2020年04月

IMG_6498

「ホームルームで話しておきたいこと」


今回の「先生学」のテーマは、「ホームルーム」でクラス担任として話す内容について。この内容はクラス通信や学年通信、さらには学級日誌のコメントなどにも活用できると思います。

我々教員はとにかく忙しい。ホームルームにおいても子どもたちに対して保護者向けプリントを配布してその連絡や報告で終えてしまう、またはつい説教っぽくなってしまう。それもたしかに日常。それも大切で必要なことなのは言うまでもありませんがそればかりでなく、毎日のホームルームだからこそ「今日はこんな話でいこう!」と思えるように、話すべき内容を整理してみます。子どもたちから「先生ってなんでも知ってるなぁ」とか「いろんなことを知ってるから個人的にちょっと話をしてみたい。相談してみたい」と思わせる。そんな風に関係性を築けたら素敵ですよね。ホームルーム担任として是非とも「話のバリエーションを持ちましょう!」というのが今回のテーマです。

まず、全体の奉仕者でもある教員ですから、次の二点は当然のことでかつ常識だと思いますが、一応確認しておきます。

前提

●  保護者や他の教員が見ても思想信条的に偏り過ぎない「誰が見ても聞いても大丈夫な内容」を話す。

●  個人についてはその対象生徒の名前をあげるとき(あるいは匂わすとき)には「褒める内容」が大原則。

さっそく項目別に見ていきましょう。


    指導方針  

●  挨拶・自己紹介

●  学校の校訓・教育方針

●  クラス方針・指導方針(学級経営方針)

●  子どもたちに期待していること・こういう人間になって欲しいということ

①の指導方針については入学後最初のホームルームや、進級してクラス分け後の最初のホームルームで話しておきたい。特に入学後のホームルームではその学校の生徒と先生の雰囲気などにも触れて、子どもたちの緊張と緩和をバランスよくしてやる。そういう話をしておきます。またクラス方針などは高学年や高校生ともなれば故事成語や英語の名言などでもいいでしょうが、難しい言い回しよりも「誰かのかげ口をSNSで匂わせるとか卑怯なこと、先生は受け入れられない。許さないよ」「決められた仕事をきちんとする、例えば掃除をサボらない、そういう子を先生は信用するし、先生は守る」など、具体例を挙げて話した方がわかりやすいと思います。


    行事関係  

●  学校行事ネタ

遠足・校外学習、運動会・体育祭、文化祭、球技大会、合唱コンクール、修学旅行、卒業を祝う会など、クラス単位で準備すべき様々な学校行事があります。そこではクラスでの班分け、役割分担、クラスでの練習の告知とともに、それらを踏まえた良い例、悪い例を「先輩の取り組み例」などを紹介しながら伝えたいですね。「そんなの俺たちじゃできないよ」というレベルではなく、リアリティーを持たせられる具体例を挙げて示唆してあげましょう。


    生活関係  

●  学校生活のルール・規則

●  学習への取り組みとその見直し

時間を守ること、整理整頓、周囲の人への挨拶や言葉遣いなどのほか、教室や廊下の清掃、部室の掃除について、みんながやるべき義務をきちんとやっているのか。

また授業中の取り組みはどうなのか。騒いでない、寝ていないとしても自分の目標をきちんと決めてそのための取り組みをしているのか。苦手科目でも努力して克服しようとしているのか。自分の進路の実現のために高い志を持って宿題以上のことをやり、さらなる高みを目指して取り組んでいるのか。(このことは部活動や行事に関しても同じことが言えますね。)

これらのことは生徒との「個人面談」や保護者も加わる「三者面談」においても、振り返り約束して細かくメモしておきます。そしてホームルームでもあらためて「みんなさ、前に面談した時に約束して頑張ろうって決めたはずだよね。今は個人的に誰がとか具体的に家で勉強をどれくらいするって決めたか、なんて言わないけど」とクラスみんなの顔を見ながら全体で振り返ることができるようにします。


    進路関係  

●  進路について

進路関係のポイントはいかに子どもたち自身に自分の問題として考えさせられるか。先送りせずに考えてみようと思わせるか。リアリティーを持たせられるか。生徒一人ひとりが焦って切羽詰まって「私、やらなきゃ。考えなきゃ」と考えさせられるか。ここでは、先輩達の例、卒業生や教え子の具体例を挙げておきたいですね。成功例は是非成功した卒業生の名前を出して紹介しても良い。失敗例は生徒名は伏せて、しかしその失敗の原因を話してあげたいですね。


    社会的内容  

●  ニュース

●  日本の文化・歳時記

●  学校の歴史

●  地元・地域情報

「ニュース」については、昨今のニュースやトップニュースになった時事ネタも話します。社会的な問題点、中高校生には同世代を対象とした内容(部活においてはその競技種目やジャンルなど専門的なニュース)なども、関心高くこちらに顔を向けて聴くはずです。「日本文化」については二十四節気、月の異名など。たとえば二月三日と節分の意味。国民の祝日のその日のいわれなども。現在の「クールジャパン」に該当するアニメやゲームでもいいでしょう。「学校の歴史」については、けっこう生徒は話を聞きますし、彼らの受験面接時に役立ったりもします。「地元・地域情報」は、地域の歴史を知り地元愛にもつながるようなものが良いでしょう。


    大人のひとりとして  

●  先生自身の価値観

●  故事成語・名言

●  最近読んだ本、最近見たテレビ番組

●  先生自身の趣味

「先生の価値観」については人生において大切にしていること、それを自身の体験談を交えて話します。時には面白く、時には感動的に。「故事成語・名言」については、著名人の言葉でもいい。伝記になっているような偉人や有名人ばかりではなく昨今の著名人、例えば最近のノーベル賞受賞者の言葉なども、帰宅後にご家庭での会話のタネにもなったりして良いですね。「最近読んだ本・見たテレビ番組」などは、生徒でも数名が知っている内容だとやり取りも出てきて興味を持たれます。「先生の趣味」については、スポーツや芸術などのほか、ご自身の授業や担当教科から離れている分野であればあるほど魅力的です。実はオタクチックなものほど良い。(あくまでも生徒が引いてしまわない内容のもので。笑)経験のある先生もいるかと思いますが、その後に生徒からの声掛けがありお互いに親近感を覚えて関係性も良くなります。それによってその後のホームルームでもしっかりと話を聴いてくれるようになります。


  終わりに  

先生方の指導している生徒は当たり前ですが「子ども」です。どんなに勉強ができても身体が大きくても子どもです。大人になるための進化していくための道の途中にいます。未熟であるのが当たり前なんです。(ついつい我々は勉強ができる生徒だとなんでも克服して解決できるだろう、とか、体が大きい生徒だと健康で無理が効くだろうと考えがちですが、実際はどうでしょう。概してその反対で、勉強ができる子ほど精神的に幼くて自己中だったり、体の大きい子ほど体調も崩しやすくメンタルも弱かったりしませんか?)  だから我々先生がまず彼らに「刷り込む」面があるのは普通のことです。一般常識や知識も刷り込みがまず必要。その常識をもとに子どもたちが考えたり疑ったりすればいいんです。

その次に生徒自身が振り返る時間や考える時間を作り出すホームルームにする。失敗を反省して次に活かす。最初は予想して予測して、次に計画して取り組むことができるようにする。個人レベルでは授業への取り組みが教科担当者から低い評価になることがないように努力することを考えて取り組んだか。クラスレベルでは行事が他クラスに比べて遅れずにつつがなくできるように、クラスや集団内で発言し協力しているか。人間関係でも良い方向で活かせると良い。たとえば人に優しい言葉をかけると、その印象から優しい対応が返ってくる、という大人なら誰もが知っている因果の法則。

いずれにしても子どもたちの耳に届くような話し方、いわゆる聴かせるテクニックも必要です。自分の場合はついつい一方的に話してウケることを目指してしまう若手教員でした。が、今はその部分を残しながらも、ホームルームでやり取りした生徒からの声や意見をキッカケに話を進めて、自分の話したいことに持っていくようにしています。まずは質問や問題提起から。そういったものも準備、経験、タイミング、話術など様々な要素が不可欠だと思います。同じ内容でも、話の上手な先生って、やっぱり大人の我々の心にもガツンと残るじゃないですか。そういった話し上手な先生を目の当たりにすると、やっぱり「話し方」や「流れの作り方」も学んでいかねばなりませんね。私自身もスピード感は今の若手のお笑いのやり取りを参考にしつつ、間の取り方などは「落語」を参考にしています。


また、入学後の最初のホームルーム、低学年のクラス分け時、クラス内が緊張し過ぎている時などには、フルーツバスケットや他己紹介ゲームなど、いわゆる「アイスブレイク」という手法も、学んでおいて経験してみると良いでしょう。我々先生はいくつもの引き出しを日々増やして準備しておかなければならない。少しずつその引き出しを増やしていきましょう。話してみてハマる時もあれば、ちょっとスベってしまう時もある。でも、すべては先生自身の経験値。そしてそれもすべて生徒のためです。いろいろ準備していきましょう。




IMG_5532



「生徒指導・特別指導はこうやる!    その3  〜謹慎指導および解除編〜」


今回の「先生学」のテーマは「生徒指導・特別指導はこうやる!」の続編にして第3弾。前回同様、高校における生徒指導のオーソドックスな流れと特別指導について、特に学校現場における指導のポイントを押さえながら助言していきます。第1回の「事実確認編」、第2回「申し渡し編」に続き、第3回の「謹慎の具体的指導および謹慎の解除編」です。

前回までは

    事情聴取・事実確認  

    合同部会の準備  

    臨時の拡大生活指導部会と職員会議  

    申し渡し

について確認してきました。今回は「謹慎の申し渡し」に引き続き、「謹慎指導」の流れに沿って「謹慎解除」になるところまで。その指導上のポイントを押さえて助言していきます。

「あー、それなら何度もやったことあるわ」という先生も、ご自身の指導を振り返って読んで欲しいと思います。そして必要だと感じるところがあれば、通常の授業やホームルーム活動における指導と同様に、今の生徒と今後出会うであろう未来の生徒のために、バージョンアップしていきましょう。


    謹慎指導   

  謹慎指導の内容  

「自宅謹慎」にせよ「登校謹慎」にせよ基本は、

●  友人との接触禁止……スマホ利用も含む

●  学習課題の取り組み……英数国理社の5科目

●  反省日誌……①1日24時間の生活をすべて細かく記入(  →  基本的生活習慣の見直しが目的)、②本人のその日の反省、③保護者からひと言

    さらに自宅謹慎の場合は、毎日朝と夕方に自宅から電話をします。本人から担任や当該学年に定時連絡。)といったところでしょう。

我々は上記の指導内容を踏まえて「反省日誌」からその反省度合いのわかる感想欄、1日の生活、課題をもとに学習内容の一覧、(その課題の取り組みの跡がわかる問題集やノートも)について、登校時に確認します。では、さらに細かく見ていきましょう。


〈生活指導・謹慎中における指導のポイント〉

まず前提として「進路変更」を促す、いわゆる退学・転学を強く勧める指導をせずに「謹慎指導」に入るということは、その生徒を他の生徒のいる「学校生活に戻す」というのが原則です。あくまでもそのための指導で「学校の指導に従えないなら退学だからな」的なものは良くない。我々教員は適度な距離を保ちながらも子どもに寄り添う気持ちでいるべきです。


1)原因追求のため事実確認の振り返り

謹慎指導となった問題行動の事実確認をあらためて行う。事実で矛盾している点があればそれを突き詰め、事実確認だけでなく本人の当時の意識や動機それに基づいた言動を把握しておく。発覚後に誤魔化させない。事実やその時の本当の心情を本人自身から吐かせる。そのために我々教員は複数の証言や客観的事実を必ず押さえて共有しておく。(こちら側の思い込みは危険です。)証拠となる「裏」は必ず取っておく。学校に設置されている防犯カメラの内容など客観的事実や複数の証言。本人の証言との整合性。その上で矛盾点を追及する。私はそれを徹底してきましたので、他校の教員や生徒が絡む場合、あるいは警察が関わる場合でも、生徒本人が言い訳をしたり取り繕うことができないようにしました。特に被害生徒がいた場合は重要。

時には、ただ捕まって指導の対象になってしまったからとりあえず仕方なく表面上だけ反省する生徒とか、開き直ってふてくされて反省する生徒が見受けられます。これらも「突っ張りたくなる思春期特有のもの」と受け止め、我々は衝突せず冷静に対処します。そのことを行った自分自身をあらためて振り返って考えさせます。


2)生徒への問い掛けと説諭

恥ずかしながら正直に申し上げますが、若かりし頃の私自身のこういう生活指導は、今振り返ってみるとまったくダメでしたね。あたかも警察官が犯人を上から問い詰めていくような、圧力をかけて平伏させるような。教員と問題を起こした生徒という立場を前面に出して。感情を露わにして正義感や社会制度の意味とかを強調して叱責してました。そんなことは当たり前なのだから生徒も「はい。その通りです」「すみませんでした」の繰り返し。だからうまく行かず同じ生徒がまた問題行動を起こす。それを招いたのは私自身でした。皆さんには反面教師にして欲しいです。生徒自身に考えさせる、深く洞察させる、とかできてなかったです。では具体的にどこまで考えて指導すべきか。詰問するのではなく、その問題の根本や影響を本人に「考えている」かどうかを確認して指導したい。自分と向き合わせる、という取り組みをさせたい。ということは、教員側がその「答え」を持っていなきゃいけないですよね。

学年指導レベルの「遅刻指導」と特別指導レベルの「万引きの事例」と二つの例を挙げてわかりやすく説明しましょう。

〔例1〕遅刻指導

  学校のルールという観点

開始時刻は決まっているだろう、他のみんなはきちんとあるいはギリギリでも来ているだろう、という論理。高校や私立学校などではある意味、そこで強く叱責しても間違いではない。進路変更も可能だから。今はエンカレッジスクール、昼間定時制や通信制など確かにさまざまなタイプの学校は有ります。

  →  でも、遅刻だけで退学は促せませんよね。この業界の実情として。生徒はわかってます。

  社会常識としての観点

お前が社会に出てから困る、信用も失う、評価が下がるぞ、会社やお店づとめをしたら同僚も困るだろう、という論理。

  →  で、生徒はそんなことは理解してますよね。「大人になった時には直すし」とか「バイトの時には時間守るし」と生徒は言いますね。

  学習内容の理解不足に繋がる

授業に遅れて入室したら当然途中から授業を受けることになり、先生の話を最初から聞いておらずお前自身が授業内容をわからなくて困るだろう、という論理。

  →  本人が困るだけ?ではない。だいたいこういう生徒は遅刻したデメリットなんて考えない。

  授業妨害という観点

①から③までは結局「自分が困るだけ」という論理が中心。当たり前に登校して真面目に授業を受けている生徒の「授業妨害」となる。授業を進めている先生に対しても妨害となる点も見逃さず追求したい。遅刻常習の生徒はこの点はあまり思いつかないです。部活で集団競技をしている生徒には「みんなへの迷惑」は効きますね。「どうやってみんなにその迷惑掛けた授業を返せるの?」とこちらが言うと、まず言い返せない。また保護者への連絡指導や呼び出し指導を生徒とする中でも次のような保護者がいる。「この子、起こしてもほんとに起きないんですよ」という仕方ない的な物言いをして遅刻の重さがわからない無責任な保護者。稀にいます。そういう時には先生から「他の生徒の保護者の方からも授業妨害となり落ち着かない。そういうクレームが複数来ているんですけどどうお伝えすれば良いですか?」と聞くと、ほとんどの保護者は下を向いて黙ってそして謝ります。そこで「ご家庭でも指導お願いします。我々教員もさすがに一人ひとりのご家庭に毎朝電話を掛ける余裕はありません。お願いできますか?」と伝えます。ここ、けっこう指導で抜けがちです。生徒への「遅刻することで良くないこと」を問い掛けた後、ここが抜けていたら強く考えさせたい。「迷惑を掛けているんだ」という点です。

〔例2〕万引き(窃盗)の指導

  犯罪だからとか、社会的にやってはいけないことだから、という。警察からも連絡があったことを保護者にも連絡することになる、と伝える。

  →  本人もそれをする時からわかってます。

  特別指導に該当するから

  →  これも本人は発覚時にわかります。そして納得する。先生に抵抗することはない。

  その生産者や売主の生活費を奪っている点

  →  これ、忘れてます。生徒はもちろん先生も。たとえ「シャーペン1本くらい」と言おうものなら「みんながそれをやったらどうなる?」とさらに問い詰めて自己中を責めます。

  警察沙汰になったことによる今後のマイナス

  →  万引きは窃盗という犯罪であるから家庭裁判所に送られ場合によっては保護観察処分や少年院送致となる。そうなると学校には来ることができないばかりか、その後の人生に支障も出ることがある。今後の生活にどうなる恐れがあるのか、再犯した者を除いてあまり知らないので知識として教えましょう。

ちなみに我々教員が当該生徒に「万引きしたことでどんなことが考えられる」と問い詰めると、この①②④の部分を反省して答えることがほとんどです。しかしすべて生徒自身のこと。結局自分のことしか考えていないのは万引きという行為と変わらない。それだけではなくて、あくまでも犯した罪を見つめる③の「そのことでどんな迷惑を掛けているのか」という部分を強調して指導します。


指導の手法は「問い掛け」の連続でやっていきましょう。生徒にこちらの言ったことを「はいはい」と下を向いたまま繰り返させてる指導は、私の昔の生活指導。考えて答えを出さなくて済むなら、とりあえずその場をやり過ごすために謝り、頭の中では案外他のことを考えているかもしれません。やっぱり、こちらがくどいほど「問い掛け」をして生徒本人に問題行動で指導を受けている意味を考えさせる。自分の口で話した言葉には「責任も生じる」から。我々は問い掛けによって事実確認をして、当該生徒に何が問題なのか周りへの迷惑も含めて知らしめ、それをもとに反省を促す。反省は原因に遡り問題行動や謹慎指導といういまの現象につながっている。そのことをわからせて、また学校生活に戻すのが指導の役目。


IMG_5911

田村正和さん主演のドラマで「古畑任三郎」という名作がありました。皆さんはご存知でしょうか。そのドラマも私の教員としての生徒指導上の大きなヒントになりました。そのドラマで田村さん演じる古畑刑事はいつも容疑者に問い掛けていました。「どうしてそこにいたんですか?」「誰がいましたか?  もともと何をしていたんですか?」「あなたはそこでどうしたんですか?」「どれくらいしたんですか?(物理的に。時間的に。)」「そもそもなぜそうしたんですか?」「それをどう証明しますか?  あなた以外に見ていた人はいましたか?」

まさに、我々もお手本とすべきだと思います。古畑刑事は別に「証拠もしっかり押さえて」からそのことを伏せた上で、時にはわからないフリをしながら、容疑者や犯人に問い掛けをしています。

それに加えて私たち先生は「それじゃあ今後どうしたらいい?」「そのためには今の何を変えたらいいかな?  何をやめて何をするようになったらできるようになるかな?」「何をどれくらい頑張るの?」「先生はお前の言ったことを信じちゃうけど、いいのかな?」という問い掛けもしていかねばなりません。


3)反省を文章に

指導を受けている中で考えたこと、思ったことを話をさせ、同じ内容を反省日誌に文字として綴るよう指示する。今後の生活でどう活かして、どう自分が変わるつもりか。そしてそれを踏まえた保護者の感想欄を読む。反省文や反省日誌から感想あるいは思ったことを読むときは、どうしてそのことがいけないのかを感じているのか、とにかくそこを読み取る。毎日考えることで深くなってきているかを要求する。

また保護者に対してですが、近年の生徒と保護者の関係は非常に近い。保護者は自分の子どもを一個の人格を持った人間としてではなく、まるで「自分の分身」と思い込んでいる人も少なくない。これを機に一緒に指導に乗ってもらって反省してもらう、という考え方もなくはない。しかし指導中、指導後の謹慎生活を考えると、やっぱり社会人という立ち位置でのお子さんへの指導をお父さんお母さんにもしっかりお願いしましょう。


4)謹慎解除の見極め

生徒が真面目にあるいはそれなりに指導に取り組んでその指導期間が終わると、謹慎解除の見通しと見極めに移ります。謹慎指導にも関わらず友人と連絡を取っていたり、外出していたり、課題が十分できていないなど、当該生徒の取り組みが甘い時には、謹慎の期間を当初の予定より長引かせるなど、さらに指導を強くすることになります。再び申し上げますが、指導を受けた生徒は学校生活に戻すのが本来の指導。生徒の変化に満足いかない部分が多少はあっても、戻すのが原則。笑顔で送り出す必要はまったくありませんけどね。


    謹慎解除と事後の指導  

1)謹慎指導の解除

「謹慎解除の見極め」を学年と生活指導部の先生で行います。担当の先生方で反省日誌や反省文を読んで回して、先生自身のチェックを入れます。了解を得たら生活指導部は謹慎解除の原案作成をします。解除の申し渡しをいつ、どこでして、いつから学校生活=ホームルームと授業に戻すのか、を学年と生活指導部主任で打ち合わせ、原案を作成します。次に校長と副校長に事前に当該生徒の反省日誌の閲覧をお願いし、課題の取り組みの報告をして了解を得ておきます。そして臨時職員会議を開いて了承を得ます。

「申し渡しによる謹慎解除」は謹慎指導に入る旨を申し渡しをしたとき同様に校長室で学校長から行います。手順については、★    申し渡し  の時と同じです。

生活指導部主任は今回の指導の記録をファイリングして残しておきます。「特別指導」はこれで終了します。


2)事後指導

「特別指導」は校長の解除とともにすべて終了したのでプラスアルファで指導することは不要です。しかし、担任や顧問の先生という立場であれば、その後の学校生活を送る上でいくつか約束事を決めさせてもいいでしょう。

私は特に「学年指導」や「生活指導部による指導」の時には、生徒本人の反省した気持ちや改善された生活習慣や学習習慣を継続させる意味でも事後指導を入れています。そのことは被害生徒を含む周囲の生徒にも目に見えるように表すことにもつながります。(でも強制的にでも示唆したとしても「坊主にさせる」のは今では体罰に相当してしまうのでダメですよ!  要注意。)

例を挙げますと、

「早朝登校指導」……度重なる遅刻指導を受けた生徒には一週間30分前登校させる。学年の先生がその期間その時刻に職員室でチェックします。「強制的家庭学習指導」……1日の家庭での学習時間を宣言させる。指導期間を終えても勉強をさせる。家庭学習の時間は自分で決めさせます。次の定期考査の順位や赤点を取らないなども目標として約束させます。それは先生の方でメモしておき、定期考査の後にさらに確認して指導します。もし頑張った結果が出たのなら個人的に呼び出して是非とも大げさに褒めてあげましょう。笑


(終わりに)

先生であれば誰しも「先生」という職業の大変さを理解しているとはいえ、生徒(や時にはその保護者)とは良い関係を築き、その中で卒業あるいはその後まで関わり続けていきたいもの。揉めたりすることは誰しも望んではいないでしょう。叱ること、イコール教育ではない。また冷めた言い方をすれば、生徒指導をする回数で我々教員の給与も上がるわけでもない。

生徒が問題行動を受け入れなかったり改善しない時に「そんなことは保護者レベルで教育したり指導しておいて欲しいのに!」という状況も残念ながら多々あります。損な役回りを引き受けざるを得ないことも多いと思います。

しかし、思い返せば私たちも小さい頃から学校の先生には授業以外のことも教えられて育って、その上で「今がある」のではないでしょうか。その指導が、個別であれ、クラスであれ、部活動単位の集団としてであれ。私自身は小学生の頃からヤンチャで落ち着きもなく授業も笑いを取ることに集中して妨害することに生き甲斐を見出し、時には複数の友人たちと問題行動も起こし、しょっちゅう先生に叱られてばかりの生徒でした。だから綺麗ごとではなく、その気持ちは実感としてかなりあるんですよね。(……本当にありがとうございました、当時の先生方。笑)

あらためて先生としての立ち位置をよく考えてみましょう。生徒に対しても保護者に対しても、毅然とした態度で学校全体として共通理解のもとで指導していかないといけない。それは不可欠。それを誤魔化す先生になってしまっては危険。経験値のない先生ほど中途半端な説教に終始してしまい、生徒たちから先生としての度量を推し測られて足元を見られてしまいます。こうした非日常の指導においてはまさに我々の姿勢が問われます。その指導の際にも「厳しい先生」と「甘い先生」とが生まれてはいけない。話し掛ける内容や手法が違っても、同じ判断基準で、同じ方向に顔を向けて、その生徒の未来のために共に指導していくべきです。その際に一番大切なことは何でしょうか?

私は思います。一見人当たりも良く強いことを言わない甘い先生もいて、怖くて厳しい先生もいる。しかしその指導の中でどの先生も「その子どものことを思って指導する」のであれば、指導の目的地や言い方の違いはあれ、間違ってはいないはず。(当然、体罰や明らかに行き過ぎた指導はNGです。)我々教員はその道のプロとして、同じ学校の教員として「落とし所」を決めたのならその中では妥協せずに子どもと付き合っていく。そして保護者と一体になって指導をする。「ちょっと謹慎指導、キツいけど頑張ろうよ」なんて甘い言葉も保護者から子どもに掛けさせない。学校の指導に協力してもらいます。その高校を選んだのはどんな経緯があれ生徒本人と保護者です。そういうことを共通理解の上で、卒業まで生徒(と保護者)に関わり続けていく。そういうことだと思っています。

だからたとえ問題行動が発生しても、面倒がらずに「来たか」というくらいで事実を受け入れ、その手順を頭の中で確認しながら、一方だけの生徒の声に思い入れしすぎず、冷静に背景と事実を拾う。その上でどこに着地点を見つけ、どう指導していくかを見極めて、対応していきましょう。



IMG_5531


「生徒指導・特別指導はこうやる!    その2  〜申し渡し編〜」


今回の「先生学」のテーマは「生徒指導・特別指導はこうやる!」の続編。前回同様、高校における生徒指導のオーソドックスな流れと特別指導について、特に学校現場における指導のポイントを押さえながら助言していきます。第1回の「事実確認編」に引き続き、今回はその第2回「申し渡し編」です。

「申し渡し」と「謹慎」指導に関しては、手順を誤ることなく進める必要があると同時に、生徒対応だけでなく保護者対応についても適切な関わり方と濃密な時間を要求されます。具体的な流れとしては「生徒の問題行動の事実確認」が終わり「特別指導の対象」(あるいはそれに準ずる指導対象)であると、発見し最初に関わった当該教員およびその周囲の複数教員が認めた時点からの内容です。学年(の先生方のみの指導で済ます)レベルや、部活動の顧問(の先生方で済ましてしまえる)レベルではなく、それより強い指導になる時の事例を挙げて話していきます。

今回は、前回の      事情聴取・事実確認  

に引き続き、「臨時会議」の開き方と「申し渡し・保護者呼び出しの対応上のポイント」について示していきます。

今回の内容のポイントは、時間のない中で、いかに「手際よく」「抜け落ちることなく」その後のために準備や報告、会議呼び掛けのための根回しができるか。一つでも用意するものや連絡、手順が抜け落ちてしまうと後手に回り面倒です。確認しておきましょう。


    合同部会の準備  

1)当該生徒の対処

まず、対象生徒は、すべての荷物をもたせて教室から離れた所に隔離しておきます。その生徒のスマホは学年で預かっておく。生徒の時間割からその時間の授業担当の先生には別室で指導している旨を伝えておきます。授業の出欠については、こちら側の指導で拘束しているので「出席扱い」にしてもらうようお願いしておくのが妥当。原則、危険な行動に出ることがないよう危険防止の意味も含めて授業のない先生が張り付きで同室。昼食などは取らせます。トイレも生徒と接することのない場所を使わせます。

2)臨時の合同部会の準備

同時並行で、合同部会の準備をします。

臨時の学年会を開いて当該生徒の問題行動を学校全体の問題として捉え指導に入ることを確認します。「学年で原案を作成」し、それをもとに「生活指導部」の主任および指導部の先生方に報告をする。

報告内容は、問題行動の概略、対象生徒のクラス番号・氏名と、現在の生徒の状況。生徒の状況とは、事実の認否(認めているのか否か)、態度、現在の精神状況など。

用意しておくことは、

①「事実確認をした内容」。これは生徒から聴き取りをした先生が内容をわかりやすくまとめたもの。シンプルで良い。箇条書きなどでも可。

②「反省文」(事実経過を含む)。これは生徒自身が振り返って書いた内容。これをセットにして複数枚、コピーして準備しておく。会議後に不要な分は回収してシュレッダーにかけます。

③合同部会の時間と場所を押さえて、報告と会議開催のお願い。問題行動が午前中の発覚であればその後すぐに「昼休み」に、午後になってからであれば「当日の放課後」に設定する。すぐに会議のメンバーに連絡。対象の教員のメンバーは学年と生活指導部の先生方、他学年の生活指導担当の先生。場所、開始時刻、事件の内容を連絡する。


    臨時の拡大生活指導部会と職員会議  

昼休みや放課後など、その時間の補習、部活動、個別の呼び出し指導、その他の定例の会議など、予定されていた業務よりすべて優先して臨時の合同部会に出席してもらいます。対象の先生方の出欠確認後、すぐに報告に入ります。通常、会議の進行は生活指導部主任です。

1)事実経過

あらかじめ学年から準備して配布された「事実確認」「反省文」をコピーに目を通すようお願いし、当該学年の主任あるいは学年生活指導部の先生から説明します。(「反省文」は時間的に間に合わなければこの時点では不要です。)

そして、学年からは対象となる生徒が今回の問題行動を起こすまでに、「過去」に生活指導、特に特別指導になった回数、その問題行動の内容、その質と日数なども報告します。(学年で事前に確認しておきます。)

問題行動の内容については、いつ、どこで、誰が、誰に、どうしたのか、なぜしたのか。今はどのような状況か。補足することがあればここでします。その後、質疑応答をします。

2)指導原案の提示と了承

今回の件の指導の原案を学年から提示します。生活指導部主任の先生は、過去の同様の事例と当時の指導内容も調べて準備しておき、今回の指導内容が適当なものであれば、それを説明し出席している先生方の了承を得ます。

なお、原案は大まかに次の二種類。

①  転学などを強く促す形の「進路変更」

これは加害生徒と被害生徒が同じ学校で、今後同じ学校生活を送ることが困難な場合。例としては窃盗、恐喝、犯罪行為に該当するいじめなどです。現在では「退学」という表現は用いませんね。「強制退学」という扱いは事実上不可能に近い。しかし、義務教育ではない高等学校では、被害生徒や周囲の生徒の学校生活の安全・安心を保障するためには必要です。そして加害生徒自身のその後の人生のためにも進路変更をした方がいいでしょう。「自主退学」という形で進路変更をする。現在は通信制など様々なスタイルの高校が存在します。その学校へ合格できるのなら「転学」という形になります。

②  復学を前提とした「謹慎」

現在の学校の考え方としてはあくまでも「謹慎」です。「停学」という表現を使うことも公立高校ではほとんどない。しかしここでの謹慎は「無期謹慎」が原則。「無期」つまりあらかじめ期限は切りません。この場では当該生徒の反省や謹慎中の取り組みも十分だと判断できたものと仮定して、期間の「目処」を確認します。喫煙〇日、不正行為〇日、いじめ〇日、暴力行為+対教師暴言〇日など。(あくまでも目処に過ぎないので、当該生徒の反省が不十分であれば日数を伸ばすこともあり得る、ということです。しかし、短くなることはまずない。教育の場ということを考えれば個人的には非常に良いと思います。たかが若い時の数日、数週間。勉強にも遅れふつうに学校生活を送ることもできなくなる。でもね、やらかしたのは自分。それでいいんです。)

原案の指導内容が「軽すぎる」あるいは「重すぎる」として適当ではない、と判断される先生が多いのであれば、修正案を提示してすぐに了承を得られるようにします。指導原案の落とし所は、経験のある先生から聴いて参考にしておきたいものです。決定次第、次の「臨時職員会議」に諮ることになります。学年の先生と生活指導部の主任は臨時職員会議開催のため管理職である校長と副校長などに連絡をし、その準備に。事実経過と指導原案を作成します。ホームルーム担任は保護者への連絡の準備に入ります。

また「特別指導」にまでは該当しないと認められた場合は「生活指導部指導」として、学年だけでなく生活指導部の主任から説諭を受ける指導になります。しかし、指導の記録は残しておきます。

3)臨時職員会議

生活指導部主任は学校の教員全員に声かけをして校内放送も使い、校長、副校長を含む全教員に臨時職員会議を開く連絡をします。(この場合、経営企画室など事務職員はメンバーの対象とはなりません。また緊急の連絡を除いて、通常の職員会議の議題や連絡もしてはいけません。この問題行動と生徒の報告および指導原案を決定するための臨時の職員会議です。)

職員会議では今回の報告のほか、臨時拡大生活指導部会と内容も手順も同じです。事実確認の内容や反省文などは、全員分は必要ないでしょう。口頭で説明でもかまいません。不要なプリントは会議後にシュレッダーしてしまうのもその前の会議と変わりません。管理職の先生には会議前にあらかじめ事実確認に指導原案の内容を加えたものを渡して説明をしておきます。

指導内容の原案の了承を得られ次第、保護者に連絡をします。

4)生徒への指示と保護者連絡

他の部屋で拘束していた生徒は、他の生徒と接することのないよう「スマホも預かった状態のまま」6限の授業時間中に帰宅させます。放課後だと他の生徒と接触してしまうので先に下校させ、帰宅後すぐに学校に着いた旨を本人から電話連絡させます。必ず電話で無事を確認します。衝動的に自殺を図ることなどないよう、よく観察しておきます。本人の情緒が不安定であれば保護者に迎えに来てもらいます。

学年の先生と生活指導部主任は、管理職とも打ち合わせして、翌朝の始業前の時間に、生徒本人と保護者を校長室に呼び出し「申し渡し」をする準備をします。

同時並行で学年の生活指導担当の先生と生活指導部の先生は、「反省日誌」の準備、主要教科の先生に謹慎中の「課題」のお願いをすぐにします。また翌日から始める「別室指導の監督者分担と割当の確認」をして、受け持っている時間割から授業の無い時間に、複数割り当てをして、お願いをします。


    申し渡し  

1)申し渡しの流れ

臨時職員会議を受け「申し渡し」です。謹慎指導はここから始まります。

生徒と保護者同伴で時間と場所、主に校長室に呼び出しを受けます。学校長から「どうしてあなたが学校としての処分を受け、反省をしなければならないのか」その説明があります。それが「申し渡し」です。謹慎解除になる時にも「申し渡し」があってはじめて解除となります。

担任は生徒に遅刻の厳禁、髪型や服装に乱れが無いようあらかじめ指示しておきます。また保護責任者である保護者も原則校長室で同席します。仕事や下の子の保育園引率などでどうしても不可能な時は、なんとかして前日の夜などに行われることもある。しかし、都合をつけてもらいましょう。この申し渡しが行われないと謹慎指導はスタートしない。(最近では問題行動を起こした当日の聴き取りにあたる日も、指導の一日としてカウントする事例も稀にあります。そこは学校の判断次第です。)

担任が教職員玄関から生徒と保護者を確認して案内。時刻になったら進行役の先生が仕切って、挨拶、校長からの話、生活指導部主任からの話、終わりの挨拶、それで申し渡しは終了。その後、時間があれば学年主任や担任から保護者と生徒を残して話すこともあります。

2)申し渡しの時に話しておくべき内容

学校としては生徒一人ひとりの学校生活を守り、そのためにルールを逸脱した言動に対して毅然とした態度で指導していく、ということを強く伝えます。しかし、それと同時に生徒の反省と今後について見守っていく、ということも伝えておきましょう。我々教員は立場的に子どもたちに対して警察官のようなことも求められ裁判官のような判断も時には必要となります。でも、我々は警察官でもなく裁判官でもなく「先生」です。その立場で今後の生徒の指導をしていく、ということをあらためて保護者にも伝え、また家庭での指導もしっかり協力してもらう。その確認をします。

その後すぐに生徒は謹慎に入ります。用意された「反省日誌」と「課題」を渡します。謹慎指導は「自宅謹慎」の場合と学校に登校して別室指導を受ける「登校謹慎」があります。現在の公立高校では登校謹慎も少なくありません。

担任など担当する先生は、当該生徒と保護者に、以下のことを漏らさず伝え、約束させます。

〈  約束事と声掛けのポイント  〉

●  他の生徒と接触させない。電話もしない、させない、話さない。スマホも謹慎解除まで返却しない。

●  自宅謹慎の場合には学校に定時連絡を。

●  登校謹慎の場合には別ルートでの登校と別室での課題の取り組み。下校後には定時連絡。

●  謹慎の別室監督を割り当てられたいろいろな先生からの話を聴いて反省する。

●  謹慎中に反省して考えたこと、学習課題への取り組みの程度、毎日の過ごし方についても、反省日誌に書く。保護者にも毎日書いてもらう。「のちに先生方や校長先生が謹慎を解除させるかどうかの材料になるんだよ」と伝えます。

●  そして、こう伝えましょう。お前自身が「もういいや」とか「謹慎マジ無理」とか思った時点で、もう先生はお前を救えなくなる。本気で「自分という人間を変えなきゃ」って頑張っていこう、と励ましてあげます。人間、誰しもやらかしてしまうことはある。そして若い時ほど後先考えずに間違いを起こしてしまうもの。大切なのはそれに気づいて自分と向き合うことと、向き合ったあとですから。それをしっかり伝えて「お前がキレない限り、先生たちは見守って支えていくつもりだよ」「これを機に変わり成長していくお前を見るのが、先生はある意味楽しみだよ」とメッセージを送って、謹慎指導をスタートします。

今回はここまで。次回は「謹慎中の指導および解除」について、具体例を挙げて何について「どう声掛けをして何を考えさせるか」など、かなり細かな指導内容まで踏み込んで助言していきます。特に若手の先生で、生活指導経験の浅い先生にはよく読んで欲しい。お楽しみに。


IMG_4092


「部活動の新年度当初のミーティング    その2  〜全体ミーティング編〜」



今回は「部活動の顧問としてのミーティング・説明会のやり方」の第2回。前回の新1年生対象の「新入部員説明会編」に引き続き、その新1年生に新しく着任された新顧問の先生を含む顧問の先生方全員と上級生の2、3年生も加わった、つまりその時の部活の全メンバーが一堂に会する「全体ミーティング編」について助言していきます。


  全体ミーティングを行う意味  


前回「新入部員説明会」同様に、「全体ミーティング」(学校によっては「一斉部会」と呼んで全クラブの顧問の先生と新入部員と上級生の部員との顔合わせをしたりしますね。)の流れを押さえておきましょう。

本来、この全体ミーティングの主たる目的は、新入部員と2、3年生の部員と顧問の「顔合わせ」だと思われがちです。たしかにその一面もありますが、新年度立ち上げの時期なので学校サイドでは各種委員会と同様に、新しく「部長を選出」したり「部員名簿」を新たに作り提出させることで、顧問と部員の把握をして、生活指導部の担当が主催する「部長会」あるいは「クラブ委員会」と呼ばれるような会の代表者招集と連絡の資料作りのためでもあります。夏休みなど長期休業中の各部の活動予定とその一覧表を作成・配布・掲示したり、生徒会予算について各部活に生徒会から予算案を配布・提案したり年度末にはその決算を配布・説明したり、部活によっては文化祭での有志団体として参加する時の代表生徒把握のため、この全体会議とその後の各部の資料提出に大きな意味があるためです。だから学校として不可欠な会なのです。

部活としては顧問から、新入部員に説明した内容を2、3年生にも繰り返して、子どもたち各々が部活の一員としてやるべきことをあらためて確認させてもいい。部活に取り組むのに必要な姿勢や意識は、上級生も同じはずですから。しかしながら限られた時間の中でそこまで時間を掛けるのは難しいし、もし先生から一方的に話したとしても生徒たちの集中が続かないでしょう。(それは、練習など先生がともに過ごす中で繰り返し語りかけていきましょう。)

ですから、部員全員が集まるときこそ伝えるべきポイントを押さえてミーティングを進めていきたい。後で振り返って「やっちゃった。あれを言い忘れた!大事なことだったのに!」とか「あの項目もせめてプリントにして配って伝えておけば丁寧だった」と反省して、その後ミーティングが繰り返されたりするなど二度手間にならないよう今のうちに確認しておきます。


  全体ミーティングの流れ  


1)挨拶と紹介

いわゆる顔合わせです。挨拶する人は前に出て、みんなから顔が見える位置で聞こえるように話をします。必要であればマイクも用意します。

可能であれば配布プリントはこの時にはすでに全員に配っておき、それを見ながら話を聴ける状態にしておくと良いでしょう。


  顧問挨拶と新顧問の先生の紹介

新入部員には事前に「新入部員説明会」で主顧問から話しているので、ここでは新しく顧問になった先生方から自己紹介とご挨拶をいただきます。


  主将・部長、副主将・副部長の挨拶

上級生として3年生または2年生の主将または部長、その後に副主将・副部長から自己紹介とひと言、話してもらいます。顧問の先生はあらかじめ主将と副主将を呼び出し、二人の話が被らないよう事前に調整しておくように指示しておきます。


  マネージャーも全員出てきて挨拶

マネージャーがいる部活は、体育館なりグラウンドなりで忙しく仕事をしているはず。前に出て新入部員に「顔見せ」をして簡単に挨拶することで、慣れない1年生でも困った時にマネージャーに声掛けできるようにします。なおかつ日陰の存在になりがちなマネージャーも部活の大切な一員として存在価値を示す場を作ってやります。

私自身はそれとは別に「マネージャーにお願いしたり頼るのもいいが、彼女たちはチームの仕事がきちんとあり、お前たち部員のお母さんでも召使いでもない。お前たちがチームの、マネージャーの仕事を手伝うくらいじゃなきゃダメ。勘違いしないように」と伝えています。


  新1年新入部員の挨拶と自己紹介

ここでも前に出て上級生たちに顔見せして一人ひとり簡単に挨拶をしてもらいます。恥ずかしがる子もいると思いますが、みんなで出れば大丈夫。クラスと出身校・前所属チーム、ポジション、意気込みくらいでいいでしょう。生徒は出身校などで同じ部活の先輩後輩だったこともわかり親近感を感じたりします。新1年の責任者と副責任者についてもあらためて自己紹介させます。上級生に連絡係として伝えます。


2)主顧問から

挨拶が終了した後、主顧問から全体ミーティングで話す内容やプリントを配布して説明します。新年度初めのミーティングで押さえておくことについて挙げておきます。


  顧問、スタッフの一覧

ここでは学年、分掌、教科、在任期間ほか簡単なプロフィール、指導実績などもあれば。その部活における顧問の役割分担。外部のコーチや外部指導者についてもきちんと紹介します。外部コーチは当日不在でもOK。内容をプリントして配布すれば保護者の方も情報を共有してもらえます。


  部活・チームの紹介

チームの方針、大会実績、学年別人数、今年のチームの目標やチームスローガンなど。

私は毎年、新チーム立ち上げ時にその最上級学年にその代の目標、チームスローガンやそのために何をすべきかなど決めさせ、部員全体の前で表明させます。


  練習日、活動場所の確認

  年間スケジュール・大会等

  直近のスケジュール

これらについても顧問が文書化したプリントを用意しておきます。

③「練習日、活動場所の確認」については校舎のどこにある場所かあらためて新1年に説明すると同時に体育倉庫、石灰倉庫とラインカーの置き場、楽器庫の使い方なども、2年生が詳細を後日教えるよう伝えておきます。

④「年間スケジュール・大会等」⑤「直近のスケジュール」については、上級生に大会や公式戦に向けての話をします。


それに加えて「生活上の見直し」も示します。

1年生には「学校生活に慣れること、健康に気をつけること、自立すること」

2年生には「後輩の面倒をみると同時に自分たちの意識を高く持って部活に取り組むこと、勉強すること、学校行事でも中心となり頑張ること」

3年生には「最終学年として引退まで少ししかない、公式戦含め最後までやり切ること、進路も見据えて勉強も頑張ること」

などを伝えると良いでしょう。

いずれも言えることは、入学・進級したことで勉強もより難しくなってくるので、部活と勉強の両立について、生活の中での切り替えや健康管理の意識について。部員生徒全員に訴えます。


  健康保険証の所持を指示

活動中のみならず登下校中の交通事故や大きな怪我、練習試合や大会で自校から遠征した時の緊急時に使用するため。中学生・高校生ともなれば財布や生徒手帳などに入れていつでも自分で対応できるように、常に持ち歩き所持しておくよう伝えておきます。また健康保険証は再発行もたいへんでかつ個人情報でもあるので、紛失したりしないようしっかりと自分で管理するよう伝えます。


  部費の徴収のお知らせ

・生徒会費では賄いきれない消耗品に掛かる費用。氷、ポカリ、テーピング類。

・選手登録費など必ず個人で掛かる費用。

・合宿・遠征、定期演奏会など費用がかかる部内の行事。

それぞれ概算で構いません。学校も逼迫財政で受益者負担が原則になりつつあるので、具体的な数字を示して説明し、保護者向けにもプリントして配布します。


  部活の保護者会開催お知らせの配布

こちらは任意です。が、やはり子どものふだんの生活の情報共有や、顧問と保護者の方との風通しを良くするためにも、保護者対象の会を5月から6月末くらいまでに、年に一度でも開いておくと良いと思います。勉強の悩みや健康上のことや部員間の人間関係のことなど、こちらが保護者の方から聞いておいて良かったと思う情報も少なくないからです。また合宿など宿泊を伴う部活行事や部活の引退の時期と卒業後の進路の実際など、保護者の方々が気になり個別で質問される内容もここでまとめて話もできます。三年生を送る会、いわゆる三送会などを保護者の方に手伝って一緒に行う時などにも連絡が取りやすい。

顔を見て、表情を見て、直接声を聴いてやり取りすることで生まれる信頼関係は、子どもを通した話やこちらからの一方的なプリントでは得られません。


3)新1年生の作業

最後に新1年生と2、3年生の一部のみ会場(教室や会議室)に残り他のメンバーは解散します。以下のことを確認しておきます。


  個人から連絡用に「部活全体のLINEグループ」に入ることで連絡を共有できるようにする。ご家庭によってはスマホを持たせない場合もあるようですが、そういう子どもに対しては必ず自分で生徒間の情報を共有できるよう指示しておく。


  上級生から部活内のルール、約束事、練習準備の細かな手順など1年生への仕事の引き継ぎの話をする。入部してから初めの1ヶ月は上級生も新1年生部員とともに行うように顧問から指示します。しかし、どんなことが1年生のやるべき仕事なのか、伝えることは大切です。あらかじめ新2年生に整理させておきます。当然、挨拶や時間厳守についてもです。そのように1年生に教えることで、2年生も自覚せざるを得なくなります。


  個人持ちユニフォームやポロシャツ、ジャージのサイズ、番号など決める。原則、注文したらキャンセルはできない。もし退部することになったら購入せざるを得ないから、と無責任に注文することのないようにひと言付け加えて。

当然、仮入部期間などでの新入部員の活動着は、学校の体育ジャージでも全然OKです。ただ、落ち着いた頃だと他の学校の部活も同じ時期に注文を受けて業者や工場も混むので、馴染みの業者がいれば早めの発注もいいでしょう。部活やチームのジャージを自分も着ることができると、子どもたちは喜び、仲間意識もできて常に同級生と一緒に着たがるものです。


(終わりに)


以上、細かい点を挙げてみましたが、この会の準備は慣れてない先生の場合、綿密に準備した方がいいと思います。時間は限られており、生活指導部に忘れずに提出すべきものもあるからです。

またこれを契機に生徒たちが自分の所属している部活に愛情や所属意識も自覚でき、上級生は新入部員を迎えることで先輩としての立ち居振る舞いを余儀なくされて、必ず意識も高くなります。ご承知のように「新1年生の目」があるからです。


この会をうまく役立てない手はありません。顧問の先生はさらに上級生を新1年生の部員の前で必ず「褒めて」あげてください。たとえ、問題が多くてだらしのない学年であったとしても、です。どんなことでもいいんです。できれば、具体例を挙げて。憧れの目標とすべき先輩像を示してあげてください。褒められて嫌な人間はいない。嫌味のひとつも言いたくなっても、それはNG。上級生の紹介はとにかく褒めて、さらに期待している趣旨の話をしてあげてください。


そして、その勢いに乗せて、2、3年生もその場に学年ごとに残って、新たに「部内の係分担」を決めてもいいでしょう。近年「ボトムアップ」と言って、生徒たち自身が自分たちで問題意識を持って課題を話し合いながら解決していく手法が広まってます。素晴らしい「自立」方法のひとつだと思います。(私自身も部活の顧問としてキャプテンを命じたことはなく、部員に決めさせています。つまり先生のせいではなく決めた自分たちに責任が生じる。)

また主将・部長、副部長など代表者だけでなく、「幹部」や各「係」とその班長、副班長まで自分たちで相談して決める。この辺はクラス担任をしていればどんなものかはイメージできますよね?  この役割分担が小学校から無くならず、社会に出ても同じように職種という役割分担をしていることからもその効率の良いことだとわかります。

「生徒たちがやるとかえって時間も掛かるし、ミスも多いから結局自分がやることになる。最初から自分がやった方が楽」というのは先生の本音でしょう。しかし、どうでしょう。生徒は「自立」しますかね?  「依存」が当たり前になり「無責任」になり「文句や不平不満」を言いっ放しにしませんか?  この時期のこの全体会は、生徒たち自身がそれぞれ部活動を「自分たちの問題」として捉える良い機会なんです。これを活かさないのはもったいない。

ただ、その場合の「係」と「業務内容」については顧問の先生があらかじめ準備しておかないと、今の子どもたちは「受け身」なのでほとんど具体的には動けません。その係や役割についてはまたあらためてお話したいと思います。

IMG_5128

「部活動の新年度当初のミーティング    その1  〜新入部員説明会編」


現在、コロナウィルス感染拡大防止のため学校現場で子どもたちも我々も非日常の生活を余儀なくされています。集団での運動も大きな声で歌うことも禁止され憚られる今の日本社会ではありますが、今回のテーマは個別で要望の多かった「部活動の顧問および指導に関すること」についてです。押さえておくべきポイントを整理しておきます。こんな時期ですが、新年度スタートに向けて準備をしておきましょう。


これから「顧問としてのミーティング・説明会のやり方(新年度当初)」についてと「顧問としての考え方と部活の運営」について、それぞれ2回、計4回にわたって助言していきます。


今回は「部活動の顧問としてのミーティング・説明会のやり方」。部員も少なくこじんまりと活動している部活では、上級生と一緒に説明会やミーティングをする部活も多いと思いますが、規模が大きく部員数が多いと教室にも収まり切らず、やたら長引いてしまう、全体だとこちらから伝えたいことが伝わらない、あるいはボヤけてしまう部活もあります。そこで、今回は分けて考えて、新1年生対象の「新入部員説明会」と、上級生の2、3年生も加わった「全体ミーティング」と、新年度当初のミーティングを二つに分けて捉え直します。今回のテーマはその1回目「新入部員説明会編」です。


  新入部員説明会の流れ  


1)「新入部員一覧表」の記入指示とプリント配布

用紙を準備して一覧表を回して新入生に「クラス・番号・氏名・ふりがな」などを記入してもらい、待つ。学校所定の「入部届」など配布。


2)「生徒個人票」の記入指示

個人のプロフィールを別紙に書いてもらう。後で回収。住所や電話番号のほか緊急連絡先、出身校やその部活の種目の経験年数(選抜や大会実績などあればそれも)、既往症(ここ大事です。保護者や養護教諭の先生との連携もしておく)、入部後の個人としての意気込みや目標など。

部活の競技種目や活動内容によっては「好きな選手」や憧れる選手、また軽音楽部や吹奏楽部などは「好きなアーティストやバンド名」など書かせて紹介しても良いでしょう。その部活の種目やその世界に高い関心を持って臨もうとする気持ちを褒めてあげましょう。周囲への刺激にもなります。


3)顧問挨拶

ここでは担当学年や担当教科など簡単な自己紹介で済ませます。


4)主将・部長挨拶

その部活の雰囲気を新入生向けに伝えてもらいます。キャプテンや部長など代表者を先生が事前に呼び出しておき、くれぐれも「怖がらせずビビらせない」よう言い含んでおきます。笑    この部活は和気あいあいとした雰囲気で、かつみんな一生懸命に取り組んでいるなど「楽しそうだな」と新入生に思わせるようにします。新入生にとってみれば入学してからは環境も変わって緊張の連続。ただでさえ、上級生は大人に見えて怖く感じるものです。その部活が所属したくなる好意的に思える集団としての部活なのだということを、在校生の代表者である主将・部長自らが話して紹介します。


5)主顧問から部活やチーム方針の説明

*この項目については詳しく後述します。


6)記入した一覧表、個人票などの回収

特に名簿の「ふりがな欄」の記入を再チェック。近年はキラキラネームの生徒も多く、また国際化が進み、ふりがな無しでは読めない名前の子も少なくありません。後で個人的に何か聞いておきたいことがあっても呼び出ししにくくなります。


7)上級生を含めた「全体ミーティング」の告知

学校によっては日時と場所もあらかじめ生活指導部やクラブ委員会などで割り振られて決まっているところが多いですね。この説明会の最後に再度連絡してあげましょう。


8)1年生代表を決めさせる

部活の連絡係としての責任者1名、副責任者2名を「自分たち」で決めさせます。またここではあくまでも顧問の先生や部活全体の指示を1年の部員に伝える連絡係にすぎないことも伝えます。原則は顧問責任者の生徒各クラスの部員生徒。確認・報告はまたこの逆のルート。可能であれば1年生だけのLINEグループも作らせます。(LINEのグループについては顧問の先生が入っても入らなくてもいいと思います。あくまでも生徒間の連絡用ツールです。)


こう見ていくと、書かせること、やらせるべきことなど少なくないことがわかります。もちろん部活の規模によっては全体ミーティング一回で済ませるところもあると思います。上記内容を取捨選択して活用して下さい。


  部活・チームの方針の説明  


  部の活動の説明とお願い

顧問の先生、練習曜日、土日の活動、活動場所、直近のスケジュール(1ヶ月程度のもの)を配布。活動に関する費用。日常の部費。合宿の有無と費用、個人持ちユニフォームやポロシャツ、チームジャージを揃えているのであればその費用。(これらの説明に関するプリントは私は保護者向けのプリントとして作ったものをこの時に配布し説明しています。)生徒向けに説明しますが、ここではザッとで十分。新しい学校生活でルールも校舎の配置も先生の顔もわかってない。またここでの本題は先にあるので細かなことを長時間説明するのは無駄。「よく見ておくように」でいい。

帰宅後に配布プリントを見せ、保護者に自分から説明して了承を得られ、迷うところが無ければ「入部届」の提出を伝えておく。できたらプライバシーポリシーの許可のお願いをしておくと、部活の宣伝用のポスター、ホームページ用の写真掲載などにも部活中の写真が転用できます。


  挨拶・礼儀・マナー

中学生として高校生としてもうこれからはしっかりできなければならない。社会に出てからも当然求められること。

校内でも外部施設や公共の場でも非常識な言動は慎む。逆に「挨拶」は自分の部活の顧問や先輩、知り合いに関わらず「誰にでも」気持ちよくする。

「時間を守る」。部活動に遅れるのも原則ダメ。しっかり来る。意識を持つ。掃除や委員会、通院などでどうしても遅れてしまう時もあるが、それもわかっているのなら自分からあらかじめ顧問の先生に「連絡する」。怪我など事後報告も同じ。

(この1年生対象の説明会の前、上級生である2、3年生に大きな声でニッコリ笑って挨拶できるようあらためて事前に伝えておくのもポイントです。「先輩やってる!」という刷り込みは大事です。笑)

あと最近問題が起こりやすい事例では「SNSの取り扱い」について。匿名であっても誹謗中傷と感じられるような無責任なことを書いては顧問として部活として許さないことを伝えます。匿名で書き込んでもそれはいずれ分かる、と伝えておきます。


  勉強と部活、学校生活と部活の両立

部活バカにならない。勉強も全力でやる。部活のせいにして勉強ができない、成績が下がった、というのはダメ。勉強は学生がやるべき義務。義務を果たした上で部活という権利を行使できる。小さくは個人の進路に繋がる。が、それだけではない、大きくは勉強の魅力や面白さも先生という立場から伝えられるとなお良い。

また部活は学校生活の一部に過ぎない。学校行事も委員会も中心となって積極的にやる。それも伝える。「クラスでも委員会でも良い人間関係を築ければ、お前の部活や試合も応援してくれるし、いざという時に助けてくれる存在になるんだよ」ということも合わせて伝えておきたい。


  健康管理

高校生ともなれば、健康管理は自分自身の責任であることを話しましょう。(中学生の場合は「もう中学生になったのだから」と同様に自覚を促します。笑)体調が悪くなるのもしかたないこと、なんて思わせない。日々自分の健康に注意させるよう強調します。「健康管理は自分の責任」とにかくそれを強く伝えます。(持病がある生徒は当然別。)「また風邪引いちゃいました」「ずっと怪我も良くならない」ではいかがなものかと伝える。「大事な試合の前でも簡単にそんなことを言ってしまうのか?」「もう高校生なんだから自分の身体はわかるだろう。予防はしたのか?    病院の治療は合っているのか?」などと個別に伝えます。当然、思春期。ホルモンバランスも崩れやすいし、人間関係による悩みもある。それは教員として頭に入れておくのは当たり前ですが、子どもを「お子ちゃま」のままにしない。大人になるための架け橋として捉え、指導します。


  家事手伝い

お父さんお母さんに「ありがとう」と言える自分になる。まず感謝するのは当たり前。言葉にして伝えるのも当たり前。中学生、高校生の最初に「自立」のきっかけ作りをする。

まず、朝自分で起きることができているかどうか。自分の部屋を掃除しているかどうか。食器の後片付けや洗濯物の整理をしているかどうか。料理は作れるか。など、家事でできること、何か手伝っていることがあるかどうか、挙手させて聞いてみます。できている子を指名して当てて答えさせます。これも刺激になりますよね。できたら部活や学年の保護者会でも例を挙げて褒めてあげましょう。帰属意識を家族にも持つには、しっかりと自分も家族の一員として日々の役割を担うべきだからです。そして自分の好きな部活も、家族に支えてもらい応援してもらう。このことはチームスポーツ、集団の部活などに必ず不可欠な要素となります。日常家事を担っている生徒は、部活のことにも責任感を持って取り組めるからです。


  チームの一員として

その部活を好きになる。「これからはお前たちの所属集団であり学校生活の居場所のひとつであり、アイデンティティのひとつだよ」と伝える。

だから部活やチームの一員として非常識な言動は慎む。時には連帯責任になったり、迷惑をかけてしまうこともあり得るから。逆に「△△部の〇〇って生徒がこんな人助けをしたらしい」「△△部の生徒がボランティアで駅前も雪掻きして感謝された」など、そういう部活になろうよ、と伝えます。できたら具体例を挙げて。

また自分がレギュラーとして出られる出られないなんて小さな考えではなく、出場しているチームメイトを応援できる自分になる。Aチームつまり公式戦のレギュラーメンバーの応援をそれ以外のメンバーも応援するのは普通ですが、私のチームではその逆の、Bチームあるいは1年チームの試合の時にAチームのメンバーも応援するのが普通です。それぞれの試合前にそのメンバーのためにグラウンドなど活動場所も優先して空けてやり、それ以外の部員が応援練習をしているのも私の部活の日常です。お互いの気持ちをお互いの立場から感じることは大切な経験です。ましてや中高生、公式戦メンバーになったくらいで勘違いする子どもは少なくない。まず自分自身が成長するよう努力する。メンバーに入るのはその延長線上だと伝えます。


  部員は全員平等

上記の⑥にも通じますが、顧問の先生はすべての部員を平等に指導し練習をするよ、と伝える。原則、部員は全員参加機会を与える、試合も全員を出場させる。そのことを伝えます。ただ、限られたメンバーしか出られない大会や公式戦などは、相対的に見て選ばざるを得ない、怪我や調子の良し悪しなども関係する。逆に言えば学年優先制ではないので1年生でも頑張っていればチャンスはあるよ、目に見えるところだけでなく努力したことは必ず次の自分に繋がるからね、ということも伝えて、モチベーションとしてあげます。


  顧問の先生もひとりの人間

私は以下のようによく話をします。

「この部活で三年間最後までやり切ろう。それだけで価値がある。大会で何回戦まで行ったとか、レギュラーだったとかそうじゃなかったとか、そんなことは小さなこと。学生時代、勉強以外で何を頑張って最後までやり遂げるのか。(勉強はみんなやるべきものです。)人と比べる前にまず自分でやり切ったものを得て卒業する。その挑戦だけで十分価値があるよ。高校時代は人生一度きり。みんながそれぞれ人生の主役なんだよ。

そして卒業したら、同じ部活で同じ時期を過ごした者で集まってのんびり話をしよう。卒業生としてOBOGとして、同じ音楽、芸術、同じ競技、スポーツを愛した人間として、また会おうよ。OB会(あるいは定期演奏会や文化祭)にはぜひ帰ってきて先生に顔を見せて。

高校時代の(中学校時代の)部活にはどんな意味があったのか。そして教え子であるみんながその未来の場所で今どんなことをやっているのか、先生に是非教えてください。そして二十歳を過ぎたらさ、先生とみんなで飲みながら話そうよ」なんて感じです。

つまり、この部活は、彼らの人生の一部であり、その先も人間関係を含め続いていくものなんだ、そして今のこの説明会・ミーティングがそのスタート地点なんだよ、ということを伝えます。


その後は、回収する書類の確認、部活全体のミーティングの連絡、1年のLINEグループ作り、下校前に上級生がやっている部活の見学などを紹介して解散します。


今回はここまで。次回は2、3年生も加わった「全体ミーティング編」です。合わせて参考にして下さい。ではまた。


↑このページのトップヘ