2020年07月

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「コロナ休校明けに取り組むべきこと」


コロナ感染者拡大防止と長期の休校(正式には「臨時休業」と言います)により、学校現場は大きな変化と今後について対応を求められています。さまざまな教育活動が変更を余儀なくされる中、体育祭や文化祭、宿泊を伴う行事などの中止、大きなものでは夏休みの短縮が決まりました。感染拡大防止、そして予防対策を取りながら授業確保をして休校中の授業時間を取り戻すためですね。東京都では公立学校が8月のお盆の時期に2週間ほど、私立校では1週間にとどまる学校も少なくありません。そして、臨時休業中つまり自宅学習期間の学校の指導方法を見ますと、課題を課した学校が96%とほとんどであったのに対して、オンラインツールを活用した授業の実施はアンケートによるとわずか20%にとどまっていました。その臨時休業中の学力を把握する予定の学校も68%ですが、そのほとんどは先生作成のテストを実施するなどして課題を評価する予定、との数値が示されています。(2020  4月〜5月 Benesse High School Online調べ)つまり今現在から夏休みまでの短期間で、提出させた課題の見極め、定期考査で休校明けの授業内容を評価、成績処理もミスなく行いながら、志望進路の確認と進路・選択科目指導、学校行事の選定し直し、部活動の再開なども同時進行で求められるという、ある意味、先生にとっては例年以上に忙しくなる学期末ということになります。では、どんなことを準備しておかねばならないのでしょうか。大枠を整理して具体的に示していきましょう。


★  1 教員間 

1)学年団

→  ①「学年行事」の見直しの確認

学校全体の行事見直しは管理職や教務部が主導で企画調整会議などを経て決定します。体育祭、文化祭、合宿祭などの取り止めが指示されていることがほとんどのようですね。学年単位では外部との調整が必要な進路関係の行事や修学旅行などを話し合い、方向性を確認しておきます。その他、学年の成績にまつわる会議などの日程調整、球技大会の実施の有無、生徒会の役員選出のための根回しなど、見直しや小改訂は少なくないはずです。

→    問題生徒の把握

欠席生徒の体調チェック、特に発熱のあった生徒については当然この状況ですから、本人だけでなく保護者との電話連絡は必須です。そして休校が長引き生活リズムが乱れてしまい遅刻や欠席がちな生徒の状況の把握をしておきます。


2)分掌、他学年との確認

→    「出席停止」の扱いについて

本人がコロナの感染するのはもちろんのこと、その家族が感染してしまった場合は、当然「出席停止」扱いが妥当。そればかりでなく「感染のおそれや疑い」があり欠席した生徒についても、出席停止として扱うかどうか校内で共通理解を図っておきます。

→    「学校行事」の見直しについて

学年の意見をお互いにすり合わせる作業をします。学年の保護者会や進路指導に関する行事、または小規模での球技大会など、継続可能な行事や中止になってしまった行事の代替イベントなど、できる範囲内での行事を検討します。

→    授業日数や成績処理日程の確認

おそらく慌ただしい学期末になると思いますが、他学年と足並みを揃え、学校としてどうなのか明確にしておきます。


3)教科会議と教科担当者同士の確認

→    指導内容について

授業時数の確認と単元や授業内容で共通して抑えて指導するべきものの選定をします。駆け足で表面的にさまざまな分野と項目をざっくり説明するのか、教えることを小さく絞って時間を掛ける項目と自分でやっておけと指示しておくのか、担当教員で違いが出ないようにします。

→    休校中の課題評価と成績について

このことも生徒や保護者からクレームの出ないように、評価基準を明確にしておきましょう。それにしても今回の学期については日数も短く授業も駆け足だったはず。テストばかりでなく課題の評価も含めて少し緩めになるのはやむを得ないところでしょう。


★  2 ホームルーム経営 

→    クラス生徒の把握と関係作り

係や委員の分担は終わっていると思います。しかし行事が激減しているので、関係作りは例年通りにはできませんね。早く仲良くなるためにいろいろレクリエーションもやりたいところですが、今の状況では接触系レクなどは我慢が必要。昼休みの給食やランチなどでも感染予防のため向かい合っての食事は避ける、直接手づかみするサンドイッチやおにぎりの昼食は避ける、との指導もありますね。寂しいですがマスクもできない食事に関しては近距離で向かい合っては飛沫感染予防の観点からたしかにNGです。それでも、学級日誌で一人ひとり挨拶させたり、自己紹介シートを作ってクラス掲示するなど、工夫しながら人間関係作りを少しずつしていきます。

→    二者面談

短時間で全員をまず済ませます。そのため聞く内容は絞ります。問題のある生徒は再度時間を作ってあらためて個人面談。あるいは保護者も同席してもらい三者面談。生徒の状態が良くないときはスクールカウンセラーの予約と面談も勧めます。今の時期は「担任としてクラス生徒全員と面談をした」という事実が重要です。

→    定期考査・受験に向けての指導

短い期間の授業日だからこそ試験範囲も限られてるはず。休校中の課題の範囲も振り返らせしっかりと取り組ませたいですね。わからない単元については教科担当の先生に積極的に質問に行かせます。そして2学期以降にも繋がることを考え今の段階で習得しておくべき内容をこぼさないように繰り返し話しておきます。

→    来年度選択科目調査に向けての指導

いわゆる大学受験であれば国公立大と私大、ほか専門学校。あるいは就職など志望進路の確認。それに繋がる文理選択。こちらも本来なら1学期からホームルームや総合学習などで時間を掛けて考えさせるべきこと。しかも今年は学校説明会やオープンキャンパスも続々と中止かオンライン化に変更。限られた中で進路部含む先生方から今までの体験談を語り、オンラインでの説明会参加方法の紹介と資料も取り寄せる方法を伝えて進路指導もやるしかなさそうです。


★  3 授業 

→  指導内容と進度の確認

今年度はできる範囲の中で最低限抑えておくべき事項や単元を指導します。生徒にもそれを伝えておきます。(隠すことなく授業で扱えない単元や項目についても伝えておきます。実はこれは重要です。)アウトプットの小テストについては複数回やっておきたいところ。大幅に減ってしまった授業時数との兼ね合いもありますが、テストのためでも勉強をさせるには必要。また、授業で扱う内容が「広く浅く」になるのであれば、補助的な課題やプリント、あるいは自学自習できる問題集を与えて取り組ませましょう。


★  4 部活動 

→  こちらは、今年は焦らず、部活動をできること自体に喜びを見出す、そういうレベルになると思います。また部活動によっては、体力低下により例年より危険を伴うことも予想されます。先生側も無理せず指導して「もう少しやりたいのに」と子どもたちが感じるくらいで十分です。むやみに接触せず、密を避け、消毒などにも気を配る。活動内容のメニューなどにも工夫して「落ち着いたら全力でやろう」と声掛けし、保護者にも理解を得て支援をお願いします。

またチーム登録と選手登録、大会の有無とその参加について、大会自体のルール変更などについて、中体連や高体連の専門部に連絡してみます。コロナ感染拡大の予防と部活動の段階的練習方法など専門部の立場から提示されているものもご自身の現場でも導入するために、いろいろ確認しておきます。

そして、夏休みに実施が禁止となってしまった「夏季合宿」の今年度予算を、来年の3月春休み期間までの合宿に振り替えて変更できるかどうかを検討して申請しておきます。もちろん、この変更が可能なのかどうかも今後の状況次第ですが。


(終わりに)

東京都をはじめ感染者数も減らず、医療機関も余裕もなく疲弊し、まだまだ落ち着いて対応できていないのが現在の我が国の社会の実情。学校は、実は社会環境の中では換気や消毒指導などかなりしっかりと取り組んでいるのですが、残念ながら人が集まるのも学校。コロナ感染のリスクは校内でもまだしばらく収まらないでしょう。その中で「withコロナ」の学校生活を送るわけですから、できることは、その範囲は本当に限られる。そこを割り切って我々は準備すべきです。必要以上に悲観せず、現実を直視する中で子どもたちに提供できることを準備、対応していく。それも教員個々でなく、その学年だけでもなく、その学校の教職員が一枚岩となり共通認識のもとで対応していきたいものですね。子どもたちの学生生活は人生一度きり。先生方が真摯に準備して対応すれば、子どもたちも保護者の方々も、今の社会状況にやるせない気持ちではあっても、我々の取り組みに納得してくれるはずですから。




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「部活動の顧問はこうやる! 〜運営編〜」


東京都を除けばコロナウィルス感染者数も以前に比べてみれば落ち着いて来ている中、学校は分散登校や時差登校を挟みつつ、少しずつ「新しい日常」を加えながら再開してきました。休校や短縮授業による授業時数の大幅な減少から、先生方はその後の対応に日々追われていることと思います。今回のテーマは「部活動の運営」について。再開した学校生活においていろいろな学校行事がコロナ感染拡大防止のため行事の中止を余儀なくされる中、まだ様々なハードルがあるものの子どもたちが楽しみにしていた「部活動」。その再開時における、顧問の運営上の確認事項などを押さえておきましょう。


★  例年の確認事項  

  顧問同士の役割分担と関係作り

→  職員室や活動場所などでの立ち話とは別に、短時間で構いません、顧問会議あるいは顧問打合せをしましょう。役割分担をこの年度当初に明確にしておきます。主顧問(監督)、副顧問、第3顧問、会計ほか外部指導員を含むコーチなどスタッフの立ち位置も顧問間で決定します。保護者に対してもプリントしてお知らせしておきます。

また顧問の子どもたちへの指導指針も確認しておきます。チーム運営における基本方針、チーム作り・メンバー選考について。現在では勝利や記録を意識した実力主義一辺倒よりも今は柔軟にみんなにチャンスを与えたり、全員を試合に出場させることも部活動には求められています。また生徒間の大きなトラブルを除き、子どもたち自身に運営もさせていく(すべてではなく機会を与えて成就感や達成感を与えるスタイルの)「ボトムアップ」思考を取り入れても良いでしょう。


  加盟登録と年間スケジュールの確認

→ 年度当初で多忙の時期でも我々教員が絶対忘れてはいけないこと、「加盟申込み」や「大会参加申込み」「選手登録」などを必ず確認します。同時に中体連・高体連の年間スケジュール。それに加えて親善試合、夏季合宿、引退セレモニーのそれぞれの時期。今年度はコロナによる中止も少なくありません。随時ホームページや運営委員の方々への確認をしておきたいものです。


  部員の確認

→  1)上級生

全体の部員数、学年別・男女別人数を明記した名簿を顧問会議で配布。そのほか部長・主将ら幹部の生徒、中心となる生徒も把握します。できたら顔合わせも。また部全体の意識やモチベーション、目標や所属意識。彼らの生徒の既往症、保護者の関わりについてなど、押さえておきたいマル秘の話も、今までいた顧問の先生が簡潔にまとめて顧問会議で確認しておきます。

→  2)新入生の入部生徒の対応

これは各学校の規程や慣例があるはず。それを踏襲していく形で十分です。他のクラブと足並みを揃えて。必要があれば学校全体で見直し改善していきます。今年度についてはコロナウィルス絡みで中止や変更も多いですね。下記に別途その注意を挙げておきます。


  保護者と顧問との関係

→  保護者なくしては生徒との信頼関係も難しいのが今の部活動。保護者の方々が協力を惜しまず支援してくれるプラス面ばかりでなく、悪化している件や重たい案件も顧問間での情報共有は必須です。我々教員が関わる子どもたちはあくまでも未成年であり保護者承諾の下での活動。場合によっては管理職にも報告を入れておきます。


  緊急時の対応

→  1)生徒の怪我や事故時の対応

学校近隣の病院を確認して職員室の部活動ファイルに紙ベースですぐに見ることができるようにしておきます。生徒の既往症や体質的に注意しておくべきことを把握しておきます。個人の保険証を財布や生徒手帳に所持しておくよう指示しておきます。特に小中学生はスマホ・携帯を学校内に持ち込むことが禁止されています。(中学生にはその見直し案も出ていますが、すぐには広まらないと思われます。) 保護者への緊急連絡先も把握しておきましょう。

→  2)教員の緊急時の対応

先生方も生身の人間です。本人はもちろんご家族の都合などもあるはず。臨機応変に顧問の先生同士が助け合える緊急連絡時のことも準備しておきます。公式戦や引退試合にはあらかじめ複数対応を。顧問の先生が当日誰も担当できない時は、その日の活動は中止にすべきです。「顧問の先生が協力してくれているからこその部活動」ということを子どもたちに知らしめることも、時には必要です。


  運営費

必要経費の予算立てをしておきます。徴収額やその方法も確認しておきます。

→  1)年度前

学校の公費助成や生徒会費における部活動予算を確認。新規部活動発足時以外は、昨年度中に予算申請しているはずです。書面で確認します。

→  2)年度初め

登録費、ユニフォーム、部費、父母会費、OB会費など。コーチを外部からお願いするのであればその手当に掛かる経費について。文化部は定例のコンサートとそのための会場費をあらかじめ確認しておきます。

→  3)年度途中

大会参加費、後から入った部員の追加登録費、夏季合宿費、審判講習会・登録費。文化部であればライブやスタジオに掛かる経費などはその都度。

→  4)年度末

三年生を送る会(三送会)記念品、色紙、花束、他セレモニーに掛かる装飾品、軽食代など。卒業式前後の催しでもあるので、決算は翌年度の初めでもやむを得ないと思います。


★  異動時の確認事項  

主顧問の先生や長きにわたってその学校の部活動に貢献された先生が異動や退職で去る年には、あらかじめご自身により次の主顧問および顧問の先生方に次年度に向けて引き継ぎをしておきます。先生ご本人にはさまざまな思いがあるはずです。しかし、くれぐれも引き継ぎ不足もなく、子どもたちからも他の先生方からも「さすが!」と言われましょう。引き際もカッコ良くいきたいものです。言うまでもなく、これも「準備」が重要です。



★  今年度における確認事項  

今年度はコロナ禍により、まさに部活動どころではない不測の事態に遭遇しています。新入生の体験入部や入部後の練習・トレーニング参加については、その「体力面での衰え」も考慮して、例年よりゆっくりしたペースで対応していくべきです。高体連や高文連、中体連の専門部の指針も参考に、生活指導部やクラブ委員会などが、余裕を持ったスケジュールの中で新入生のクラブ勧誘および入部説明会を促します。上級生についても同様です。各部の顧問レベルでも慌てずスローペースで大らかに対応しましょう。

それとは別に、大会や公式戦の確認も忘れずに。特に今年度、コロナウィルス感染拡大防止により三年生の引退など区切りの大会や試合が実施されず、そのまま引退となってしまったケースも少なくないはず。交流試合や親善試合など部活単体レベルでいいのでイベントの企画までしてあげたいものです。我々教員にとっては「長い教員人生の未曾有の一年」であっても、子どもたちにとっては「人生一度きりの中学校あるいは高校の部活動」です。私たち教員が「先生」として子どもたちに今できることは何か。そう考えて取り組むこと自体で、私はもう失敗ではないと思います。


( 終わりに )

「良い部活に入って良かった、本当に良かった……」なんとも嬉しいひと言。子どもたちがそう思えるような部活動の運営は理想です。しかし、それは決して簡単なことではないと思います。まず部活動の運営自体、授業の専門分野とは異なり、教員免許状取得の時にもまったく必要はない。部活動の種目や分野が専門ではない先生方も多く、ある意味学校から丸投げされてしまっていたりすることも少なくない。手当ての額的にもその責任に比べてボランティアと言ってもおかしくない。部活動とは先生方の「善意」で成立している生徒活動に違いありません。ましてや今はこのコロナウィルスによる先行きの見えない状況下です。だからこそ、顧問の先生の取り組む姿勢が問われています。一人きりにならず、顧問の先生方、学校の先生方全員が一枚岩となって、さまざまなことに直面してもその中でやれることを、その中での精一杯を、とりあえずできればいいと思います。そのことが良い思い出になるには何よりも「関係性」。そしてそれを活かす「知識」と「準備」と言ったところでしょうか。準備の部分はその都度確認して、助け合えます。時にこぼれることがあっても、まずは経験ある先生方と「いざその時の対応」のための準備をしておきたいものです。前を向いて共に「今やれること」をやっていきましょう。


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