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「部活動の新年度当初のミーティング    その1  〜新入部員説明会編」


現在、コロナウィルス感染拡大防止のため学校現場で子どもたちも我々も非日常の生活を余儀なくされています。集団での運動も大きな声で歌うことも禁止され憚られる今の日本社会ではありますが、今回のテーマは個別で要望の多かった「部活動の顧問および指導に関すること」についてです。押さえておくべきポイントを整理しておきます。こんな時期ですが、新年度スタートに向けて準備をしておきましょう。


これから「顧問としてのミーティング・説明会のやり方(新年度当初)」についてと「顧問としての考え方と部活の運営」について、それぞれ2回、計4回にわたって助言していきます。


今回は「部活動の顧問としてのミーティング・説明会のやり方」。部員も少なくこじんまりと活動している部活では、上級生と一緒に説明会やミーティングをする部活も多いと思いますが、規模が大きく部員数が多いと教室にも収まり切らず、やたら長引いてしまう、全体だとこちらから伝えたいことが伝わらない、あるいはボヤけてしまう部活もあります。そこで、今回は分けて考えて、新1年生対象の「新入部員説明会」と、上級生の2、3年生も加わった「全体ミーティング」と、新年度当初のミーティングを二つに分けて捉え直します。今回のテーマはその1回目「新入部員説明会編」です。


  新入部員説明会の流れ  


1)「新入部員一覧表」の記入指示とプリント配布

用紙を準備して一覧表を回して新入生に「クラス・番号・氏名・ふりがな」などを記入してもらい、待つ。学校所定の「入部届」など配布。


2)「生徒個人票」の記入指示

個人のプロフィールを別紙に書いてもらう。後で回収。住所や電話番号のほか緊急連絡先、出身校やその部活の種目の経験年数(選抜や大会実績などあればそれも)、既往症(ここ大事です。保護者や養護教諭の先生との連携もしておく)、入部後の個人としての意気込みや目標など。

部活の競技種目や活動内容によっては「好きな選手」や憧れる選手、また軽音楽部や吹奏楽部などは「好きなアーティストやバンド名」など書かせて紹介しても良いでしょう。その部活の種目やその世界に高い関心を持って臨もうとする気持ちを褒めてあげましょう。周囲への刺激にもなります。


3)顧問挨拶

ここでは担当学年や担当教科など簡単な自己紹介で済ませます。


4)主将・部長挨拶

その部活の雰囲気を新入生向けに伝えてもらいます。キャプテンや部長など代表者を先生が事前に呼び出しておき、くれぐれも「怖がらせずビビらせない」よう言い含んでおきます。笑    この部活は和気あいあいとした雰囲気で、かつみんな一生懸命に取り組んでいるなど「楽しそうだな」と新入生に思わせるようにします。新入生にとってみれば入学してからは環境も変わって緊張の連続。ただでさえ、上級生は大人に見えて怖く感じるものです。その部活が所属したくなる好意的に思える集団としての部活なのだということを、在校生の代表者である主将・部長自らが話して紹介します。


5)主顧問から部活やチーム方針の説明

*この項目については詳しく後述します。


6)記入した一覧表、個人票などの回収

特に名簿の「ふりがな欄」の記入を再チェック。近年はキラキラネームの生徒も多く、また国際化が進み、ふりがな無しでは読めない名前の子も少なくありません。後で個人的に何か聞いておきたいことがあっても呼び出ししにくくなります。


7)上級生を含めた「全体ミーティング」の告知

学校によっては日時と場所もあらかじめ生活指導部やクラブ委員会などで割り振られて決まっているところが多いですね。この説明会の最後に再度連絡してあげましょう。


8)1年生代表を決めさせる

部活の連絡係としての責任者1名、副責任者2名を「自分たち」で決めさせます。またここではあくまでも顧問の先生や部活全体の指示を1年の部員に伝える連絡係にすぎないことも伝えます。原則は顧問責任者の生徒各クラスの部員生徒。確認・報告はまたこの逆のルート。可能であれば1年生だけのLINEグループも作らせます。(LINEのグループについては顧問の先生が入っても入らなくてもいいと思います。あくまでも生徒間の連絡用ツールです。)


こう見ていくと、書かせること、やらせるべきことなど少なくないことがわかります。もちろん部活の規模によっては全体ミーティング一回で済ませるところもあると思います。上記内容を取捨選択して活用して下さい。


  部活・チームの方針の説明  


  部の活動の説明とお願い

顧問の先生、練習曜日、土日の活動、活動場所、直近のスケジュール(1ヶ月程度のもの)を配布。活動に関する費用。日常の部費。合宿の有無と費用、個人持ちユニフォームやポロシャツ、チームジャージを揃えているのであればその費用。(これらの説明に関するプリントは私は保護者向けのプリントとして作ったものをこの時に配布し説明しています。)生徒向けに説明しますが、ここではザッとで十分。新しい学校生活でルールも校舎の配置も先生の顔もわかってない。またここでの本題は先にあるので細かなことを長時間説明するのは無駄。「よく見ておくように」でいい。

帰宅後に配布プリントを見せ、保護者に自分から説明して了承を得られ、迷うところが無ければ「入部届」の提出を伝えておく。できたらプライバシーポリシーの許可のお願いをしておくと、部活の宣伝用のポスター、ホームページ用の写真掲載などにも部活中の写真が転用できます。


  挨拶・礼儀・マナー

中学生として高校生としてもうこれからはしっかりできなければならない。社会に出てからも当然求められること。

校内でも外部施設や公共の場でも非常識な言動は慎む。逆に「挨拶」は自分の部活の顧問や先輩、知り合いに関わらず「誰にでも」気持ちよくする。

「時間を守る」。部活動に遅れるのも原則ダメ。しっかり来る。意識を持つ。掃除や委員会、通院などでどうしても遅れてしまう時もあるが、それもわかっているのなら自分からあらかじめ顧問の先生に「連絡する」。怪我など事後報告も同じ。

(この1年生対象の説明会の前、上級生である2、3年生に大きな声でニッコリ笑って挨拶できるようあらためて事前に伝えておくのもポイントです。「先輩やってる!」という刷り込みは大事です。笑)

あと最近問題が起こりやすい事例では「SNSの取り扱い」について。匿名であっても誹謗中傷と感じられるような無責任なことを書いては顧問として部活として許さないことを伝えます。匿名で書き込んでもそれはいずれ分かる、と伝えておきます。


  勉強と部活、学校生活と部活の両立

部活バカにならない。勉強も全力でやる。部活のせいにして勉強ができない、成績が下がった、というのはダメ。勉強は学生がやるべき義務。義務を果たした上で部活という権利を行使できる。小さくは個人の進路に繋がる。が、それだけではない、大きくは勉強の魅力や面白さも先生という立場から伝えられるとなお良い。

また部活は学校生活の一部に過ぎない。学校行事も委員会も中心となって積極的にやる。それも伝える。「クラスでも委員会でも良い人間関係を築ければ、お前の部活や試合も応援してくれるし、いざという時に助けてくれる存在になるんだよ」ということも合わせて伝えておきたい。


  健康管理

高校生ともなれば、健康管理は自分自身の責任であることを話しましょう。(中学生の場合は「もう中学生になったのだから」と同様に自覚を促します。笑)体調が悪くなるのもしかたないこと、なんて思わせない。日々自分の健康に注意させるよう強調します。「健康管理は自分の責任」とにかくそれを強く伝えます。(持病がある生徒は当然別。)「また風邪引いちゃいました」「ずっと怪我も良くならない」ではいかがなものかと伝える。「大事な試合の前でも簡単にそんなことを言ってしまうのか?」「もう高校生なんだから自分の身体はわかるだろう。予防はしたのか?    病院の治療は合っているのか?」などと個別に伝えます。当然、思春期。ホルモンバランスも崩れやすいし、人間関係による悩みもある。それは教員として頭に入れておくのは当たり前ですが、子どもを「お子ちゃま」のままにしない。大人になるための架け橋として捉え、指導します。


  家事手伝い

お父さんお母さんに「ありがとう」と言える自分になる。まず感謝するのは当たり前。言葉にして伝えるのも当たり前。中学生、高校生の最初に「自立」のきっかけ作りをする。

まず、朝自分で起きることができているかどうか。自分の部屋を掃除しているかどうか。食器の後片付けや洗濯物の整理をしているかどうか。料理は作れるか。など、家事でできること、何か手伝っていることがあるかどうか、挙手させて聞いてみます。できている子を指名して当てて答えさせます。これも刺激になりますよね。できたら部活や学年の保護者会でも例を挙げて褒めてあげましょう。帰属意識を家族にも持つには、しっかりと自分も家族の一員として日々の役割を担うべきだからです。そして自分の好きな部活も、家族に支えてもらい応援してもらう。このことはチームスポーツ、集団の部活などに必ず不可欠な要素となります。日常家事を担っている生徒は、部活のことにも責任感を持って取り組めるからです。


  チームの一員として

その部活を好きになる。「これからはお前たちの所属集団であり学校生活の居場所のひとつであり、アイデンティティのひとつだよ」と伝える。

だから部活やチームの一員として非常識な言動は慎む。時には連帯責任になったり、迷惑をかけてしまうこともあり得るから。逆に「△△部の〇〇って生徒がこんな人助けをしたらしい」「△△部の生徒がボランティアで駅前も雪掻きして感謝された」など、そういう部活になろうよ、と伝えます。できたら具体例を挙げて。

また自分がレギュラーとして出られる出られないなんて小さな考えではなく、出場しているチームメイトを応援できる自分になる。Aチームつまり公式戦のレギュラーメンバーの応援をそれ以外のメンバーも応援するのは普通ですが、私のチームではその逆の、Bチームあるいは1年チームの試合の時にAチームのメンバーも応援するのが普通です。それぞれの試合前にそのメンバーのためにグラウンドなど活動場所も優先して空けてやり、それ以外の部員が応援練習をしているのも私の部活の日常です。お互いの気持ちをお互いの立場から感じることは大切な経験です。ましてや中高生、公式戦メンバーになったくらいで勘違いする子どもは少なくない。まず自分自身が成長するよう努力する。メンバーに入るのはその延長線上だと伝えます。


  部員は全員平等

上記の⑥にも通じますが、顧問の先生はすべての部員を平等に指導し練習をするよ、と伝える。原則、部員は全員参加機会を与える、試合も全員を出場させる。そのことを伝えます。ただ、限られたメンバーしか出られない大会や公式戦などは、相対的に見て選ばざるを得ない、怪我や調子の良し悪しなども関係する。逆に言えば学年優先制ではないので1年生でも頑張っていればチャンスはあるよ、目に見えるところだけでなく努力したことは必ず次の自分に繋がるからね、ということも伝えて、モチベーションとしてあげます。


  顧問の先生もひとりの人間

私は以下のようによく話をします。

「この部活で三年間最後までやり切ろう。それだけで価値がある。大会で何回戦まで行ったとか、レギュラーだったとかそうじゃなかったとか、そんなことは小さなこと。学生時代、勉強以外で何を頑張って最後までやり遂げるのか。(勉強はみんなやるべきものです。)人と比べる前にまず自分でやり切ったものを得て卒業する。その挑戦だけで十分価値があるよ。高校時代は人生一度きり。みんながそれぞれ人生の主役なんだよ。

そして卒業したら、同じ部活で同じ時期を過ごした者で集まってのんびり話をしよう。卒業生としてOBOGとして、同じ音楽、芸術、同じ競技、スポーツを愛した人間として、また会おうよ。OB会(あるいは定期演奏会や文化祭)にはぜひ帰ってきて先生に顔を見せて。

高校時代の(中学校時代の)部活にはどんな意味があったのか。そして教え子であるみんながその未来の場所で今どんなことをやっているのか、先生に是非教えてください。そして二十歳を過ぎたらさ、先生とみんなで飲みながら話そうよ」なんて感じです。

つまり、この部活は、彼らの人生の一部であり、その先も人間関係を含め続いていくものなんだ、そして今のこの説明会・ミーティングがそのスタート地点なんだよ、ということを伝えます。


その後は、回収する書類の確認、部活全体のミーティングの連絡、1年のLINEグループ作り、下校前に上級生がやっている部活の見学などを紹介して解散します。


今回はここまで。次回は2、3年生も加わった「全体ミーティング編」です。合わせて参考にして下さい。ではまた。