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「校内夏期講習はこうやる!」


長期休業を前にすると、学校の先生は周囲から「先生も休みでいいよなー」などと、事情を知らない人たちから言われてしまうものですが、ご存知のように先生は長期休業中も勤務日です。部活指導や一部の承認された研修を除いて通常勤務となるものの、学期中のような授業は無い。しかし我々現場の教員に求められるのは「講習」や「補習」です。近年では主要5教科の先生には当たり前のようにお願いされる講習。私立学校ではまず必須。期間も決まっているとのこと。公立でも中学校、高校問わず、先生にも一部あるいはすべての生徒に課せられているところが少なくないようです。また今年はコロナ禍により学校現場は休校による家庭学習が長引きました。それにより夏休みや冬休みといった長期休業も例年より短縮されることが予想されています。中学校や高校では講習や補習か授業の代替のようにお願いされるかもしれませんね。

今回は一番多く実施されている「校内での夏期講習」に絞ってアドバイスしたいと思います。


  教員側の目的  

生徒の求めているもの、内容は各科目の得意・不得意によって変わります。が、基本的にどのレベルでもインプットとアウトプットで短期間でその分野・項目を学習し直し、「わかった感」「やった感」になるようにすること。理解していることの確認とテストでも「できた感」を持たせる。高校での日本史・世界史などは授業だけでは全てを網羅できないため現代史や文化史など終わらない部分のいわゆる先取りをすることも多くなるので無理しない範囲で講義形式になりますが、生徒が「やった感」を感じるためにもアウトプットの小テストはしておきたいものです。実感した後にさらにその先まで勉強してみようかな、と意識喚起までできれば大成功でしょう。


  保護者の思い  

保護者が校内夏期講習に求めているものは、交通費の掛からない学校で、顔馴染みの先生から、講習料も掛からず無料で指導を受けられること。家で一人で自分のペースでダラダラやるより一斉授業の形式で学習して欲しいから。

学校の管理職の立場としては、うちの学校は面倒見良く「やってます感」をアピールしておきたいはず。科目や講座数が多ければ多いほど充実させてます、という評価に繋がりますから。

つまり、保護者も管理職も夏期講習でどれくらい学習したことが定着してその後伸びたのか、などは検証しません。あくまでもその時やり切ることが大切です。


  期間  

長期にならない方が良い。コロナ禍の今年は特にそうすべきでしょう。ベストは、実は2〜3日間、1週間コースでも前期と後期でやる分野を変えるべき。夏期講習の実施される夏休み。生徒は、部活や帰省や家庭の事情、または通ってる塾との兼ね合いでスケジュールを決めます。長い決められた全日程を終了するまで意味や成果が無いなんていう講座は、生徒は取りにくくなるだけ。先生の思いとは別に、「効率」だけはよく考えてますよ、生徒や保護者は。短い日程こそ魅力。「集中講座」と銘打てばいいだけ。欠席せざるを得ない生徒にはプリント(テストであればもちろん解答付きのもの)を配布してあげるなど気遣いもしておきましょう。大切なのはもちろん、その科目の単元や分野の「理解と定着」ではありますが高望みし過ぎないことが大切。


  講座内容のレベル  

学習理解度や成績によるレベル分けですが、1)基礎基本、2)標準、3)発展、と3パターンを。基礎基本は教科書の例題レベル、標準は問題1レベル、発展は応用問題レベルです。受験対策や入試問題の過去問なども散りばめて。

また、科目担当の先生の都合で展開が難しくても少なくとも、1)基本、2)応用、の2パターンを準備して開講しましょう。ここにおける基本は例題レベル+問題1レベルです。いわゆる授業の復習です。おそらく生徒のほとんどは基礎編を選択するはずです。なぜなら生徒が年度当初に「予習・復習」を欠かさない!なんていう目標を立てていても、学校生活ぎ始まってしまうと、予習はまだしも忙しくて復習はできないからです。


  実施日程等の工夫  

そして、希望生徒の人数が多ければ、そこは同じ講義内容を、午前午後を分けて実施したり日程をずらして行うとより良いです。同じ教科の先生とレベル別に講座を振り分けることができれば、講義内容は「再放送」で行えるので、講習の当該範囲の予習や準備も回数が減り、同じ教科の担当教員同士の負担軽減にもなりますね。生徒の方も他教科の希望講座と重なった時にも希望しやすくなります。


  講座内容の形式  

時間は2時間くくりで。2コマを連続して行う。

A…1)講義、2)演習・確認のための小テスト

あるいは

B…1)テスト、2)解答・解説

Aは、学習した内容を復習するための講座で。

Bは、応用・発展。上級者向けの受験を意識した講座で。いずれもアウトプットに当たる「テスト」で成果を求める。現代においては受験を見据えて学習に取り組むのが勉強、ということになっています。本来の「勉強」論は異なるのは重々承知の上で言います。生徒や保護者、学校の管理職は、その分野の成り立ちや時間を掛けて考えてその本質について理解することこそ「学び」だ!とは思ってません。極端な言い方をすると、残念ながら「わかるようになる、授業についていける」「テストで得点できる、点数が上がる」そこだけを求めています。だから、短時間の小テストに近い形で構いませんが「何点以上は合格!」「何点以下はまた復習を!」と言ったことも生徒に示せるよう準備しておきます。


  終わりに  

いずれにせよ、夏休みに短期で行う夏期講習。爆発的な飛躍よりも、意識付け、習慣付けが大切。成績がマズイな、と思っても、生徒は長い休みを与えられれば「まだ大丈夫でしょ」と問題や課題を先送りします。そこで、しっかりと講座のレベルに応じて必要なものを教員側からインフォメーションする。また、先生方も、授業のように生徒から授業評価やアンケートもされることはなく、夏期講習は実施さえすれば、内容や習熟度、達成度などは誰からも求められません。受講していた生徒と新学期に授業で話した時に「これ、夏期講習でやったよね」と触れて話せる関係性と、それを作る時間こそが大切なのです。だから講習では内容を欲張らずにポイントを押さえて準備し、分野や範囲を告知して、実施するべきでしょう。