力」とリンクしているということも。学校現場で見えるものの一つに「学力」という数字で表せるものが存在します。そして、ここにも明らかに生徒の特徴は顕在化し、その対応方法やタブーといったものも存在します。


そこで今回は、環境が変わっても子どもたちとの関係を良くするために「学力」というひとつの観点から生徒の特徴を把握し、その対応を適切に行えるよう助言していきます。私自身ラッキーなことに学力レベルの異なるいくつかの学校で教鞭をとることができました。その経験を生かし、私自身現在も生徒の学力レベルの特徴から、指導や声掛けも現場で微調整しています。ここではわかりやすく「偏差値」(全国学力偏差値)という物差しを使って説明します。テーマは「生徒の学力別特徴と対応上の注意」です。ちょっと冷たく強烈な表現に思える部分もあるかもしれませんが、「中位編」「下位編」「上位編」と大まかな学力レベルで分類し、3回に分けてお話していきます。

(あらかじめ申し上げておきますが、あくまでも「偏差値」は学力、特に5教科の科目という部分に焦点を当てた尺度に過ぎません。それも、学習内容の知識や理解度を、現在の入試や模試などのテスト上で生徒が正解をアウトプットできているかどうか、出題者や採点者の求められるものを表現できているか、それを得点率の高さから算出されるものに過ぎません。その偏差値自体もテスト問題の難易度や傾向、受験集団の分母のレベルや総数、あるいは行われた方法、場合によっては時代によっても変わってきます。生徒個々人の優秀さや人格や人間性などを表すものでは無いことをあらかじめご承知おきください。ただ、それでも、そこから確実に見えてくるものがある。その傾向などをつかむ目的で、偏差値を学力レベルの目安として今回は活用するということです。)



  偏差値55くらい  


◯勉強が基本得意ではない。好きではない。昔から続けてきたお稽古やスポーツ、部活動や趣味などが明確にある。そして挫折したことや失敗経験もある。できるならそのことに毎日没頭していたいと思っている。すごく熱中できる。保護者もそれを好意的に見ている。子どもの立場でも、先生や指導者にも感謝ができる。

  →  集団行動を親子ともども心から楽しめます。先生や顧問としては絶対に味方にしたいですね。保護者の方も明るく協力的な傾向が強い。面白キャラや明朗活発な性格の子や、温和で優しい子が多い。精神的に落ち着いている子が多く人間関係作りが上手いので、先生は常に関わり、時にはイジって笑いを。


◯勉強は苦手だが高校や大学進学も考えているので宿題や予習、小テストの勉強など与えられたものは、まあやる。疲れてると寝る。睡眠欲求に逆らってまで勉強しない。授業や提出直前に友人のものや模範解答を写して済ます。テストなどが無い時は勉強しない。そういう時はスマホを触っている。勉強はやらなきゃいけないものだ、ということをわかってはいる。が、今は必要ないかなと思うとやらない。中学校までは英語検定や漢字検定をやらされながらも基本の易しいレベルを資格取得できる。

良くも悪くもチャレンジよりも合格できる学校レベルを確実に!と受ける志向が強い。夢は見ても失敗を恐れがち。

  →  学習指導や𠮟咤激励をする時にはこの辺を突いて指導する。先生からは見えているぞ、と。与えられたものプラスアルファを。勉強のよりできる友人と同じやり方では自分には足りない、と思わせる。それを示す。伝え方は工夫を。


◯昔は今の自分よりもできた、という子が多い。

好きな科目や得意科目がある。でも、苦手科目も多い。理系とか文系とかだけでなく、科目の好き嫌いに偏りがある。女子の中には頑張ってるのに点数が伸びない、と言って泣く子も。

  →  テストの前になって、ではなく早めに苦手科目の克服のため、先生への質問や補習の準備をさせる。時には塾へ行くのも一つの手段だよ、と伝える。


◯人の話は聞くことができる。大人の話も、友人の話もきちんと聞ける。感動や共感もできる。人のために動くことができる。

受験期には塾に行く。そして塾に頼りがちになり、その勉強だけする。だから宿題や試験範囲の勉強や、塾で学習して少し理解できたことで「そうか、わかった!」と思うが、先生の横でプロセスを理解しただけなので実際にはあまり点数には結び付かない。

  →  それを事前に伝えて、問題形式の「アウトプット」の練習を何度もするように伝えておく。



  偏差値60くらい  


◯小さい頃から続けているお稽古事やスポーツ、部活動で力を発揮する。所属している集団で、みんなと一緒に目標に向かって取り組むことができる。感謝の言葉を口にして伝えることができる。成功体験もある。が、全国大会!とか本場ブロードウェイで!とまでは、本人も保護者も考えていない。小さな集団やチームのリーダーになれる。身のほどを知り、その中で楽しむ、頑張る。資格、検定なども意識付けしてやると取り組める。

  →  この部分についての先生の関わり方ですが、こういう子どもたちの経験値は学校行事やホームルーム活動で確実に活かせます。彼らの意識喚起を。保護者会の出席率もかなり高めです。学校や先生方への期待値も高い。(ゆえに見切られると厳しい。)保護者の方々と一致団結して子育てをしていく意識を伝えます。


◯そんなに学習能力が高いわけではないが基本は本人も保護者も安心している。時に受験や進路を考えた時に、自分の志望校のレベルと自分の学力の現実を見て不安になる。勉強は「受験」があるからするものだ、とは思っている。いちいち不満は言わない。あまり顔に出さない。しかし、疲れは顔に出す。受験期も家族や周囲に対して優しい。勉強時にスマホをオフにしたり、保護者のいるリビングに置いて集中できる。家庭での学習習慣が身に付いている。保護者もやらせることができる。塾の費用も捻出できる。

受験でも上位校にチャレンジしてみる。宿題、予習、小テストの勉強の準備は毎日できる。与えられたものはやる。しかし自分から計画して準備する能力までは無い者も。

  →  この部分はまず取り組みの真面目さを褒めてやります。大げさでも。同時に応用・発展問題への学習もプラスアルファでやる。そのレベルまでできることをしっかりと促すようにします。


◯苦手科目がある。受験等で必要ないと思うとその科目を捨てる傾向が強い。そしてその先生の授業中にほかの勉強をして怒られる。その科目の点数が赤点になり呼び出される。受験対応の塾を最優先にしがち。塾の先生崇拝主義も出てくる。その満足感で周りが見えない時もある。

  →  しっかり注意をしましょう。塾の勉強は「活用する」くらいの余裕と冷静さを持たないと失敗するぞと伝えます。受験に必要ない科目も最低限の点数を取れるように指導する。そして受験科目の勉強は、学校でも塾でも学んでいいとこ取りをすれば良いと伝えます。

 


今回はここまで。次回も引き続き「生徒の学力別特徴と対応上の注意」について。その第2回「学力下位編」です。今回の生徒とはまた異なる特徴、そしてその学力の生徒ならではの対応上のポイントがあります。次回はそのことについて助言していきます。

IMG_3424



「気をつけて取り扱うべき個人情報あれこれ」


個人情報漏洩や流出のペナルティが増えつつある昨今。しかし生徒の個人を取り扱うのが職業である先生。「個人情報以外に何があるの?」「全部個人情報じゃないの?」という声も有ります。ホントおっしゃる通りなんですけど。笑

それでも、いざ個人情報関係の物が紛失、あるいは漏洩してしまうと「服務事故」として挙げられ、先生自身もペナルティーを受けてしまう。その後の教員人生に関わることも少なくありません。

年度末を迎えている今、取り扱いに気を付けておきたい物についてあらためて整理しておきましょう。今回は、現場で活用できる「先生学」ならではの視点から、公的な書類以外の物にも目を向けてアドバイスしていきます。



  テスト答案・プリント  


これは定期考査ばかりでなく小テストを含めて注意です。特に氏名を記名してあるものについては、提出させたプリントや作文、問題集なども紛失しない。教務手帳や自分の端末の成績表に記入やチェック、入力を終えたらすぐに全員の生徒の前で、一斉にあるいは個別に返却してしまいたいですね。テストや提出物は、実施すればするほど溜まっていってしまうからです。本当に忙しい時はチェックのハンコやゴム印なども省略して返却を。「先生の記録の方には細かく点数は入ってるからな」と言って、少し例を出して話せば生徒は信用します。ハンコやチェックの印など、返却物が多くなればなるほど、子どもたちもそこまで気にしてません。笑



  生徒の写真・動画  


クラス、部活動での写真や動画。このご時世、体育や部活でダンスの練習をして自分たちで振り返るため、スマホで動画を撮る時代。でも、学校のメインパソコンやフォルダに放り込んだら、あとは自分のスマホには残さないのが鉄則。削除あるのみ。思い出の深いクラス、関係の良かった生徒がいても、相手は未成年。誤解もされないようにしたいですね。

各分掌で行事、例えば合唱コンクールや体育祭、文化祭の催し物などは、個人のSNSには載せないように保管。プライバシーポリシーがあるとしても、後輩には学校内のみで閲覧させ、参考程度にするのが無難。最近では生徒個人の撮影した物もすぐYouTubeなどに公開されがちですが、先生自身の撮影した物がSNSに一旦挙げられてしまうと、もうどうやっても消せません。生徒や保護者の方々が誇りと思えるような内容で、かつ全員が了承の上でならいいでしょう。それでも教員という立場を踏まえて対処したいコンテンツですね。いいだろうと思い込んで公開して後からクレームになるおそれもある。リスクは背負わないようにしましょう。



  生徒名簿・部員名簿  


これもホームルームクラス、顧問している部活動など、ありますね。クラス替え後の担任や次の顧問に、引き継ぐべき物とそうでない物をしっかり見極めて。基本、すべての個人情報は自分の手元から手放すように。電子データでは保持しない。これは細かければ細かいほど外部に売れてしまう物。PTA絡みや卒業生の物も気を付けて。紙ベースのものでも処分を忘れずに。

急きょ公的にどうしても連絡を取らなければならない時もあるかもしれません。(卒業生の合格体験記の講演などですね。)でも、主要となるメンバー数名のLINEでも押さえておけば、そこから何とか連絡は付くものです。また、連絡が付かなくても、管理職も仕方ないと思うものです。



  成績関係書類  


1)「通知表のコピー」「調査書のコピー」

これらは三者面談の説明時に使用したりします。担任であればクラス関係のファイルの中にあるかもしれません。しかし、これらも現在では手書きがベースでは無く、パソコン内にあるはず。紙ベースで保管する意味は無い。リスク回避のためにも面談が終わり次第シュレッダーを。


2)「クラスや学年の成績一覧表」

これらは学年会などで話し合った時に、使用したものが残っていたりします。成績会議資料になることでその役目は終えているはず。また新年度に向けたクラス分けなどで利用していたもの、学年順位などをソートしたものもあるかもしれませんが、こちらもクラス分けなどの目的を達成してしまえば不要。それまでも保管すべき場所は施錠できる引き出しなどに。


3)「教務手帳」(含む、生徒指導のメモや記録)

これは近年教員の服務事故を賑わせているもののひとつでしょう。生徒の出欠席、テストの点数、提出物や作品・実技の評価点、平常点、成績・評価なども書き込まれる、いわば個人情報の塊。そして教員の誰もが持つ、古くは「閻魔帳」とも呼ばれた手帳です。教務手帳には、生徒の指導時の聞き取り内容や保護者とのやり取り、または面談におけるメモなども書かれることが少なくないでしょう。それゆえに良くも悪くも生徒のふだんの様子が具体的に残る場所にもなります。


かく言う私は、教え子の結婚式のスピーチにおいて、自分の過去の教務手帳を保管しているロッカーから見つけ出し「活用」していました。その生徒の当時の優秀な成績を読み上げて披露して「昔から真面目で優秀な人物だった」と褒め上げ、また反対にだらしなく遅刻が多い場合はその日数を具体的に披露して「それでもこんなに立派な人物に成長しました」と持ち上げて、拍手喝采や笑いを取っていたものです。笑  今は危ないのでさすがにやめましたね。


教務手帳は授業時に持ち歩く機会が多いため、校内では様々な場所に置き忘れてしまうものでもあります。教室、実習室、印刷室、面談室、会議室などなど。実際に知り合いで、公簿紛失で処分を受けてしまった先生がいました。その先生はその後、工夫して教務部から配布される手帳を使わずに自分のスケジュール帳で代用してました。「なるほど!(笑)」と思いましたが、よく考えてみるとそれを紛失して解析されてしまうと結局同じことだと思いました。笑

他人事でなく、保管場所含め気を付けていきましょう。万一放置されている教務手帳があれば、すぐに先生本人に手渡しを。感謝されること間違いなしです。



  出席簿  


これは学期中に紛失してしまうとホームルーム担任はもちろん、当該クラスの教科担当の先生方も困ります。完全に見つからなくなることはあまりありませんが、日常でけっこうありがちです。自分の使用教室や校内でのバッグ・カゴなどにうっかり忘れがち。信用がなくなり「またあの先生でしょ」と言われないように気を付けて。次の授業に急いでいても、生徒の質問で移動時間がなくなっていても、怪我や事故や生徒指導で緊急事態になっていても、です。きちんと置くべき場所に戻すか、次の先生やクラス担任に直接渡しましょう。

「出席簿」は、実は指導要録などと同様に一定年数期間、学校保管が義務付けられている公簿。言うまでもなく、紛失や流出で「処分対象」。学校外ではもちろん校内で紛失もNGなので、取り扱いにはくれぐれも注意を。



  緊急時教員電話連絡網  


これも一時期無くなりつつあったものの、震災後からまた復活している教職員間のみのマル秘扱いの連絡網。LINEでグループ作っているならそれで済ませたい。紙ベースの物はすぐ処分を。何かに挟んで、それを紛失し、後で発覚すると人間関係における信用問題も絡んでしまい、責任の重さは二倍です。個人情報が大人の物だけに頭から抜けてしまいがちですが、くれぐれも気をつけましょう。



  卒業アルバム・色紙・卒業文集  


これらも侮ってはいけません。生徒氏名や個人が特定できるものについては「公にしない」のが原則です。

「卒業アルバム」は先生自身が購入したものであれば持ち帰り、そうでない物は校内の歴代の物がある保管場所へ。学校によっては校内の図書館に保管されていたりもします。

「色紙」については、子どもたちからもらった時に感激しても嬉しくても、あくまでも個人的に楽しんだり思い出の物として、つまりプライベートの物として扱うようにしましょう。それも写真を撮られて悪用でもされたら、その後の対応を迫られたとしてももうどうすることもできないのですから。

ニュース等で犯人の昔の書いた文章や顔写真がSNS以外の物で挙げられていることがあります。おそらく学校で、あるいは同級生たちで作成されたものがほとんど。する必要の無い情報提供者になるリスクがある。そんなリスクは背負わないでいたいものです。



(終わりに)


冒頭でも申し上げたように、私たち教員の仕事は生徒個人の情報を扱うことがほぼすべて。そしてそれなくして学校現場では次に進めません。しかしそれらも21世紀の現代、いつでも電子データで読み込み、プリントできるものがほとんどでしょう。思い出は自宅に最低限の物のみ保管する。公簿の原本以外の物は、卒業後にどんどん削除およびシュレッダーで処分してしまうに限ります。

管理職からは注意喚起される物でもない、身の回りの「こんなものも個人情報?」と思われる物についても「先生学」ならではの視点で今回触れてみました。先生ご自身の身を守るためにも、子どもたちとの思い出は自分の胸の内だけにしておきましょう。




↑このページのトップヘ