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「部活動の宣伝はこうやる!」



どこの学校も特色ある学校作りをする上で、学業面、進路実績、学校行事、きめ細かい生徒指導など、様々な取り組みを求められていると思います。それらの中でも「部活動」については、学業の成績面とは関係なく生徒の活動場所・居場所であると同時に注目される場です。そして子どもたちにとっても学年の枠を超えた、クラスとは別の人間関係を構築できる場所でもあります。今回も前回に引き続き、新学期に入る前に準備しておきたい部活動関係のテーマを取り上げます。


指導者やそれ相応の生徒が部内にいるのなら、校内でも、対外的にもアピールをしやすい項目の一つです。学校における放課後の活動の活性化や校内外に注目を集める団体となり、クラスの人間関係以外に「所属する場」を作っておく意味でも、学校生活における部活動は教育的な観点だけでなく、学校側からのPRポイントともなる大事な要素のひとつです。また場合によっては、卒業生や地域の方々までもが誇れる場ともなり、継続的な支援を受けていくことも考えられます。


今回は「部活動の宣伝」。現役生徒ばかりでなく、保護者、教職員、管理職、志望進路とする小中学生および受験生、OBOGなど卒業生、地域住民、も満足する部活動の広報をご紹介し、その準備と広報活動の方法についてアドバイスしていきます。「部活動の宣伝と新入部員の勧誘はこうやる!」です。



●  校内ポスター掲示  


自校の生徒はもちろん教員、生徒は自校の「ホームページ」については、あまりというかほとんど見ません。見るとしたら、台風接近などで休校になるかどうか、卒業後に調査書や卒業証明書などの関係書類を作成してもらう時、そんな時くらいです。(苦笑)


校内の掲示板のほか廊下や階段の目に付くところにアピールする目的で、当該部活の「ポスター」掲示をしましょう。ポスター自体は部員やマネージャーに作成させてもいいでしょう。先生が手を入れたプロ並みの物よりも、手書きで画用紙や模造紙に切り貼りをしたり、部員みんなの集合写真を貼ったりして、「手作り感」がある方がかえって好ましい。

新入生にアピールしたいなら入学式や新入生説明会・ガイダンスなどの前には準備しておきます。ただし、顧問の先生の内容確認は必須。また生徒会の押印が必要な場合もあります。

ポスターには、定例となり決まっているのなら新入生対象の説明会や歓迎会、あるいは歓迎ライブやコンサートの日時と場所なども記載しておくと、あらためて告知するポスターを作るといった「二度手間になる」こともなく、より良いポスターになりますね。



●  式典での表彰  


始業式、終業式、年度末の修了式などの際に、各団体や地域からの賞状やメダルを預けて、校長から当該生徒らを「表彰をしてもらう」のも大切。ポイントは、全体から見てどんなに小さな大会でも、市区町村の申し込み制の大会であろうと、その生徒と部のために実績結果を残しておいてあげること。そして賞状、トロフィー、優勝カップ、メダルなどを、式典後の表彰時に、あらためて学校長からの賞状の読み上げとその授与をお願いしておきます。(生徒の「氏名のフリガナ」はすべて付けておくことを忘れずに!  名前を間違えて表彰されても名誉どころか笑われて終わってしまいます。本人にとってはがっかりしてしまう場に。そういうことほど細かな準備を。)


そういう時に壇上に立つのはその生徒の表彰になるばかりか、所属クラブや所属クラスや友人達、顧問の先生方も間違いなく喜んでくれるはず。部活動に関心の無い先生方にも注目してくれます。それもまず好意的に。

壇上に上がる本人にとっても、一生忘れない思い出になります。その保護者の方も。団体競技や文化部の団体部活であれば、表彰時に受け取る代表生徒とは別に、そこに関わった「部員全員を壇上に上げたい」ものです。それも打ち合わせ一つでできることです。面倒がらず子どもたちのために下準備を。



●  学校ホームページ  


近年の学校では、従来の紙ベースのパンフレットも変わらず作製・配布して見られてはいますが、ネット時代を反映して手軽に検索できる「学校のホームページ」を訪れて確認する志望生徒や保護者がほとんどです。

こちらはパソコン関係が得意な先生数名が、職員会議などで情報や写真の提供や、顧問として担当記事そのものを作るよう呼びかけをします。そして主任の先生や管理職の了承の上、学校ホームページにアップされることが多いですね。

部活の顧問によって広報活動にも温度差が出てきますが、できるだけ多くの部活動の顧問の先生から、学校の総務部関係や募集対策委員会関係を、学校説明会関係の先生方に情報提供することは、大事なことです。 


面倒がらずにルーティンとして「月に一度」、無理なら「学期に一度」、あるいは「主要大会やコンクールの時ごと」に、部活動の記事は更新したいものです。年度当初に保護者向けとしてプライバシーポリシーを取っておくと良いでしょう。



●  部活動独自のホームページ  


プラスアルファで余裕があるなら、保護者の中でこういう作業を喜んでしてくれる方でこまめに更新してくれる「部活動独自のホームページ」は有効です。パソコンが得意な方にお願いしてみましょう。ただし、こちら側からの情報や写真などの継続的な提供が大切です。それと、前述した写真の扱いなどについてプライバシーポリシーを、入部時に全員分取っておくことも大切な準備です。それでなければ部活動の保護者会を事前に開いておいて確認、了承を得ておく。

動画については慎重に扱いましょう。ダンスなどはその動きそのものが入るものがあると良いでしょうが、でも、そういったものは子どもたちが得意のSNSにお任せして、こちらのホームページでは全員での集合写真など最低限で良いと思います。競技種目によっては対戦相手が映ってしまい、取り扱いが難しくなるのでくれぐれも気を付けておきたい事項です。


この部活独自のホームページは、生徒本人よりも保護者の方々や、当該の学校を志望している生徒に注目を集めていく傾向があります。それゆえに表彰された生徒名ばかりか大会名称や主催の団体名なども、うっかりでも間違った情報だけは避けたいものです。



●  体験参加型練習会・見学会  


新入生の入学後に行うものであれば、放課後に複数で参加しやすく、上級生とも交流できる形態の「体験会」が好まれます。それは現実的な厳しい内容のものでなく、楽しく終われる体験型のものが良いでしょう。ライブや演奏など見学系の「見学会・鑑賞会」であれば、その後に直接声を掛けられる時間も準備しておきます。 


顧問の先生は、体験や見学に来た参加者名簿の枠を作り、入場時に記入してもらう。新入生対象であれば新入生の学年の名簿一覧を一枚プリントしてもらい、その名前の横にチェックしてもらって参加・見学してもらい、足跡もしっかりと残しておいてもらいます。後日あらためて声をかけるためでもあります。 

できるだけ顧問の先生は裏方で、新2、3年生にどんどん動いて勧誘や声掛けをさせることが大事です。あくまでもこの部活動は「生徒主体」だと実感してもらう。やらされてきた小中学校時代から解放されたい生徒は少なくありません。小さな失敗よりも達成感。成就感。


また、先ほどお話しした体験や見学に来た小中学生対象に、当該部活の宣伝のため、あるいは受験生確保のためにも、長期休業中に最低でも1日、できたら2〜3回でいいので見学会や体験会を実施するのも大きなポイントになります。「学校のホームページに上げておく」とより宣伝効果は高まります。ホームページへのアクセスも増えますし学校が校外にどんなことに取り組んでいるのかをアピールすることにもなるので管理職からも評価されます。

体験講座の内容と手際が良く、参加生徒本人だけでなく保護者の方にも評価が高ければ、その部活や学校の評判も上がります。この際、人数の把握や参加生徒の在籍している学校、所属チーム、経験年数などプロフィールを確認し、場合によっては後に連絡するためにも、参加時に名簿記入をお願いしておきます。 


当然顧問としてというよりも、入学前であればその名簿やプロフィールの個人情報などは守秘義務が付いてきますので、名簿や写真などの扱いについてはくれぐれも細心の注意を払ってください。

そして「怪我の時」には「応急処置」はできるものの、大きな怪我には対応できない、保険などは各自でお願いする、といった万一の時のリスクマネジメントもしっかり忘れずに明文化しておきます。



(終わりに)


宣伝するのはアピールしてその部活動を活発にするだけでなく、生徒の生活や人生、その子どもたちを抱える学校そのものも元気にしてくれます。いわばウインウインの関係になるのです。(もちろん、問題が起こっておおっぴらになれば、その逆にもなりうる恐れもはらんでいますが。)


教員であれば、その宣伝の準備と新入部員の確保で満足してしまうのでなく、半ば永続的に歴史や伝統を有するような、その部の仕掛けの一つ、そういったものとして定着するよう取り組みたいですね。